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ストリートスマートを求めて

『学校の勉強だけが
「スマート」じゃない。』

使い古された表現である。

必死に勉強して、
わざわざ人より一年浪人したのに
こういうこといってくるおじさんいる。

「学校の勉強はできなかったけど
俺はドブ板で知恵と友情を
身につけたんだやわじゃないぜ小僧」

とかいう謎のマウント
取るんじゃないよまったく。


必死に勉強したバージョンの
お前が俺なだけだよ。


ただ私は最近気づいたのだけれど
ありとあらゆるスマートさに
憧れやすい人間なのだ。

小さなころから
運動でも勉強でも
上手にできる人をみると
いいなぁー、かっこいいなぁー、
と思ってしまう。

飲み会をさっと支払っていく「スマート」
ポイント10倍を安定的に叩き出す「スマート」
スーパーで新鮮な魚がわかる「スマート」

世の中にはいろいろな
スマートであふれている。


私の姉は勉強が苦手なほうで、
よく自分と比較してくるけれど、

飲み会での話術はすごい、
ゲラゲラ爆笑をかっさらっていく。
話術IQは75くらいあるとおもう。

言ってみればトークスマートである。


英語圏でも実際にほにゃららスマート
ってのがあるらしい。

“book-smart”というのが、
いわゆるガリ勉的な頭の良さ、知識で

“street-smart”というのが
修羅場をくぐって身についた知恵らしい。


私が今必死に身につけようとしているのは
“street-smart” の方である。

これは一筋縄では行かない。

やはりドブ板でなければいけない。
そして苦労して、
本物の仲間に出会い、
揺るがない知恵を手に入れる必要がある。


このストリートスマートの価値は、
ここ一年で急速に上がった気がする。

ブックスマート的な知恵は、
AIによって簡単に引き出されるようになった。

それは、中央集権的で、画一的で、凡庸な、
辞典を開いたような答えがポンポン出るのだ。

文章だけではなく、
絵、映像、写真、音楽、
顔写真の加工に至るまで、
90点の正解が簡単に出せるようになった。


だけど、

先生が怒る瞬間に現場から消える方法とか、
凍った道路を素早く歩く方法とか、
ばあちゃん家で覚えた火の起こし方とか

AIはこういうのはまだ苦手。
つまり、知識というより知恵である。

これは個々人の経験に
強く紐づいている。

これを大人になってから
獲得するのは意外と難しいとおもう。

知恵を獲得するには、
多くの失敗を積み重ねなきゃいけない。

そして生半可な知識でごまかすんじゃなくて
裸一貫で失敗を受け止める必要がある。

大人になるほど、失敗に弱くなる。
だからなるべく若いうちに
いろいろ経験しておきたい。


そもそも何でこんなタイトルにしようと思ったんだっけ。

そうだそうだ。

ストリートフードを求めて(原題: Street Food)というNetflixの番組があったんだ。

でてくるのは、
世界各国の屋台ではたらく
おじちゃん、おばちゃん。

重労働が手に刻み込まれた語りは
ストリートスマートの結晶だ。

ブックスマートに生きるより、
ストリートスマートに憧れる自分は
この番組が大好きだ。