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高知、神奈川、東京、長野の大学生がTikTok LIVE 同時に講演を視聴する時代。信州大学Global CaféのTikTok活用がすごかった〈信州大学Global Caféインタビュー〉

「TikTok売れ」が2021年のトレンドキーワードとなったことに象徴されるように、今年は個人が発信するショート動画がきっかけで流行が起きるなど、企業がプロモーションの手段としてTikTokを積極的に活用するケースが目立ちました。

このようにビジネスの側面で語られがちなTikTokですが、実は教育面でも活用されるするケースが増えています。

たとえば、中央大学商学部(@commerceはTikTok LIVEでオープンキャンパスを実施し、今年の入試で志願者を増やすことに成功しました。

ほかにも、資格保有者が独自のショート動画を発信して人気クリエイターになるなど、”学びの場”としてTikTokが捉えられるようになっているのです。

そんな中、大学で行われる講演をTikTok LIVEで配信した事例があったのをご存じでしょうか。

長野県にある国立大学、信州大学工学部のGlobal Caféは、人気TikTokクリエイターによる連続講演を企画。講演の様子はTikTok LIVEで生配信され、学生以外にも多くの視聴者が講演に参加したのです。

国立大学の学生の活動が主催する講演会でTikTokクリエイターが講師としてTikTok LIVEを配信するのはもちろん今回が初の試みとなります。

TikTokクリエイターによる講演はなぜ実施されたのか。今回の企画からTikTok LIVEによる今後の学びの可能性が見えてくるかもしれません。

学生が殻を破るきっかけにTikTok LIVE

本企画のホストを務めたのは、ご自身も人気TikTokクリエイターとして活躍しているBossBさん(@herosjourneygc)です。科学や宇宙のことをもっと知りたくなる動画で人気を博しているBossBさんは、信州大学学術研究院(工学系)の講師としても活躍しています。

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BossBさんは、天体物理学以外にもグローバルコミュニケーションの講義を担当し、学生にグローバルな視点を持つことの大切さを日々教えています。

また、今回の企画を主催した学生の活動Global Café(グローバルリーダーを目指す学生・留学生が所属)でも、グローバルな視野を培う取り組みを行っています。

「より多くの日本人が海外に出る、国内にいてもより多くの留学生と交流する、こういったことで学生の殻が壊れ始めます。そう信じるからこそ、これまでもさまざまな取り組みを行ってきました」

しかし、BossBさん自身や大学としての取り組みがありながらも学生の興味・関心がなかなか外に向いていかない実情があり、BossBさんはこのことに問題意識を抱いていました。

「学生が英語や多文化交流を避けるのは、自らを発信することへの恥ずかしさが根底にあると思っています。これは日本の文化等が原因なのではないかと思っていますが、そんな殻は破ってどんどん外に出ていってほしい!」

この現状を変える一手としてBossBさんが考えたのが今回のTikTok LIVE講演だったのです。

「学生と同年代で自分の思ったことを発信しているTikTokクリエイターはたくさんいます。そういったTikTokクリエイターと交流・議論すれば学生も変わるのでないかと。グローバルの第一歩として発信する大切さや違いを認め合う大切さを学んでほしいと企画しました」

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BossBさんが大学内で国際交流関連の役職を担っていたこともあり、話はとんとん拍子で進んだそうです。

内容は自由!人気TikTokクリエイターによる講演の可能性

今回の企画では計5名のTikTokクリエイターが講師として登場。講師の選定は学生が主体となって行われました。

講演のテーマを『多文化理解と多様性』と定めた以外は、具体的な講演内容は基本的に各クリエイターの裁量に委ねられました。

パワーポイントを用いた形式、学生や視聴者も交えた議論形式など、それぞれのTikTokクリエイターの特徴が思う存分に発揮される講演が生み出されていきます。

約30万人のフォロワーを持つ『StudyInネイティブ英会話』のみっちゃんさん(@studyin)は、「海外生活を楽しむためのコツ」や「意外と知らない日米の違い」などについて、約9万人のフォロワーを持つ『サイモンのイキれる英語教室🇺🇸』のサイモンさん(@simonunherは、英会話の習得・上達の方法について講演しました。

多文化理解と多様性というテーマを強く感じられる内容となったのがフランス語を母国語とするアフリカ出身の両親を持つNamikoさん(@namikokokuの回です。北海道出身のNamikoさんは、お父さんがコートジボワール出身、お母さんがトーゴ出身で、フランス語も話せますが、日本語が母国語です。学生からのさまざまな質問に答えながら、ご自分の多様な背景から学んだ、自分らしくいること、というメッセージを発信されました。

一般的な講義とより一線を画した講演を展開したのが帆南さん(hannari_hannah) です。帆南さんは帰国子女であり、また女優としても活躍しています。英語を話せて演じることもできるという特徴を活かして、楽しく英語を学べる動画を発信しています。今回の講演でも参加した学生と寸劇を実施。学べて、かつ、楽しい講演を展開してくれました。

また、約400万人のフォロワーを持つ『MC TAKAのズボラ英会話』のTAKAさん(@kinpatsu_megane)の講義では、TikTok LIVEの長所が十二分に発揮されました。

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TAKAさんは講演前半から「英語の価値」について学生、視聴者を交えて討論を開始。

視聴者からの「日本で住んでいる限りは英語を話せなくてもいい」という英語を学ぶこと自体への批判にも回答するなど、多種多様な意見を参加者全員で話し合う場が形成されました。

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「TikTok LIVEこそ学びの本質」と語る本意

今回が初の試みとなったTikTok LIVEによる講演。

ホストのBossBさんは今回のTikTok LIVEによる連続講演をこのように振り返ります。

「TikTok LIVEは双方向性が強く、学生とTikTokクリエイター、そして視聴者までも巻き込んで自由に議論できます。アクティブラーニングですね。」

この双方向性と近接性がTikTok LIVEによる学びの醍醐味だとBossBさんは考えています。

「素晴らしい発信をしている人気TikTokクリエイターとカフェでお話ししている感覚で交流できる。私たちのような学生と年齢の離れている教授陣とは違い、年齢の近いTikTokクリエイターと学生が議論・対談する形式の学びをもっと展開していければおもしろいのではないかと思います」

もちろん、TikTok LIVEは一般的な授業・講義とは全く違った形式です。

一般的な講義では講師が学生に対して教える時間、つまり講師の話す時間の割合が多い傾向があります。

一般的な授業・講義の在り方に疑問を持ち続けているBossBさんは、

 「私は教員の仕事は学生が自ら学べる場を提供することだと思っています。教員が一方的に話すだけの形式では、主体的に学んでいこうという意識を持つのは難しい。私も学校の授業はつまらないと思っていました(笑)。TikTok LIVEの双方向性は私が考える学生に提供すべき学びの場のひとつの形となる可能性があります」

と言います。

学生からは「ただ座って聞くだけの講義より学べるかも」という声も

BossBさん同様に、実際にTikTok LIVE講演を受けた学生も普段の講義とは違った良さを感じていたようです。

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「僕の意見に対してコメント欄に視聴者さんからの賛同や応援の声があったりなど、一体感を感じられました。他の人がどう考えているのかがリアルタイムでわかるのはTikTok LIVEだからこそだと思います(信州大学 藤曲勇人さん)」

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また、信州大学工学部Global Caféは他大学とのつながりがあり、神奈川大学や高知工科大学、芝浦工業大学の学生も参加。

信州大学の学生同様にTikTok LIVEで多くのことを学べる手ごたえを感じています。

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「今回のTikTok LIVEでは大学内の学生だけの議論よりも広がりを感じられました。TikTokクリエイターさんのお話はもちろん、見ている人から自分の全く想像していなかったコメントが来たりもして『そんな意見もあるのか』と普段とは違う視点から考えることが出来ました。(神奈川大学 石垣りくさん)」

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「違う大学で、違う場所にいるのに一緒に講演が視聴できる点が画期的でした。普段の講義よりも意見交換も活発で、聞いているだけの講義よりも学べることも多かったです(高知工科大学 橋爪見奈さん)」

この他にも、BossBさんも強調していた、学生と年齢や距離が近いTikTokクリエイターとの交流による学びの効果を感じていた学生の声もありました。

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「僕個人も留学をしたことがあるのですが、その経験の良かった点を上手く言語化できずにいました。MC TAKAさんが自身の経験談を交えて多文化理解や英語の価値の話をしてくれたので、自分の留学の経験の価値を再確認できました(信州大学 伊藤慎太郎さん)」

学生視点から見ても今回の企画は良い学びの場となったようです。

今回が初の試みとなったTikTokクリエイターによるTikTok LIVE講演。今後学びのひとつの形として定着するかもしれません。

禁無断転載

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