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ひとりでもステージでパンクロックを魅せるという選択

本日、初の校内ライブを終えて爪痕を残すまでに様々な要因が端的に繋がっていた。
所詮学校内でこぢんまりとやる定演ライブではあったのだが。

ことの発端は同じクラスで出席番号がひとつ後ろの相棒と音楽の話をしたことからになる。
彼はブルーハーツが好きだった。
自分も中学2年のときにブルーハーツにはハマったルーツもあり、何より腐ってもブルーハーツは日本でも有数のパンクバンド。同じクラスにパンクロックの話ができる人間がいるとは夢にも思わなかったため、コイツとはたまにでも音楽の話でもしたいな、なんで思っていた。どうやら音楽部でバンドを組んでいてレッドツェッペリンも好きらしい。

それから半年がすぎて10月。「俺、Tigerとバンド組んでブルーハーツの曲カバーするのがゆめなんだよ」なんて、
夢…?とちょっと疑問に思うこともあったがちょうど校内のライブでパンクがやりてぇと思い、そのためには彼を仲間にまず引き入れるところからだと思っていた時分でもあったのですぐにやろう!と言った。

テストがあり旅行があり、テストがあり12月になってとうとう自分は音楽部に入部することになった。初めて部活に行き、彼の友達(自分の知り合いでもあったが)と顔合わせをして、初心者でバンド組んでないからってことでメンバーは4人になった。

私と彼の時点でギター・ボーカルとリードギターの揃っていたこのバンド"ghostmates"にはアコギとベースの初心者が加わった。ワケがわからん。
ちなみに"ghostmates"は私の作った造語で、どうも曰く付きらしいというGから始まるバンドは我々幽霊部員で伝説にするというところからだ。

"リンダリンダ"と"人にやさしく"を演ることになった。期限は3ヶ月後のライブまで。ワクワクしてまたテストに備えた。

テスト1日目。テスト最終日から1週間してライブがあり、テスト最終日の2日後はリハだということに気づいちゃった。
あれだけ時間はあったのに1度も合わせてないことに気づいたがなんとかなるとその時の自分は能天気だった。
が、その翌日後から加わった2人が今回のライブは見送りたいと言ったことで事態は急変。相棒も「2人か…リズム隊もいないし今回は断念しよっかな」と沈んでいる。
初心者がいるにも関わらず気を回しきれなかったことは反省すべき点だった。だからこそ、私は1人でもやるけど本当にやんないの?と彼に告げた。
逃げるのは仕方ない。自分は元来その挑戦する場に立とうとする人間でもなかったから。気持ちはよくわかる気がした。
1人でもやると聞いた彼は「うぉ、かっけえ」とか茶化しつつも、でも俺も今回は…なんて言っていた。
またひとりか。1年前もメンバー全員欠席で迎えた初ライブもひとりでもやった。だから特にこの状態だから彼にそこまでの期待もかけられないでいた。
だけど彼はなかなかにいいヤツで1日その日熟考したのだろう。どうしょうもないやつだったけどまた次の日には、「今回のライブやれなかったら次はないよな」って一緒にやってくれることになった。振り出しに戻っただけ、No Futureってやつさ。

負担的にも選曲を"リンダリンダ"から"電撃バップ"に変えてヘイ!ホーレッツゴー!リハも終えて数回延期した本番当日を迎えた。ギターのハードケースを通学で持ち運ぶのはだいぶ体に応えたなんてこともある。

どうあがいても、どんだけ緊張しても、転んでも泣いても笑っても2人でぶっ飛ばすライブ当日。今までに2人のバンドなんてなかったらしく、それだけでも爪痕を残すことになった。

1曲目、電撃バップ。始まった瞬間頭が真っ白になったと後に彼は語る。彼の演奏を片耳で聞きつつ歌い始めて、リズムにムラを感じていた。ドラムがいないからしょうがない、なんて思っていたがなんとAメロの途中から迷走し始めた。彼の演奏箇所を追えなくなった私は歌うことをやめ切りの良いところで演奏もやめ、MCを仕掛けた。

2曲目は彼の大好きな曲、人にやさしくでこっちはすごいうまくいった。観客の人たちも一緒にガンバレー!と叫んでくれた。アドリブも挟めていい経験に。

そして終わりよければすべてよし。Youth Youth Youthの頼れる仲間がいない中での自分の立ち振る舞い方の勉強になっただけでなく、何よりも楽しかった。高校生の前でパンクができたことが嬉しかった。
中には分かってくれるやつもいたし、「マジカッコよかったっす。特にMCとかパフォーマンスとか高校生離れしててすごいっす」って認めてくれる人もいて報われた。パンクのカルチャーとか流行り以外の素晴らしさとかを一緒にわかってくれる人を増やしたいという大義名分のお陰で余計に報われた気がした。

たしかに1曲目はグダったしバンドメンバーは2人だし、正統派ではない。
しかしここには、たしかに太古から紡がれてきたマインドが存在していた。パンクは今なお死んでいなかったのだ。進化の鼓動すら感じる。

最後に、ひとりじゃなかったのは相棒、お前のおかげだ。この文章を書けたのは、ちょうど友達がアツい長文の文章を今日アップしていたからだ。
Get future for you. 勝手にしやがれ!!
勝手に現在を生きる覚悟を俺に。
勝手に現在を生きる覚悟をおまえに。

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