ラマダンと聞くと断食！ファスティングって今日本でも数年前から流行っていますよね？経験した人も多いのでは？かくいう私も経験者。しかも結構好き。じわじわと体が綺麗になって少しずつ回復食を頂き慣らしていく。

イスラム教の断食、ラマダン明けのイフタール（ブレイクファスト）。ホーリーな街、エルサレムでイフタールにご招待された。聞くところによると、お祈りをしデーツ（中東の名産ナツメヤシ）とお水で断食を終えそして家族でご馳走を頂く。

７時半くらいにイフタールが始まるから６時半くらいにおいで！

リーマからメッセージが届いた。わたしの滞在するエルサレム旧市街近くからリーマ宅まで歩いて３０分程度、６時過ぎには帰宅を急ぐ車は空腹がアクセル全開にさせ苛立ちが伝播しそうなほど。のどはカラカラお腹はスキスキ。殺気立っていると言ってもいいかもしれない。

６時半頃、お宅にお邪魔すると食べ物の美味しい匂い！食欲がそそられる。長女のヤスミンがカターイフというパンケーキのようなスイーツにくるみ餡やチーズ餡を挟みデザートの準備をしている。カターイフは半月型をしていて、この地ではラマダンスイーツとして人気のものだ。

コンロには大きな鍋が３つ並び、オーブンにはチキンがところ狭しと並んでいる。

リーマ、どうラマダンは？好き？

ラマダンは特別だから、ご馳走作って、普段とは勝手が違うからね。なんていうか、疲れる。

普段とは違う、キッチンを見れば一目瞭然。リビングには大きなテーブルが２つも準備され、ディナーパーティーのようにデーブルセッティングされ準備万端だ。

サラームアレイコム、これ差し入れ。置いとくね。

そう言って入ってきたのは階下に住む、リーマの義理のお父さんだ。そしてテーブルの上にフレッシュザータルのサラダを置いてすぐに出て行ってしまった。

７時２０分　リーマの夫イヤッドが帰宅した。自転車で。

サラームアレイコム、よく来た！何か食べた？それともファスティングしてるか？

今日はラマダンに挑戦してるよ、みんなと同じ気持ちでいたいからね。

いいことだ！ヤッラ、早く準備しないと。テレビのリモコンどこだ！お、あった。ヤッラー、リーマ。早く早く。

いつもせっかちなイヤッドがより一層せっかちになっている気がする。イヤッドはテレビをつけ、イスラムチャンネルにし、イフタールが始まる時間を知らせてくれるのを待つ。

反対にキッチンはいつも通りかそれよりゆっくりペースで料理の準備が進んでいる。

大皿に乗せたお料理を運んでいるとイフタールを告げる声がテレビから流れ出した！

ヤッラー、みんな早く席につけ！こどもたち！さあ、食べるぞ。まだ料理が全部出てない！ほら、早く！早く早く！！

水より先に肉食べてる？野菜スープ、うん、それはまだわかる。あれ？テーブルのデーツだれも手をつけてない。お祈りは？みんなこっそりしたとか？え？？

ほら、アズーズ（この家でのわたしのニックネーム）も早く席について食べて！肉がいいだろ、でごはんとサラダと。ガンガン食べろ！

なすがまま、流されるまま、わたしは席についてサラダから口に入れた。

遠慮するな、肉食べろ。マハシも美味しいぞ。ほら。お皿出してついであげるから。

イヤッドはいつも以上にせっかちで世話好きになっていた。そして食べることも忘れていない。そしてわたしは写真を撮る隙を見つけられなかった。

美味しいだろう。食べてないからなおのこと、美味しい。いつも以上に美味しいね。

家によってももちろん違うだろうけど、わたしが経験したラマダンのイフタール。それはそれは美味しく楽しくせっかちな時間だった。

１時間もすると、食べ終わりコーヒーを飲みスイーツの時間だ。と思えばイヤッドはスーツに着替えている。普段はデニムとTシャツというラフな感じでしかもロン毛のナイスなおじさん。

スーツ？何かあるの？

アクサにお参りだよ。一家を代表してね。

ホーリー月にイスラム圏を旅するのも悪くない。