見出し画像

レコードディスカウントについて

Tipy records innのコアゼです。Tipy records innでは宿泊時にレコードやCDを持ってくるとキャッシュバックという取り組みをしています。そもそも何でそんなことしてるのか?

なぜレコード×ゲストハウスなのか?

僕は中学校もろくに行かず、毎週のように小田原のタワーレコードに通っては試聴機にかぶり付き新しい音楽と出会いを探していました。僕にとってレコードやは新しい価値観と出会える大切な場所、友達のような存在でした。

数年前そのタワーレコードが閉店しました。自分の通っていた学校が無くなってしまうような、親友を失ったような猛烈に悲しい気持ちに襲われました。

もうすぐ解体される閉店したタワーレコードが入っていたAPRI


「あぁ...もう小田原に住む若い子たちはCDを目で見て触って新しい音楽と出会うことが出来なくなっちゃうのかぁ。」

それなら自分で作ろうと考えたのですが、今の時代YouTubeやストリーミング配信がある中でレコード屋さん一本で開業するのは容易ではないと感じていました。
それでも諦められずに自分でレコードや運営について調べていると、時には海外の田舎までレコードを買い付けに行くという話を聞きました。

「それなら日本へ旅に来た人に持って来てもらえば良いのでは?」

とゲストハウス×レコードのアイデアを思いつきました。
当時バスの運転手をしていた僕は海の向こうからきたたくさんのゲストを乗せて運転していました。
この人たちが一枚ずつレコード持ってきたらレコードやさんできるのでは!と心ながらに自分を天才かと思いました。

最初にやってきた音楽

開業準備に追われる日々は慌ただしく過ぎ、このレコードディスカウントのシステムが整う前に宿は開業しました。GWの開業日より満室が続く中、香港に住むゲストからが届きました。
「私のパートナーもギターをプレイします。あなたと一緒に弾けるのを楽しみにしてます。」
これはチャンスと思い、

「あなたの好きなレコードを持って来てくれませんか?もし、持って来て寄贈してくれたら宿泊費から500円キャッシュバックしますよ。」

と伝えると彼らは持ってきてくれました。ついに思い描いていた夢が叶う!と本当に嬉しかったです。

最初にCDを持ってきてくれた二人。今でもSNSでお友達。

この一枚を皮切りに、世界中から様々なレコードがやって来ました。
この最初の一枚も度肝を抜かれるサウンドでここで話すとキリがないので是非遊びにきた時のお楽しみに。

THE RECORD PAPERとは

オランダからきたゲストのレコードペーパー

レコードディスカウントの際にはCDやレコードの寄贈と同時にTHE RECORD PAPERへの記入をお願いしています。持ってきた音楽とあなたのストーリーをこの紙に書いていただいています。「おじいちゃんの棚から持ってきたから何にもストーリーなんてないよ!」ってものだったり、「若い頃に憧れて毎日聴いたんだ」など想いは様々です。

ゲストにこれも書いてほしいなと思ってるのにも理由があります。
よく大手のCDショップに行くと某アイドルのCDが20枚くらい並んでいることありませんか?昔ミリオンヒットアーティストの音楽もどれも同じ値段の数百円で並んでいたりするのに違和感を昔から覚えてました。

「この棚に並んでいるCD、一枚一枚にもここに来る前まではいろんな想いを持って聴いてくれた音楽なのに、それが同じ価値なのは変だな。」

世の中的に価値の無いっていうものだって、自分の人生を救ってくれた曲であり、音楽でありアーティストである。それを誰かのルールに放り込まれ統一的な価値に落とし込まれるのは残念だなと思っていました。

だから、Tipyでは今ここに来る前までにどんな想いこもっている音楽なのかを見たくて、誰かに感じて欲しくてTHE RECORD PAPERを作りました。
結果様々なストーリーが集まる宿にもなりました。

世界中の音楽への想いに触れる。

Tipy records innのエントランス

集まった一部のレコードはTipy records innの共有スペースやお部屋の中に置いてあります。レコードプレーヤー、CDのプレーヤーがあるので是非自由に聴いてみてください。

Tipy records innへ集まったレコードは100枚を超えました。
この取り組みに興味を持ち、荷物になるにも関わらず持ってきてくれたゲストの皆さんには本当に感謝しています。また当日持ってこれなかったけど次に持ってくるね!と言ってくれる方。母国に帰ってから郵送してくれた方。自分のバンドの曲も仲間に入れて欲しいと送ってくれた方。みなさん本当にありがとうございます。

是非あなたも泊まりに来る際には家で眠っている想いを手をとり、持ってきていただけませんか?
小田原でお待ちしております。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?