ユニクロさんは、セルフレジ装置について、
今、特許権侵害の件でかなり揉めています。

この件について、私は、ツイッターで下記のように述べました。

いきなり結論になりますが、ユニクロさん、今回、相当困ると思います。
その理由は、以下の２つ！

（１）特許が非常に良く取れている！強い権利になっている！
（２）原告側には、最初、特許を仕込む時から、プロの弁理士が付いている！

私は、持論として、
今の時代に、パテント・トロールのビジネスはやりにくいと思っています。その理由は、
（１）いい特許を手にするのが難しい、なぜならば、特許権じゃも馬鹿ではないから売ってくれない。２０年前のIVみたいな会社は作れない。
（２）その特許技術の実施業者からお金請求もかなり難しくなった。相手側にも交渉のプロが付いているし、逃げ道も作れるし。
そんな風に思っていた私に、今回のセルフレジの特許で、見事に可能性を見せてくれました。
今回のケースでは、珍しく、パテント・トロールの成功事例になるのではないか、と期待しています。

パテント・トロール（略称：NPE）とは、
自らはその特許を実施していなくて、
自分が持っている特許権を侵害している疑いのある者に、特許権を行使して巨額の賠償金やライセンス料を得ようとする者を示します。

NPEになるためには、
先ず、
いい特許を持っていること。
広くて、潰れにくい特許を持っていることです。

次に、
いっぱい使われていること。
その特許技術を使っている業者がいっぱいあること、権利行使の相手がいっぱいあることです。

今回のセルフレジ特許は、
最初からプロの弁理士が付いていて、非常にいい特許をいっぱい作り込むことに成功しました。
また、超大手のユニクロさんがその特許技術を使っています。
なので、この夢みたいな２点、全部満足しています。

ユニクロさんのセルフレジ装置は、こんな感じ。

服を入れた箱を置ける空間があって、
そこに箱を置くと、このセルフレジ装置が勝手に総価額を計算してくれます。

これに対し、今回の特許はこんな感じ。

登録クレームは以下の通りです。
【請求項１】
物品に付されたＲＦタグから情報を読み取る据置式の読取装置であって、
前記ＲＦタグと交信するための電波を放射するアンテナと、
前記アンテナを収容し、前記物品を囲み、該物品よりも広い開口が上向きに形成されたシールド部と、
を備え、
前記シールド部が上向きに開口した状態で、前記ＲＦタグから情報を読み取ることを特徴とする読取装置。

正に、ユニクロさんのセルフレジ装置そのものを表現しています。
ＲＦタグと交信するするためのアンテナと服を囲む区域とを備えていて、ＲＦタグから情報を読み取る。
これがこの特許権の保護範囲です。非常に広く取れています。

しかも、
１件だけではなく、下記の通り、分割出願も孫の子まで３代目までされて、特許ポートフォリオを作ってしまっているので、非常に潰れにくくなっています。

この６件のうち、５件が既にしっかりと登録になりました。
やっぱり、プロが関わると、違いますね。

しかも、
この会社、権利行使のための仕組み作りも非常に賢いです。
この特許を書いてくれた弁理士事務所が関わった会社で、その会社にこの特許を譲渡してあげて、このパテント・トロールが、現在、権利行使をしている状態です。

この会社は、パテント・トロールなら、誰でも羨ましいと思われる会社です。この会社は、我々弁理士のこれからの方向性を示唆してくれています。

この会社のHPをみると、この特許技術のライセンス料は、１，０００円/台.日だそうです。

こちらの方の記事によると、
ユニクロさんだけでも、ライセンス料が年間２２．５億円になるらしいです。
セルフレジ装置を導入する他の会社まで含めれば、年間２００億も平気に超えそうです。セルフレジ特許の価値は、日本だけで年間２００億。特許は２０年間有効だから、日本だけでも４，０００億円の価値があります。

ただし、非常に残念なことは、この特許、日本でしか取れていません。
中国とか米国では自由に使えます。これが、日本の中小企業の残念なところですね。外国出願のハードルが高くて、あんまり出してないんです。

２０１８年時点で、この社長さん我と知り合ったら、私ならタダでも中国出願を手伝って上げたと思います。その後の権利行使の方も私にやらせると約束してくれるのであれば、全然喜んで無料で権利化を手伝います。（笑）

最後にアピールですが、

ここの記事でも書いたように、中国での権利行使のことなら、我々に任せたら、お金掛からず（逆に、稼ぎながら）対応可能です！

いいアイデアがあったら、是非、我々に相談してみてください。