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〜不定期連載・取材後記〜「2023July取材後記:ヤマダ・コータ」

続いての「取材後記」シリーズはMF山田康太選手の登場です。

2023シーズンより柏へ加入した山田康太選手

山田選手は今季、J2のモンテディオ山形から加入。攻撃に厚みを加えることができるアタッカーとして、その能力の高さや豊かなテクニックを見せてくれています。

山形とはスタイル的に異なるサッカーを標榜する新天地・柏レイソルで「新しい自分」を探し始めた矢先の2月の「ちばぎんカップ」ではサポーターの心をがっちり掴み、春先のある試合では負けん気の強さを感じさせる一面も披露。トレーニングでも独特の存在感を放ち、全ては順調に進んでいるかのように思われましたが、シーズンが進むにつれて徐々にプレータイムに変化が見られ、自身が置かれたシチュエーションに変化が見られながら、シーズンは夏場に突入してマッチ。スケジュールは小休止。

今回、山田選手へマイクを向けさせてもらったのはJ1リーグ中断期間のタイミング。自ずとインタビューの趣旨はレイソルでの前半戦を振り返るものとなりました。山田選手に去来していた気持ちとはどんなものだったのか、聞かせてもらいました。山田選手の記事は2月以来となりますね。

このインタビューを読み終わるころにはみんな、山田選手を大好きになることでしょう。強めのビジュに隠された頭の回転の速さや感受性豊かな回答をご確認ください。
(2023年7月26日・柏レイソル公開練習日にて収録・再編集)
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◆元気ですか?お話しましょう。

KY11:ハイハイ。元気ですよー。

◆まずは「最近どうですか?」というところから始めましょうか。

KY11:自分は変わらずにやっていますが、チームとしてやろうとしていることや方向性が開幕あたりの頃とは変わっていて、そして、さらにそこに「J1残留」というベクトルが示されているので、そこに対して自分ができることを考えながら日々やっていくことしか自分は今はできない。だから、「自分はこうしたいんだ」という考えは一度横に置いて、自分たちが降格圏にいることは間違いのない事実なので、「今やるべきこと、求められることをしっかり続けていこう」という気持ちで毎日臨んでいます。

サイドを主戦場としてプレーした2023前半戦

◆このところの山田選手のプレータイムやメンバー入りの回数などを鑑みると、もしかしたら、やや悩んでいたり、もがいていたりするのかなという予感があったのですが、そのあたりはいかがですか?

KY11:自分が昨年まで山形で付けてきた自信の部分というか、「次はもう1つ上のレベルでの挑戦をしてみたい。今ならやれるんじゃないか」と思っていた自分の能力的な部分で、勝負をできていないところに悔しさはあります。もちろん、カテゴリーが上がり、人も所属チーム自体も変わった。そこの難しさはまずあるとしても、感覚的なところというのか…サッカーのスタイルが異なる中で、自分はどのようにチームに貢献できるのか…「悩み」?って言い方が正しいかは分かりませんが、自分があるポジションに入った場合に求められる役割についても、じっくりとチームスタッフと話をさせてもらいました。自分が感じていたことへの返答がチームに共有されれば、チームにとってもとても良いことだと思ったので。今季の最初はサイド中心の起用がメインでしたが、今はやり方も変わりましたし、自分も他のいくつかのポジションでのプレー機会をもらえています。まだ公式戦でトライできていないのですが、きっと以前よりも貢献できるはずだと思います。

◆それらは時系列的に今よりも少し前のタイミングの出来事というところでしょうか。興味深いコミュニケーションですし、山田選手らしいなと思います。「とにかく力になりたい」と。

KY11:そうです。「悩み」というよりも、「トライすべきじゃないか?」と感じていたことをスタッフと話したという感じですね。ただ、それは選手ではなくチームが決めること。自分はチームが求めることに対して最善を尽くすことを優先すべきだと思うので、自分たちはそこに向かっていくだけという考えに変わりはありませんから、少し踏み込んだ確認をさせてもらって、はっきりと回答をもらえたという感じですね。チームもすぐに意図や要求を分かりやすく伝えてくれて、その後に練習にも反映してくれました。

貴重な「ゲームチェンジャー」タイプのアタッカー

◆良いコミュニケーションから理解を深めた中でポジション的にもレイソルでの新たなチャレンジが始まっていた。

KY11:少しの間、実戦から離れてしまっている現実はあるので、また起用してもらった時に、与えられたポジションで、自分は明確な「違い」というものを示さなければならないことであるとか、現状がかなり難しいシチュエーションだってことは十分理解しているので、やるしかないって思っていますし、良い準備を続けられているので、チームにもサポーターにもポジティヴに「山田康太、変わったな!」って思ってもらえるような結果を残したいです。次、すごく大事だと思っています。

◆山田選手が持つ、あるいは放つ、「違い」の印象として、攻撃が派手になるような良さと、常にボディアクションで周囲と会話をして、それがチームに広がっていく印象があります。ピッチ内でのコミュニケーションについて聞かせてください。

KY11:試合の中でのコミュニケーションの部分は…まずは自分がもっと試合に絡まないとって大前提がまずあるのですが(笑)、元々、気づいたところは言葉にしてチームメイトに伝えていくタイプですし、今もグラウンドやロッカールームで言ってはいます。立場に関係なくもっとコミュニケーションを取って、伝え合ってもいいよねって思っています。何かをチームに伝えることで、自分に責任も増していくものでもあるし、きっとこの先には強めに意思表示をするべき必要がある場面も出てくる。自分がそういう環境で育ってきている影響もありますが、自分は(立田)悠悟くんと試合中に激しくやり合ったこともある。でも、その日も試合が終われば、いつも通り一緒にいましたし。勝つためなら、もっと伝え合っていいんじゃないかなって思って続けています。

そりゃ、陽光もいい感じに当たります

◆では、インタビューのラストにこの夏の山田康太の指針を聞かせてください。

KY11:日程的には折り返しのところで、引き続き初歩的な部分であるのですが、「自分の特長を分かってもらう」ことですかね。良くなっている感覚はあるけれど、練習で、試合で、ピッチで繰り返さないとチームも選手も自分の起用だったりプレーに踏み切り辛くなってしまうものだと思うので。今後、ムダにできない試合が続いていく中で、チームには今後のコンセプトがまずあって、その中で1発で自分を選ぶかどうか、そこに躊躇があるのかなという部分は分かりますから、毎日毎日の練習やTMで信頼を勝ち取っていくこと。目の前の課題を克服していく。アピールを続けていくということですね。自分はこれからももっとレイソルでプレーして、もっと勝ちたいので!


◆うーん。これはまた、「みんな大好き」になっちゃいますね。
KY11:いやいやいや。またがんばります!

7月26日の練習後、山田選手に直撃しました



インタビューは以上です。

マイクを向けるたび、言い淀むことなく胸の内を伝えてくれると共に前向きなオーラを全身から放つ山田選手。今回のインタビューも内容的には少し思いムードが漂ってしまっても不思議ではないのですが、様々な感情をこちらに話す様子はとても前向きというインタビューとなりました。ピッチでの「山田、変わったな!」という瞬間は今から楽しみてすが、「前向き取材対応」だけは変わらないで!と思いました。

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