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単身赴任物語vol.2

単身赴任について思い出すのは、会社の同僚何人かで飲みに行った際に聞いた恋愛にまつわるエピソードだ。

会社の飲み会で出る話なんて大体決まっていて、会社の愚痴か社内の人間の噂話、あるいは恋愛話と相場が決まっている。

この飲み会も例外ではなく、その場にいるメンバーの恋愛話になり、メンバーの中のひとりの女性が、酒に酔った勢いも手伝って過去の恋愛話を面白おかしく語り始めた。

その女性は20代の若かりし頃、合コンで知り合った男性と恋に落ち、半同棲に近い状態の日々を過ごすことになったそうだ。

甘い生活もつかの間、1年近く経った頃から彼女は恋人に対してとある疑いを持つようになった。

「もしかしたら、この人はウチの会社の人かもしれない」
「(仕事の話で出てくる)用語や仕事の進め方を聞いていると、どう考えてもウチの会社だとしか思えない」

そのまま彼女は仲の良い人事を捕まえて、その彼氏の名前を人事システムで調べさせたところ、その彼氏は何と社内の別の事業部に所属している人間だった。しかも、彼氏の家族構成欄を見てみると、独身ではなく結婚していて子どももいる身であった。

どうやら単身赴任なのをいいことに不倫の恋を楽しんでいたのであった。

(人事システムで名前を調べさせた、というのは決して聞きたくなかった話だが、)単身赴任中で家族の目がなくなった結果として、ハメを外してしまう男性は決して少なくないだろう。殊に恋愛という意味では、単身赴任は罪作りなシステムだと思う。

彼女の話を聞いて、その場にいた別のメンバーが笑いながら言った。

「ウチの会社は社内恋愛が多いからね」

続けて別のメンバーがおどけた口調で言う。

「どころか、不倫だらけで乱れまくってますよ。(社宅がある街を指して)〇〇なんて、もはや不倫の都ですからねぇ」

不倫に走るのは問題だが、本人が単身赴任を楽しめている内はまだよい。

しかしながら、単身赴任によって家族と離れて生活を送る人たちの話を聞くと、決して幸福な人生を送っているとは思えない。
(つづく)

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