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1曲目のTwilight Sky、2曲目のSparkling Girl

去る2013年1月23日『THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER 012』がリリースされました。つまり多田李衣菜のCDデビューから今日で丸5年になります。おめでとう、李衣菜。そのような節目を迎えたということでたまにはあらたまったものを書こうかなと。
曲解釈とはそのとき自分の思うところやアイドルの状況によって変化するもので、後々振り返ると自分でも新しい発見を得られたりするんですよね。そういった備忘録の意味も込めて今の私が思うことをしたためます。
今回はタイトルにある通りTwilight SkyとSparkling Girlについて。性質や持っている役割の違いや「なぜSparkling Girlが1曲目ではないのか」といった内容です。

Sparkling Girlが"2曲目"であること
李衣菜の「今」をわかりやすく表現している。それがSparkling Girlの試聴を聴いた私の第一印象でした。「お気に入りのヘッドホン」や「エイトビート」など直接的に李衣菜を連想させる単語や爽やかなバンドサウンドから李衣菜の名刺的な1曲になることを予感させました。今でも「Sparkling Girlのほうが1曲目ぽい」という声を度々耳にします。しかしSparkling Girlは李衣菜の2曲目として制作されており、私もフルコーラスを聴いてそれを理解しました。
Sparkling Girlはなぜ1曲目ではないのか。それは曲中で歌われている李衣菜らしさが全て李衣菜がアイドルになってから獲得したものだからです。
Twilight Skyは李衣菜に"与えられた" 1曲目であり、それは明らかに当時の彼女の手に余るものでした。曲に引っ張られる形での成長は李衣菜の歩んできた軌跡の一側面といえるでしょう。そんな曲から自分の想いを見つけた李衣菜が、逆に自分の想いを曲に込めたのがSparkling Girlなのです。李衣菜が自分で気づいた想いだからこそより強く聴く人に訴えかけてくる。そしてアイドルになってなければそこへは辿り着けなかった。だからSparkling Girlは1曲目じゃなく2曲目なんです。

Twilight SkyとSparkling Girlが示す「現在」の違い
Twilight Skyは曲中で三つの時間帯が描かれています。夕暮れ時、夜、夜明け前です。これはそれぞれ李衣菜の過去、現在、未来に対応しています。ですがそれらは単にアイドルになる以前/以降といった特定の地点を意味するわけではありません。李衣菜がTwilight Skyを歌っているその瞬間を基準点=現在とした相対的な過去と未来を表します。つまりTwilight Skyで示される「現在」の位置は時間の流れに合わせて常に変化し続けるのです。故にデビューしたばかりの李衣菜が歌うTwilight Skyとそれから1年、3年、5年と経ち、自分の想いを込められるようになった李衣菜の歌うTwilight Skyとでは大きく曲の色が変わっていることでしょう。例えば1番Bメロの

Beating my heartそれは止められない すべてを輝かすよ

このフレーズの意味が「高鳴る鼓動によって目に映る景色がどれも輝いて見える」という李衣菜の憧れに繋がる原体験から「高鳴る鼓動を伴って私がすべてを輝かせる」というアイドルとしての決意の表れへと変化するように。様々な要因で李衣菜の変わっていくにつれ、その変化した李衣菜の現在に寄り添うように色を変えるのがTwilight Skyなのです。
また、Sparkling Girlも李衣菜の現在を歌った曲になります。ですがこの曲における現在とは「多田李衣菜17歳の現在」でありSparkling Girlがリリースされた瞬間のことを指します。今の李衣菜が思うこと、感じたものをストレートな言葉に込めて曲という形でパッケージした、言わばセーブポイントのようなものです。なので時間の経過でSparkling Girlにおける「現在」の位置が変化することはありません。Sparkling Girlは、李衣菜がTeenagerじゃなくなってもこの曲によってティーンの頃と同じ想いを歌える。いずれそんな曲になるのではないでしょうか。

"シンデレラ"と"アイドル"
さて、これまでの話の中で李衣菜に"与えられた" Twilight Skyと李衣菜が"辿り着いた" Sparkling Girlという言い方をしました。この1曲目と2曲目の関係、即ちCINDERELLA MASTERとSTARLIGHT MASTERの関係は李衣菜に限ったことではないのではと私は思いました。そしてそれは『お願い!シンデレラ』と『とどけ!アイドル』の関係性と同じなのではないかと。
CINDERELLA MASTERの楽曲とはどれもが特注品。いわばシンデレラへ贈られるガラスの靴である。というのが私の持論です。
対するSTARLIGHT MASTERの楽曲は、そのアイドルがアイドル活動を通して変わったことや手に入れたもの、つまりアイドルになって以降に彼女達が自身で見つけ出した要素で構成されているのだと思ったんです。
そして『お願い!シンデレラ』と『とどけ!アイドル』の関係性について。
シンデレラガールズのテーマソングである『お願い!シンデレラ』とスターライトステージのテーマソングの『とどけ!アイドル』どちらも作詞:marhy 作曲:内田哲也による制作でありタイトルにも共通点が見られるなど姉妹曲だといって差し支えないでしょう。しかし両者のテーマは大きく異なります。シンデレラガールズのキーワードのひとつに「変身」が挙げられますが、それは普通の女の子がアイドルに変身することだけを指しているわけではありません。魔法にかけられたシンデレラから「誰かを照らせるスター☆」に。個々にある、此処にある、胸の真ん中にある12時過ぎの魔法を手にしたときシンデレラはアイドルに変わるんです。
そういった"シンデレラ"と"アイドル"というテーマ性の違いが『お願い!シンデレラ』と『とどけ!アイドル』やCINDERELLA MASTERとSTARLIGHT MASTERとの間には存在するのではないでしょうか。

多田李衣菜というアイドルについて知りたいなら特定のカードやコミュを見るよりもTwilight SkyとSparkling Girlを聴くのが手頃かつ一番わかりやすいと思います。私は音楽の知識がないので歌詞中心の解釈になってしまいますが、それだけでも彼女の魅力を十分に理解できているつもりです。
また最後の"シンデレラ" と"アイドル" の話は、お願い!シンデレラ → M@GIC☆ → とどけ!アイドルの順に歌詞を追っていただけると私の言いたいことがなんとなく伝わるんじゃないかなと。またソロ曲についても特に2曲目に関しては思いついたばかりの仮説に近いものなのでいろんな担当のPさんの意見を伺いたいです。李衣菜から離れた話もしてしまいましたが最後までご高覧ありがとうございました。


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