駒落ちではないハンデ将棋のすゝめ

駒落ちとは

強い人(上手)が棋力差のある人とも将棋を楽しめるように。
上手の初期駒を減らして対局するのが駒落ちだ。
この駒落ちは確かに将棋のエッセンスを楽しむことができるが、
平手戦と異なり駒のダイナミックさに欠ける。
ありきたりな形になることが多くてつまらないといった欠点がある。

そこで上手の指し手の自由度をあげつつ下手にハンデを与えるために、
下手の駒を強化駒にするというハンデ将棋を考案した。

強化の対象

以降は先手側が下手とする。
強化されるのが「桂馬」のときは以下の赤で示した駒が強化される。

下手にある桂馬、下手の駒台にある桂馬(これは盤上に打った瞬間)が
強化桂馬として扱われる。
一方上手の桂馬や下手の強化桂馬を取って上手の駒台にある桂馬は
通常の桂馬として扱われる。

強化歩: 仲人(ちゅうにん)

強化歩は後ろにも進めるようになる仲人だ。
成り駒は通常と同じ金とする。
歩と同じく二仲人打ち仲人詰めの禁手を設けるものとする。
原理的に行き所のない駒の適用からは外れることになる。

一歩千金という言葉があるように歩は枚数が多い分、
使い所が豊富なため強化された時の威力も大きい。
例えば図の局面だと上手の常套手段である
△8六歩▲同歩△8七歩は▲同歩と取れるので無効である。

将棋の場合歩で叩く手筋があるが、
仲人だとケツからぶっ刺すみたいな筋もあるかも。

強化香:反車(へんしゃ)

強化香車の反車は反対方向にも走れるようになった車だ。
成りは通常の金。
この駒も行き所のない駒の適用からは外れる。

香車は本将棋ではしばしば不動駒になるので、
ハンデとしては軽いと考えられる。
香車を釣り上げて銀や桂で狙う筋が無効になるぐらいか。

強化桂:八方桂

強化桂馬の八方桂はチェスのナイトのように八方向に飛べる。
成りは通常の金。
この駒も行き所のない駒の適用からは外れる。

桂馬の効きは上級者ほど染み付いており、八方桂の効きを見落としがち。
八方桂は大駒に匹敵する強い駒でハンデとしてはなかなかのもの。
下手は銀桂交換なら喜んで受けるだろう。

強化銀:醉象(すいぞう)→太子(たいし)

強化銀の醉象は横に動ける銀である。
成りは太子で玉と同じく全方位に動ける。
太子が存在すれば玉が取られてもゲーム続行というルールは非採用。

小駒の強化は地味なため、ハンデとしては弱い。
銀が横に動けると守備としては相当心強く、
攻めでも銀バサミの心配がない。
また頭銀が容易になるのでトドメの駒としても使いやすくなる。

強化金:太子(たいし)

強化金は太子で全方位に動ける。
成りはなし。
太子が存在すれば玉が取られてもゲーム続行というルールは非採用。

これも強化銀と同じく地味なパワーアップのためハンデとしては弱い。
金は斜めに誘えが無効になるぐらい。

強化飛車(角):奔王(ほんおう)

強化飛車、強化角は複数あって、そのうちの1つに奔王がある。
飛車と角の動きを両方できる駒で成りはなし。

見た目にも派手で初心者にも使いやすい。
ハンデとしてはまずまず。
飛車を奔王にするパターンと角を奔王にするパターンがあるが、
本将棋では角は駒台に乗りやすく、
角より飛車の方がやや価値が高いことから
角が奔王になる方が重いハンデということになる。

強化角2:魔羯(まかつ)→天狗(てんぐ)

強化角その2として摩羯がある。
成りは天狗

摩羯は角の動きを2回できる。
もちろん1回でもいいし、駒を取ったら1回目の移動でも手番終了となる。
駒の貫通もできない。
摩羯が登場する将棋では駒を取ったら金になるというのがあるが非採用とする。
天狗は摩羯の動きをするか縦横に1つだけ動くことができる。
(縦横または角の動きでの2回行動ではないので注意)
これは角に対する馬のようなもので
摩羯の筋違いに行けなかったり、頭が丸いという弱点を消している。

摩羯がどれぐらい強いかはわからないが、相当重いハンデ。
相手から決して狙われない位置にある自陣摩羯から
反射衛星砲のように複数の角筋で狙うことが可能。
自陣天狗は金銀何枚分の堅さだろうか。

強化飛車2:鉤行(こうぎょう)→成り鉤行

強化飛車その2として鉤行がある。
成りはほとんど性能は変わらないが便宜上成り鉤行としておく。

鉤行は飛車の動きを2回できる。
もちろん1回でもいいし、駒を取ったら1回目の移動でも手番終了となる。
駒の貫通もできない。
鉤行が登場する将棋では駒を取ったら金になるというのがあるが非採用とする。
成り鉤行は鉤行の動きをするかナナメに1つだけ動くことができる。
通常このナナメ移動は飛車の2回行動に包含されて意味はないが……
下図のような例だと鉤行の飛車の2回行動では脱出できないが、
ナナメに動ける成り鉤行なら敵駒の隙間から脱出できる。

飛車の2回行動はチート性能でここに出てきたいかなるハンデよりも重い。
飛角落ち以上のハンデにはなっていると思われる。

まとめ

強化駒を順次紹介したが、
棋力差によっては強化飛車香のハンデにしようとか
複数の強化駒を組み合わせたハンデにしても楽しめるかもしれない。

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