お尻を触る

「父親は何歳まで娘のお尻を触っていいのか問題」は問題になり得るか(反語)、の話

先日、とある新聞での悩みの声とその回答が話題になっていました。
概要を書くと

【悩みの声(女子中学生からのもの)】
・父親に二の腕やお尻を触られる、ボディタッチが多い
・やめてと言ってもやめない
・母親が注意しても物を投げる、怒鳴る
・休日は朝からお酒を飲んでいて、“最低な姿”しか見たことがない
・別々に暮らしたい

【回答(弁護士によるもの)】
・思春期の娘さんと父親との関係にはよくあること
・親には子どもを監護・養育する権利と義務があるので別居は娘の意志だけではできない
・お父さんのボディタッチは許されない、ひどければお母さんと一緒に児童相談所などに行き相談するのがいい
・しかし、その前に、父親の気持ちを考えてみたほうがいい。朝から働いていて寂しいのだろうから、無視せずに優しく接してあげるべき
・まずは家族で話し合って

すでに母親を通じて注意もしているのに「物を投げる」「怒鳴る」などしているケースは
もはやDVですし(物を投げる、怒鳴るともDVに定義されている暴力の範疇です)、
“家族で話し合う”はすでに行われていて、解決できないと訴えられているものと考えられます。っていうか、書いてあります。

相談の声をあげた結果、
暴力親にばかり親和的な回答を弁護士からされてしまうって、そうとうな地獄ですね。

(そもそも「思春期の娘と父親の間にはよくあること」の意味もわからないし、すでに多くの人が批判されていますが、「思春期の娘は父親を嫌うんだよ〜そういうものなんだよお父さんかわいそうに〜」って、都合よく被害者ぶって思考停止してる馬鹿野郎が多いから、いつまでたっても嫌われる馬鹿が減らないんですよ。嫌われる妥当性が自分にあるくせに、相手のせいにしてるのが悪い)

突っ込みどころだらけの相談コーナーではあったのですが、
今回書きたいのはこの記事自体のことではなく、この記事への反応のひとつ、についてです。

「思春期の子どものお尻に触るなんてセクハラだよ、いつまでも娘が小さい子どもだと思ってるんじゃないの?」
というもの。

思春期の娘さんのお尻に触ってはいけない。
それは同意します。
でも、「思春期前の娘さんのお尻にだったら触ってもいい」みたいな言い方っておかしくない?
思春期前の娘さんのお尻って、好きに触っていいものだったっけ?

ということで、本記事では
1、何歳の娘のお尻なら触ってもいいのか
2、抱っこ・ハグならどうか
3、オムツ替えはどうなのか

について書いてみます。

上述の相談コーナーからの話題ですので「父親」「娘」をタイトル・例に出していますが、
実際は親の性別も子どもの性別も問わないです。

また以下はあくまで私の思うことなので、実際にどうするのかは、それぞれ夫婦なり親子なりで話し合ってください。
夫婦・親子間で同意や合意が取れているならそれでいいです。
取れているなら。

なお同意や合意については、先日書いたこちらの記事のsex positivetyについての条件のあたり、非常に参考になる話が聞けたと思っておりますので
ご参照いただければと思います。


1、何歳の娘のお尻なら触ってもいいのか

何歳の子どものお尻も、触っちゃダメ
が原則だと思います。
思春期前でも、幼児でも、乳児でも。

お尻だけじゃなくて、プライベートゾーンと言われる場所は全て、です。

もう少しだけ具体的に言うと
口と、“水着を着たら隠れる場所”です。

女の子と違い、男の子の水着だと胸部は隠れない(ことも多い)わけですが
男の子の胸部だって、女の子同様に扱っていい部分だと個人的には思います。

少し前に復刊した『いいタッチわるいタッチ』(安藤由紀)という絵本、オススメですよ。
本編のあとにいろいろな解説が載っているのですが、勉強・参考になります。

「自分が許可した時以外は、プライベートゾーンに触らせない」というのは
性的加害をふせぐため、
また
被害があったら、そのことに気づけるために重要です。

思春期前の、たとえ「“性”のなんたるかもしらない」と思われているような幼児であっても、
性的被害にはあいます。
思春期以降であれば性的加害であると言われているのと同じことをしても
“そうだと認識できない”子どもであれば加害にならない、なんてことはないです。

逆に、たとえば精通がないとか月経が始まってないとか、
そもそも“性欲”を認識しているのかどうかもわからない、というような年齢の子であったとしても
加害者になり得ること、なってしまうことは、あるのだろうとも思います。
被害者だけでなく、加害者にならないためにも大切なことです。
男の子であろうと、女の子であろうと。

被害であろうと、加害であろうと、男の子にも女の子にも、本来的にはリスクがあります。

それにしても
自分が被害にあったのだと認識できない、
そのことに付け込むというのは、非常に残酷で、卑怯な行いですね。
自分が被害にあっていたことに、10年近くも経ち、思春期に入ってからやっとで気づくのって、
ものすごい絶望ですよ。

せめて、「なにかおかしいな」と感じたその時に、
信頼できる大人に相談できて、
信頼し続けられるような対応をしてもらえることが必要
です。
最低限のこととして。

なお、性的加害は、血縁者・実の親からなされることもあります。
親しくしている先生だったり、よく遊んでくれる近所の人から被害を受けることも。

そのため「自分が許した時以外は、プライベートゾーンは触らせない」原則は
全ての人間を相手に適用される必要があります。


2、抱っこ・ハグならどうか

プライベートゾーンには触れない抱っこやハグならどうか、といえば
これも準じる扱いでいいのでは、と思います。

あと、くすぐりとかも含めていいのでは。

特に幼児とかだと、親子間だと
「抱っこ抱っこ抱っこ抱っこ! 抱っこー!!」
って言われて
「くそー、はいはいわかりましたよ、うっ重い!」
ってなる。
ということ、1日の中でも頻繁に起こるのではないでしょうか。

私と3歳ちょいの子どもとの間でも、よくあります。

これね、「小さい子は抱っこしてもらいたがるものだし、親なら子どもを抱っこして当然だから抱っこしている」んじゃ、ないと思うんですよ。

1、子どもが親による「抱っこ」を要望し、同時に許可を出している。
2、親がそれに同意を返し、合意が形成される。
3、抱っこに至る。

っていう、3ステップによっているんです。

乳児や、まだ会話を成立させることが難しい子どもの場合だと

1、子どもが親による「抱っこ」を要望し、同時に許可を出している。と、その泣き方から推察される。
2、親がそれに同意を返し、合意が形成されたと推定する。
3、抱っこに至る。
4、子どもが泣き止むことによって、おそらくはこれで大丈夫だったのであろうという推定に至る。

の4ステップです。

いま3歳のうちの子はYouTubeが大好きでして
3歳の影響で私はセイキン・ヒカキン兄弟や鈴川綾子さんを知ったようなものなのですが
熱中・集中が過ぎていると思われるときとかに
「そろそろ終わりにしてくださーい、お母さんにもかまってくだーい」つって、ハグしたりとか抱っこしたりとかするんですよ。
で、
「抱っこじゃなーい!」「抱っこしないでくださーい!」とか言われます。

したら、私は「はい。ごめんなさい」と言って、抱きつくのをやめます。
そういうものなのだと思います。

合意のない抱きつきは、親であっても、してはいけないです。

なお、YouTubeの視聴はやめたりやめなかったり、まちまちです。
(あらかじめ視聴時間の約束をしているので、中断行為を強制執行したりもします)(最近では「一緒に観よう」と誘われることがとても多いです)

トイレの(大きい方の)あとの「お尻を拭いてあげる」というお世話も、
まぁこれも3歳の合意によって成立しているとみなしていいのかな、と思います。
うちは一応「拭きまーす」「はーい」という会話をしています。
(時々「ダメでーす!笑」って言われて「ダメはダメでーす!笑」って返す、みたいなこともやってます)

また
幸運なことに、うちの3歳はしたことがないのですが
道端で転がって泣き叫んでいる
とか
公園やスーパーでいつまでも動いてくれない
とか
そういうときに、止むを得ず、抵抗されても抱きかかえてその場をどうにかしなければならない、ということはあると思います。

そういうのも避けたいけど、でも、まぁそういうのは仕方ないよね。とは思います。

ポイントは
「抱きかかえることが仕方ない、と判断できるだけの妥当性があるかどうか」
かと思います。
妥当性の確保の問題。

道端で寝転んでいるのは衛生上、また車などの往来もあれば危険ですし、
公園やスーパーから動けなければ、通常通りの時間にご飯が食べられず、睡眠時間に影響し、生活ペースが乱れ、健康に影響を及ぼすことがないとも言えません。
とか、まぁ、そういうようなことです。

会話ができる年齢であれば当然ですが、それがまだ難しい低年齢児であっても
原則は「同意や合意がなければしてはいけない」で、崩してはいけない
のだと思います。

たとえ子どもであっても
相手は他人であり、別人格であり、個別の尊厳を持つ個体であるということ。
境界があるということは、きっと忘れちゃいけないです。


3、オムツ替えはどうなのか

乳児って、同意や合意をとるどころか
意思の確認をとること、推測することすら難しいです。

でもオムツ替えって、“プライベートゾーン”にめちゃくちゃ関連する行為です。
少し前、男性保育士のオムツ替えやトイレの付き添いについても、話題になりましたね。

私は、オムツ替えについても
やっぱり原則は崩さない方がいいんじゃないかなと思っています。

保育士さんなどの場合、「難しい」とか「現実的じゃない」とかも言われていたけれど
やっぱり「子どもと1対1にならない形にする」ような、何かしらの対策を考えるべきだと思っています。
男性保育士に限らず。

保育士による園児への加害については、しばしば事件にもなっていますよね。
しかも、再犯だったケースもあるじゃないですか。
そんなザルな状況、あり得ないでしょう。

なんか
「オムツ替えは保育士なら重要なスキンシップのひとつなのでは」みたいな
そんな文字通りクソの役にも立たないコメントも見かけたのですが
オムツ替えはスキンシップのための行為ではないですよ。
スキンシップなんて、プライベートゾーンに関わらない他の箇所でもとれるんですから
そこでとった方がいいです。
プライベートゾーンに関連する部位でのスキンシップは、同意と合意がとれる年齢になってから持つべき。

オムツ替えをスキンシップとか言ってるからキモいって言われんだぜ。ばーかばーかあっちいけ。って思いました。

でも布オムツ推奨の場とかだと、そうでなくても母親学級とかでも、よく「オムツ替えはスキンシップの機会」って言われるようなこと、
そういえばありますよね。。。

結果的に、副次的効果として、
あくまで結果論としてスキンシップがはかれることもあるでしょうが
それはあくまで結果論です。
というのが、現状での私の思うところです。

もし、スキンシップの手段としてオムツ替えにこだわる気持ちがあるのであれば
それはなぜなのか
、少しくらいは掘り下げて考えてみてもいいのでは、と思います。


ところで
保育士よりもさらに難しいのは、保護者の場合です。
1対1じゃない状況を作るのは難しいことも多いでしょうし
“加害がなかったことを映像におさめておく”なんてこともできないわけです。
いや、できなくもないかもですが
オムツ替えのシーンを映像にして残すなんて、それこそ虐待案件じゃないかと思われます……。
(うんちの踏ん張り中の写真募集、とかしてるメーカーありましたよね)(あれ最低だと私は思いました)(私がもし赤ちゃんのとき、そんな写真を撮られて公開されていたとしたら、一生親のこと許さない)

保護者によるオムツ替えは、
そこはもうどうしてもどうしようもない、“例外”の事態として扱うしかないのかなと思います……。

「いつかこいつも男を知っちゃうのかな〜」と、オムツも取れていない乳児の膣に指を突っ込む父親の実話らしい話を、読んだことがあります。
児童虐待に関する授業で、虐待死した乳児の写真を見たこともあります。性的虐待も受けていたそうで、肛門に男性器を突っ込まれ“しまらなく”なってしまった、という写真も、それらの中にはありました。

とある作家さんの、「まだ乳児である自分の子どもの男性器を妻が口に含んでいるのを見てしまった、と悩む男性が主人公の小説」を見たときには吐き気がしました。
それは創作でしたが、きっと本当にそういう行為に及ぶ親だって、いるでしょう。

そういう現実がある世界の中にいる、ということを、忘れてはいけないのだと思います。
私たち大人は、肝に銘じて
信頼を損なわないでいられるよう、覚悟と注意をしていなければならないのではないかな、と。


「父親は何歳まで娘のお尻を触っていいのか」問題、
結論は冒頭に、そして繰り返し書いたとおり
「何歳の子どものお尻も、触っちゃダメ」なのだと思います。

そして、お尻にかぎらず、特にプライベートゾーンに触れるような場合には、
同意と合意をとること。
相手が幼児であろうとも。
思春期の子が相手というのは、そもそも“論外”です。議論なんてするまでもない。

絵本『いいタッチわるいタッチ』(安藤由紀)は、
実はまだ私が読んだだけで、子どもに読み聞かせはできていないのですが
もうすぐ3歳半のうちの子も、そろそろ十分に理解もできる頃合いと思われますので
この週末、夫も一緒に読んでみようと思います。


おわり。

以上、全文無料でした。

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