見出し画像

耳を保護するイヤモニとアンビエンスマイク

なんか需要がありそうだったのでまとめてみます。

先日書いたマニピシステム解説にも少し書いてたのですが、イヤモニとアンビマイクを新規導入した話しをもう少し詳しく説明します。

1年半ほど前、耳の中に違和感があったので通院していた耳鼻科で見て貰ったところ実は「外耳炎」になっていることが分かりました。

ちょうどイヤモニの付け外しであたる部分なので、傷が付いていたところに細菌が入り込んでしまったようです。本番中の曲間等でしょっちゅう付け外ししていたのが原因かと思います。
職業柄、耳の健康は非常に大事なので早急に対応せねばと改善に乗り出したわけです。


改善策①:イヤモニの作り直し

型を取って遮音性を高める「カスタムインイヤーモニター」を現場では使っています。もう5年くらい使っていたものだったので、そろそろ買い換え・型の取り直しが必要かなと思っていた頃でした。

64Audio A4s

今回新たに導入したのは、64Audio「A4s」という機種です。新旧メーカー、複数機種を試してみて今の自分に最適かなと思い選択しました。

「A4sA-Series」
4 Driver Custom IEM / ハイブリッド型(BA+D型)
tia TECHNOLOGY / apex TECHNOLOGY
Linear Inpedance Design / 3D Fit

耳の保護という観点から、「apex TECHNOLOGY」はまさに必要な機能だなと思いました。

鼓膜にかかる空気圧を低減し、長時間リスニングによる疲れを軽減するだけでなく、聴覚保護にも役立つ新技術「apex」

外耳道をイヤホンで塞いだ際、イヤホンのスピーカーは空気圧(音圧)を生成します。この空気圧は耳の疲労を引き起こしたり、更には過度に鼓膜へ負担を掛ける事で難聴につながるリスクを引き起こします。apex(Air Pressure Exchange Technology)テクノロジーは、そういった難聴リスクを抑える為に開発された技術です。特別な設計が施された「apexモジュール」をイヤホンの筐体に搭載することで、本来であれば鼓膜にかかり続けるはずの空気圧を外に逃がし、鼓膜への負担を軽減します。これにより長時間リスニングによる聴覚疲労が軽減され、聴覚をより長く保ちやすくなり、鼓膜へのストレスが軽減されることで緊張がほぐれ、聴覚上の音質も向上します。

出典:Mix Wave「A4s」紹介ページ

また、ずっと導入したいなと思っていたBAとダイナミックの「ハイブリッド型」である点も決め手の1つでした。個人的な好みではありますが、ダイナミックドライバーが入ってると聞いていて気持ちいいんですよね。


改善策②:アンビエンスマイクの導入

イヤモニを導入して皆さん困る点、周りの音が聞こえないこと。

そもそも遮音性を高める目的で導入しているので当たり前なんですが、作業中に呼ばれている事に気づかなかったり、歓声や拍手が聞こえづらいというマイナスな面もあります。

そこで導入したのが、アンビエンスマイクです。

通常は、上記のようなステレオコンデンサーマイクやモノラルの物を2本立て、HAを用意しミキサーに立ち上げます。

もっと簡単に用意出来るものは無いかなと考えたときに思いついたのが、ハンディレコーダーを代用するということです。

ZOOM H2n

ハンディレコーダーにはステレオマイクが装備され、もちろんHAも入っていますし、何しろ安くて軽い!現場でさっと用意するのはとても便利なのです。

・元々空間を録る事に特化しているので集音方式が複数から選べる
・HAもヘッドフォンアウトも付いてる
・安くて軽い

数あるハンディレコーダーの中でなぜZOOM「H2n」を選んだのか。

H2nハンディレコーダーは、XYステレオ、MSステレオ、2チャンネルサラウンド、4チャンネルサラウンドの4タイプのレコーディングモードを備えた唯一のポータブルレコーダー。また、オートゲインコントロールやコンプレッサーやリミッター、ローカットフィルター、MSデコーダーも内蔵。さらに、最新ファームウェア(Ver.3.0)を適用することで、SPATIAL AUDIO(空間音声)対応のUSBマイクとして、FacebookのVRライブ配信やYouTubeの360°動画作成にも活用できます。

出典:ZOOM H2n紹介ページ

理由1:USB給電出来る/USBマイクとして流用可能

理由2:使い慣れてるメーカー
→以前からQ2n等のハンディビデオレコーダーを現場で使用しています

理由3:低遅延
→ハンディレコーダーはデジタル機器です。ヘッドフォンアウトに出力されるのは、AD-DAされた音になるので遅延はどうしても発生しています。

・H1n 3 ms
・H2n 1 ms
・Q2n 17 ms

96kHz時 / 環境や状況によって変動する

公式には遅延時間が仕様として公開されてませんが、サポートセンターで実際に測って結果を教えてくれました。こういう細かいサポートは、日本メーカーならではですね。

アンビエンスマイクですし、1msくらいなので実際に現場で使ってみても違和感はほぼありませんでした。

なおウチのシステムでは、
H2nヘッドフォンアウト → 簡易的なアナログボリューム → A32 → MADIfaceXT(TotalMix FX)
という流れで組み込んでいます。



改善策③:イヤモニの掃除

以前から全くしていなかった訳では無いのですが、イヤモニの掃除を毎回ちゃんとするようにしました。外耳炎の原因に細菌感染もあるのでイヤモニが汚いのってやっぱダメじゃないかなぁと。

何で掃除するかという点、これは結構意見が分かれる部分がありますよね。多分アルコールで除菌するのが一番良いとは思うのですが、ウチではイヤモニ本体への影響を考えて一応非アルコールタイプの除菌グッズを使用しています。

本番後に拭いて乾かし、除湿剤の入ったケースに入れて保管するという流れです。この乾かすという工程が一番大事かなと思ってまして、湿度は雑菌繁殖だけでなくイヤモニの故障に繋がることも多いですよね。


おまけ:ボリュームを一定にする

これは以前からずっとやってることなんですが、ヘッドフォンアンプの出力ボリュームを常に一定にしておくということです。

イヤモニで聞く音って、同じツアー中なのに会場やその日の体調によって大きく感じたり小さく感じたりしますよね。

その度にボリュームを触っていると、気づかない間に凄く上がっちゃうってこと実はあるので、極力ボリュームは触らないようにしています。




諸々改善して1年半程経ちます。定期的に耳鼻科で見て貰ってますが、今のところ外耳炎にはなっていないので、改善策の効果は一定程度あるのでは無いかなという実感をしています。

耳は大事にしましょう。

いらすとや「イヤーモニターをつけた人のイラスト(男性)」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?