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自分らしさは絶対眠ってる。「好きなもの」だけにとらわれないで

双又翔さんの刑務所を舞台にした漫画、
『ナンバカ』をご存知だろうか。

この中で、主人公のジューゴが
「俺には欲がない」と悩むシーンがある。

同室の仲間、ウノはギャンブルが得意(あと女好き)。ロックは美味しいものに目がなく、ニコはアニメやマンガが大好き。

それぞれが「欲しい物は何だ」と聞かれればすんなり答えられるのに、
ジューゴだけは答えに迷ってしまう。

『あいつらには特技があって、趣味があって、好物があって。でも俺には何もない』

こう語るジューゴの姿に、私はものすごく胸が苦しくなった。
ジューゴ推しだった(知らんがな)ことを抜きにしてもだ。


「これが私の好きなもの?」

ジューゴの悩みがグサリと刺さったのは、
私も同じように「これが自分の好きなものだ!」とはっきり言えなかったからだ。

「自分、何となくこれが好きかなぁ」とは思っても、それを趣味嗜好として公言していいの?と悩んでいた。というか今も悩んでる。

そして当時、大学生だったのだが、
周りは趣味に打ち込んだりサークルを掛け持ちしたり、学びたい分野を懸命に勉強したり。

それぞれの「好きなこと=目指すべき方向」が明確で、いわばアイデンティティをしっかり持っているように見えた。

みんな好きなことが決まっているのに、私は入りたいサークルも、力を入れて勉強したい学問もない…。

私は無味で、つまらないんじゃないか。

「好きなことで自分を語れよ!」という台詞があるが、
語れるほど好きなことがない私には「自分がない」のだと、思ってしまったのだ。

「好き」を語れる人になりたくて

私には、少しでも興味が触れるとオーバーなくらい興奮して語るクセがある。

「うっわぁ尊いわぁ〜」とリアルに思うときもあるが、
実際はそうではなくても、感じたことを話す時、数十倍に盛る時があるのだ。

それは「これだけ好きなことを私はちゃんと持ってる!」と自分にも周りにも言い聞かせたいから。

こうしないと、自分を表現できない気がして。子どものように反応してしまう自分が正直好きじゃなかった。

※最近は「かっこいい!」「それ最高じゃん!」とバチバチに人を褒める習性に繋がってるので悪くないかな…と思ってる

見えなくても「自分らしさ」は絶対ある

だが、大学を出て大人になってから気づき始めた。

「自分を語る」のに、好きなことは絶対に必要なものではないと。

ジューゴだって、自分には何もないと言うがそんなことは絶対あり得ない。

彼は読者から見れば十分魅力的なのだ。

  • どんな牢屋でも絶対抜け出せる鍵の解除の達人。天才か?

  • 普段はクールなのに、他の仲間のワチャワチャに巻き込まれ、ツッコんだりキレたり。何てギャップ萌え。

  • ニヤッと笑う時のワルなところとちょっと幼げなところ。はい最高ホレる。

ほら、何も無いなんてことはない。
他のキャラクターにはない、ジューゴだからこそ持っている、人を惹きつける部分。

自分では気づいてないだけで、その人らしさは何かしらあるのだ。

私も、家族や友人から言われたことがある。
「人前で話すのがホントに上手い」
「リアクションしてくれるからめっちゃ話すの面白いわ」
「何でも美味しそうに食べるねアンタ」

自分では気づいたことも、考えたこともなかった。
当たり前に思えても、そういった「らしさ」は他人には特徴的に見えるのだろう。

もし「好きなこと」が欲しければ

それでも、やっぱり自分を誰かに紹介する時「好きなものや趣味を話したい」。
「自分には欲がない、これといった特徴がない」。

そう思うなら、やはり日頃からアンテナを張って、少しでも惹かれるものがあればストックしていくしかない。

先ほど自分らしさは意外と自分じゃ気づけないと書いたが、
欲がない、望むものがないと思っている人も自分の心の奥底に眠らせてるだけだと思う。

だから、その興味のアンテナを動かして、感度を上げていく。

  • 本屋に行けばどんな棚で止まるだろう

  • Web広告なら何を思わずタップしてしまうだろう。

  • 休日、何をしてるだろうか。スマホ見てるだけでも良い。無意識に何を見てるかな?

そよ風程度でも、自分の心が動けばそれを見逃さない。

私が「手芸やっぱり好きだな」と思えたのも、小さい頃から当たり前のように物を作ってて好きだと気付けてなかったからだ。

「好き」はどんな形でも良い

最後に、私と同じように
「これが好きなんだけど、そこまでの熱量じゃないんだよなぁ」と思ってる人に言いたい。

「何をどれだけ好きか語るより!自分が好きならそれでいいんだよ!!」

そう、熱量なんぞいらんし、好きなことをわざわざ大声で語る必要もない。

ひっそりと楽しむ密かな娯楽だって、
SNSにアップして同士と繋がるアクティブな趣味だって、
すぐ飽きるけど今これにハマってるというブームだっていいじゃないか。

大事なのは、あなたがそれを通じて満たされるかどうかだ!!
他人に絶対公表して押せ押せしろなんて法律はない!!

暑苦しい感じになったが、とにかくそうだ。
自分が楽しいか、幸せか、充実するか。

それが何であっても、心躍るひと時になれば十分。
その時こそが、そのものこそが、あなたらしさになるんだから。

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