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【くすぐりを目撃した話③】

僕は高校生の時に水泳部に所属していた。

その理由はもちろん、男の裸が見れるからだ。

しかも夏はみんな日焼けしていて、最高だ。

なによりも水着姿で友達をくすぐれるのだから、天国である。


僕のクラスメイトで同じ水泳部に入ったのは一人だけだった。

しかも赤道に住んでる人レベルの色黒だった。
年中黒いので日焼けなのかも怪しいが、本人は元々色白で、一年中水泳をやっているから黒いままなのだと言って張っている。


もちろん、僕はその友人をくすぐりたいと思っていた。

クラスで唯一の同じ部活なのですぐに仲良くなった。

更衣室で横目であそこを覗き見したこともあった。


今回はそんな彼が先輩から水着姿でくすぐり攻めにされた話だ。


うちの部活はほぼほぼ遊びで、よく先輩達の言いなりになって後輩が罰ゲームを受けてみんながその様子を見て笑う・・・という体育会系のノリみたいなのがある部活だった。

傍からはいじめにも見える時もあるが、いじめられているわけではない。
そういう遊びをしているのだ。
そして先輩達も本当はすごく優しい。


今回、そのターゲットにされたのが、友人だった。

お題は「25mを〇秒で泳がないとくすぐり」というゲームだった。

僕は前からくすぐりという罰ゲームで友人がくすぐられて欲しかったので、そうなったのはすごく嬉しかった。
ただ、たまたまくすぐりになったわけではない。僕の努力の成果だ。

僕は先輩と話す時に、彼はくすぐったがりで、身体触られるだけで、全身崩れ落ちるくらい弱い、と日頃から言っていたので、
水泳部の間では、彼はくすぐりが弱いというのを知らない人がいないくらい当たり前の事だった。

日常でも彼が更衣室で着替えてる時に先輩や友人が後ろを通る時に、がら空きになった脇腹を「お疲れ~」と言いながら、突かれたり、くすぐられたりしているのを何度も目撃していた。

だから、彼はきっといつかくすぐりの罰ゲームを受けるのを確信していた。
そして、それが今日だったのだ。


「25mを〇秒で泳がないとくすぐり」

その秒数がその友人の自己スコア更新の秒数に設定されており、無理難題というわけではなかったが、ほぼほぼ不可能な数字だった。

友人は、それだけはやめましょう。もっと他の罰ゲームにしましょう。
腹踊りでも何でもしますから、と懇願していたが、
うちの先輩たちは、超が付くほどのドSの集まりだった。

そんな嫌がる素振り見せたら、余計にやりたくなるのも僕は分かっていた。

もちろん、先輩たちは、そんな嫌がる友人の姿を見て、余計にくすぐってやりたくなったようで、「ダメ!」と一言吐き捨てるように言った。

そのダメと言われた直後の、絶望感溢れた表情はなかなかに、そそるものがあった。

友人も観念したようで、渋々スタート地点についた。

そして、誰かにタイムを計って欲しそうに見渡していた。

僕はすかさず、名乗り出てタイムを計ってあげるよ、と言った。

しかし、そこにも裏がある。

もし万が一、自己スコアを出して罰ゲームを回避されたら困るからだ。
たまにそういうパターンがあり、そうなった時は別の指名された人がまた同じお題をこなし、クリアできなかったら罰ゲームを受ける決まりだった。
それを何回も繰り返し、罰ゲームを受ける人が出るまで行われる。

他のメンバーにもくすぐりたい子はいるが・・・
やはり一番くすぐりたいのは友人だった。なにより自分が指名される可能性もあるのだから、それだけは絶対に避けたかった。

そして、もう一つ。こういう時にすごい遅かったり悪い成績を出すと、罰ゲームがきついものになるのも知っていた。
どうせ友人が先輩達からくすぐられるのなら、きついくすぐりを見たかった。


以上の事から、僕は改ざんする気満々だったw

我ながら性格が悪いと思っているが、僕はただドSなだけだ。


そして、友人は僕がそんな腹黒い事を企んでいるとも知らず、小声で

「自己べ出した事にして。頼む」と言ってきた。


僕は聞こえなかったフリをして、その返答には何も答えなかった。


そして僕の合図とともにスタートした。

彼は本気でくすぐられるのが嫌なようで、本気で泳いでいた。

割と速くて、本当に自己べを出すかもしれないくらい早かった。

これはヤバイ・・・とストップウォッチを見て改ざんするか・・・とも思ったが、改ざんするまでもなく、自己べは出なかった・・・。

ただ、僕は、彼にはきついくすぐりを受けて欲しかったので、
1秒だけ遅く、ストップウォッチを止めた。



先輩たちと友人が僕に近づいてきて、「何秒だった?」と聞いてくるので、
僕は1秒プラスした時間を教えた。

先輩たちは「はい!ダメ!!!罰ゲーム」
と喜んでいた。


友人はその場に倒れこみ「まじかよ。結構うまくできたと思ったのに。普通にショックだわ」と言っていた。

そして、くすぐりの刑がこれから執行される事で、同級生たちも喜んでいた。
きっとその喜びのほとんどは、自分がその罰ゲームを受けなくて良かったという喜びだと思うが、
それ以外にも人他人が罰ゲームを受けて苦しんでいる姿を見るのが楽しいという事もあるだろう。

僕ら同級生は全部で7人いた。

先輩5人と僕たち6人。合計11人からこれからくすぐられる事になるのか。

妄想するだけで、心が高鳴った。早く彼がくすぐられる姿が見たい。

どうやってくすぐる?となった時に
暴れるとアスファルトの上だと怪我する恐れがあるから、
水の上にロングビート板を浮かべ、その上に友人を寝かせ、みんなで取り囲んでくすぐるという事になった。


最高すぎるシチュエーションだ。

プールの水の上でのくすぐり。そんなプレイ一度もしたことがないし、見たこともない。

どんなくすぐりになるんだろう。僕はすごくワクワクしていた。


こういう罰ゲームでは、もうここまで来たら、絶対に受けるしかない事を友人も分かっているようで、抵抗一つせずに従っていた。


そして、プールの中央にロングビート板を自分から置いて、自分から寝転んでいた。

その周りを取り囲む11人の集団。

まるでこれから何かの儀式が行われるかのような異様な光景として映っていることだろうと思った。

僕は友人の顔が一番よく見える位置を陣取っていた。

顔の真横だ。

くすぐるには首か、ちょっと手を伸ばして脇の下くらいしかくすぐれないので、あまり良い場所ではないが、くすぐったがる表情をじっくり観察するには最高のポジションだ。


友人「本当にくすぐり弱いんで、すぐやめてください」とだけ何度もつぶやき、これからくすぐられる恐怖に目をギュっと閉じていた。


そしてくすぐりが執行される。


一斉に友人の身体に無数の手が伸びてこちょこちょとくすぐりが始まった。


友人はくすぐったすぎるようで、身体をくねくねと捩って抵抗して大声で笑っていた。


友人「ぎゃっはっは~マジ、まじ・・・やめて~!!!」


足をくすぐっている人たちは、素足を掴んで力強くくすぐっていた。
腕をしっかりつかんで動かないように固定している人もいた。
脇の下の窪みをピンポイントで指の爪でこちょこちょくすぐっている人もいた。
脇腹を強く揉むようにくすぐる人、全身もさわさわと優しく撫でるようにくすぐっている人もいた。
ビート板をしっかり押さえ落ちないようにしている人もいた。

役割分担をしたわけではないが、みんなそれぞれ友人をくすぐるために自分のできることを行っていた。


だからビート板の上だとすぐに水の中に落ちてくすぐれなくなるのを危惧していたが、そんなこともなかった。

むしろ、四方八方に人がいるので、落ちる事はなさそうだった。


友人は顔を歪ませ、眉間に皺をよせ、くすぐったさをなんとか必死に我慢しようとしていた。


しかし、我慢できないようで、ゲラゲラと笑っていた。

友人が暴れる事で水しぶきもたくさん上がっていた。


友人「やめて。お願いします!!本当に!!なんでもしますから~ぎゃ~!!むり!!本当に死ぬ!!!」

先輩「どこが一番くすぐったいの?」

友人「足!!!足は無理!!!掴むのは本当だめ!!!」


その光景を見て、みんなが笑っていた。


水しぶきが高く高くまで上がり、友人の身体に落ちる。

すごく綺麗に光景だった。日焼けしたほどよく筋肉が付いた身体付き。本当に綺麗で見てるだけで目の保養になるが、

今は実際にその彼が大勢の人からくすぐりの刑を受け、ゲラゲラと笑っているのだ。


すごく最高の時間だった。唯一の惜しいところは、こんな素晴らしい光景の動画を撮れない事だ。

本当は僕はくすぐりタイム測りますねと言って、上から携帯を構え動画を撮る方が良かったと思う。

あの時はそういう発言をする勇気が出なかった事を後悔している。

きっと動画を撮っていたら、一生ものの宝物になっただろう。

僕はそんな事を片隅で考えながらも、彼のくすぐったがっている表情、くすぐられている身体などをしっかりと目に焼き付けた。


くすぐりという処刑が行われ、終わった後にビート板の上で友人は動けないように寝転んでいた。


僕はその様子を見て興奮していた。


友人の日焼けした黒い肌が、水の光に反射してしごく綺麗に映っていた。

みんなは飽きてどこかへ行って遊び出したが、僕はその友人のくすぐりが終わった後の息を整える姿を見ていたくて、心配しているフリをして残った。


僕「どうだった?」

友人「なにが?」

僕「くすぐり!」

友人「めっちゃ効いた。まじで拷問レベル」

僕「それはやばいね。あんな良い反応するとまた明日くすぐられるかもね」

友人「そんな怖い事言うなよ。本気でもう嫌だ。一生分くすぐり受けたわ」

僕「まじで?」

そう言って、脇腹を突いた。

友人はバネのように身体を飛び起こし、そのまま身体を歪ませて、ビート板から落ちてプールの下に沈んでいった。

僕はその後、プールの中を泳ぎ回ってしつこいくらいにプールの中でくすぐるために追いかけ回した。






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