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湖畔のほとり

もうお昼はゆうに過ぎているが、ムハンマドにとっては早めの1日の始まりとなる時間。わたしは散歩に誘った。

OK!じゃあ、僕のお気に入りの場所に行こう!きっと君も気に入るはずだからさ。

わたしたちは近くのスーパーマーケットで各々お菓子と飲み物を購入し近くの湖のある公園に向かった。空はまさにヨーロッパの夏。高い青い空が広がっている。

整備された緑が溢れる公園。その真ん中を歩いて湖に向かう。犬の散歩をしているご婦人や老夫婦。他にはあまり人がいない。

ハロー

すれ違う人に挨拶をした。そして無視された。ムハンマドと顔を見合わせて笑った。二人だから一時滞在のわたしだから笑えるのであって、ここに住む身であれば本来なら笑えない。

芝生に腰を下ろしお菓子を広げる。好きなものを交換しあい、おしゃべりをしながら芝生に寝転がる。普通のピクニック。彼にとっての普通ってなんだろう。

ヨガでもしてみようか?さ、立って立って。

直立不動にまっすぐ立ち両手をあげて伸びる。そして前屈。両手を地について両足を後ろにプランク、腕立伏せの状態から肘を曲げて、それから両手を押して肘を伸ばし足の甲で地を押し、アップドッグ、そしてダウンドッグ。両足を前に戻してからだを起こし気をつけの姿勢に戻る。
太陽礼拝。こんな天気のいい日しない手はない。

インドでヨガ人たちと出会って見よう見まねで練習したんだ。今ヘッドスタンドもできるよ。

太陽礼拝をした後ムハンマドはこう言って、大きなからだを逆さまにしてヘッドスタンドを見せてくれた。
わたしも続いてヘッドスタンド。

難民とか難民ではないとか、国籍とか民族とか宗教そういった区別をするつもりはないのだけど、ここではムハンマドはパレスチナ人で難民という立場にある。二人で公園に行って、普通のことなのだけど彼にとっては特別な1日、孤独な中で利害関係のない友人との普通の日が普通でない日。そんな状況考えられますか?


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