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森口博子さんとの作品作りについて〜その1

5月24日にリリースされた森口博子さんのアルバム「ANISON COVERS」のことについて書きたいと思ったのですが、その前に森口さんと仕事を一緒にやらせてもらうようになったきっかけの曲「ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中 」について書いてみようと思う。


森口さんと初めてお仕事を一緒にさせてもらったのは、2015年にリリースした30th Anniversary Single「I wish 〜君がいるこの街で〜」のC/Wとして、収録された森口さん自身のセルフカバー曲「ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中 〜2015ver」のアレンジャーとしてでした。
当時、森口さんのA&Rで、プロデューサーとして現場の指揮を取られていた我がBossのJohnnyさんに、ご指名いただき、この大役を。ガンダム・ソング界の至宝とも言えるこの楽曲を、オリジナルの雰囲気を残しつつ、生の弦を入れた荘厳な2015年バージョンの音でアレンジして欲しいと言われ、プレッシャーは半端なかったですが、森口さんやJohnnyさんとやりとりしながら、かなり自分では納得のいく形にできたと自負しております。

まず驚いたのは、森口さんのオリジナル楽曲を好きでいてくれているファンへの心遣いと期待を感じながらの細かな音へのこだわり。そこには深いガンダム愛を感じました。僕もなるべく、オリジナルのフレーズは踏襲しつつ、音色や使う楽器の変更によって、何か時代を経て生まれ変わった楽曲になるようにアレンジしていきました。ギターのフレーズはなるべくオリジナルのままで、さらに生楽器ならではのダイナミクスを付けて。シンセのフレーズは生の弦楽器に置き換えたり、ストリングスで導きたいところを追加したりで、よりエモーショナルに。3番のAメロに登場するピアノのアルペジオフレーズはオリジナルにはない新たなフレーズです。
この曲の1番から2番まではほとんどドラムレスのゆったりした表情なのですが、3番から満を持したかのようにリズムが入り、歌詞も激しくなって盛り上がってくるのがこの曲の醍醐味でもあると思います。それをさらに彩る煽情的でかつナチュラルでスピード感のあるフレーズが欲しいなと思いピアノで入れてみました。結果的に、森口さんも喜んでくれました。頭のストリングスだけによるプレリュードも森口さんからのアイデアで、レコーディングの当日朝か前日に、急に言われて焦った記憶がありますが、これがとても良い感じにハマりました。Johnnyさんは、基本、音周りに関しては、現場に任せてくれたので、初めての現場でも安心して思い切りやれました。現場のモチベーションを大切にしてくれる素晴らしいBossです。

ミュージシャンも、長く僕がよく一緒にやっているミュージシャン達を呼んでのレコーディングになりました。DrにHIDE、E.Bassに森口翔太、E.Gtに成尾憲治、A.Gtに纐纈悠輔、弦は下川美帆ストリングスという布陣。森口さんは本当に全く偉ぶることはなく、逆に周りへの気遣いが素晴らしく、頭の回転も速く、テレビ画面などで見るままのユーモアで笑わせてくれるので、みんないっぺんで森口さんのことが好きになります。ミュージシャン達もこの現場に関われることを喜んでいました。
ボーカルディレクションはJohnnyさん。

この布陣で素晴らしい作品が出来上がったと思います。
もちろん91年の機動戦士ガンダムF91のテーマ曲だったオリジナルの楽曲の持つ様々な意味を考えると、オリジナルと対抗できるようなものでないのは重々承知していますが、2015年に一緒に仕事をやらせていただいた僕だからこその“2015年の森口博子”を充分に感じられる作品になったのではないかと思っています。

その後、2019年に発表された「GUDAM SONG COVERS」にも再収録され(※カバーアルバムなのでこのアルバムでは2015verは外されました)、サブスク、各種配信でも展開されていますので、ぜひ一度お聞きください。

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