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新入社員に送る労働基準法の知識。

 令和6年度が始まり、新社会人になった方も多いと思います。
 個人的には、自分の職場に新卒の後輩が入ってきた記憶があまりないのですが、特に最初の1週間というのは右も左も分からない状態だと思います。そのうち慣れるとは思いますが、特にお客様対応をする職種では、入社3日目でも、お客様にとっては一緒です。そのあたりは気を付けましょう。多分上の人は分かっていると思いますが。
 そんな新社会人の方への私からのアドバイスと言えば、「労働基準法についての知識をつけましょう」しかないので、以下に書いていきます。労働基準法については、労働者はともかく、使用者(経営者など)でも分かっていない人が多いので、この機会に知識をつけて、何かおかしいと思ったら、使用者に確認するようにしましょう。
なお、詳しい解説は厚生労働省(京都労働局)から出ているパンフレットで確認してください。
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/150312-1.pdf

https://jsite.mhlw.go.jp/kyoto-roudoukyoku/content/contents/000841093.pdf

  • 労働基準法は、労働条件の最低基準が定められている法律です。この基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効です。

  • 使用者は、労働者の国籍、信条、社会的身分を理由として、労働条件について差別的取り扱いをしてはなりません。

  • 使用者は、労働者が女性であることのみを理由として、賃金について、男性と差別的取り扱いをしてはなりません。(賃金以外の労働条件については、「男女雇用機会均等法」という別の法律で定められています。)

  • 使用者が、暴行や脅迫等によって強制的に労働者を働かせると、労働基準法で最も重い罰則が適用されます。

  • 労働基準法は、船員、公務員、家事使用人(家政婦)、同居の親族を使用する事業(例えば社長と同居する家族だけが従業員の場合のその家族というケース)以外のすべての業種に適用されます。これらのケースでも、例外的に労働基準法が適用されるケースがあります。

  • 労働契約を締結する際、使用者は労働者に労働条件を明示しなければなりません。何を明示するべきかは、上記資料で確認してください。この明示については、書面の交付(紙に書いて渡すこと。労働者の希望があればメールなどでも可。ただしプリントアウトができることが前提)で行う必要があります。厚生労働省が用意している労働条件通知書のひな型はこちらhttps://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001161403.pdf こういう書面を会社からもらっているはずです。確認してください。

  • 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間、女性労働者がいわゆる産前産後休業をする期間及びその後30日間は、その労働者を解雇してはなりません。(一部例外はあります)

  • 使用者が労働者を解雇する場合は、その30日前に予告をしなければなりません。30日以内に解雇したい場合は、その日数分だけ「解雇予告手当」を支払わなければなりません。1日分の解雇予告手当は、その解雇通告をした日以前3カ月の賃金を、その3カ月の暦日数で割った金額(これを平均賃金といいます)となります。

  • 賃金の支払いには、「通貨で、直接、全額、毎月1回以上、一定期日に支払う」という5原則があります。詳しくは上記資料で確認してください。

  • 労働時間には1週間40時間、1日8時間の上限があります。職場によっては、変形労働時間制が採用されていることがあります。もし自分の職場で変形労働時間制がされている場合は、労働条件通知書に書いてあるはずです。

  • 労働時間が6時間を超える場合(6時間ちょうどは×)は45分、8時間を超える場合は1時間の休憩時間をとらなければなりません。この休憩時間は、労働時間の途中にとらなければいけませんが、業種によっては一斉にとらなくてもいいことがあります。(原則は一斉にとります。)

  • 毎週少なくとも1回(または4週間で4回。「1回」とは午前0時から午後12時までの24時間)の休日を取らなければなりません。

  • 時間外・休日労働をする場合は、使用者と労働者代表の間で36協定(さぶろくきょうてい)とよばれる協定を結ぶ必要があります。時間外・休日労働をした場合は、使用者は割増賃金を支払う必要があります。詳しくは上記資料で確認してください。

  • 6か月以上勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合、年次有給休暇を取得することができます。詳しくは上記資料で確認してください。

  • 満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの児童(つまり中学校卒業前の児童)は、原則として労働者になることはできません。

  • 産前6週間(双子以上の場合は14週間)以内に出産する予定のある女性が休業を請求した場合、また産後8週間を経過しない女性は、就業させてはなりません。

  • 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、「就業規則」という職場のルールを作成し、労働基準監督署に届け出なければなりません。何を決めるかは上記資料を確認してください。この就業規則は、常時作業場の見やす場所に掲示するなどの方法により、労働者にその全文を周知させなければなりません。

例外事項など、色々あるので、何か疑問が生じたときは、検索などをして調べてください。
本当はこれぐらいのことは就職活動中に学べる機会があるといいのですが…


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