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単身赴任おじさん物語vol.1

日系大企業に総合職として入社すると、どうしても全国転勤がつきものになる。会社のビジネスによっては全世界を飛び回ることだってありえるかもしれない。

私の勤務先のメーカーもグローバルに事業を展開しており、事業場や営業所が日本全国ないしは世界各地に存在している。

したがって、入社後の配属先は、都心のオフィスから地方の事業場まで千差万別で、中には入社後すぐに海外赴任を命じられる場合もある。
入社後から最初の数年は、独身者がほとんどで、例え転勤を命じられたとしても、基本的には自分の身の回りのことだけを考えていればよいのかもしれない。

だが、結婚して家族ができるとそうはいかない。共働きの場合は奥さんの仕事やキャリアのことをしっかり考えないといけないし、子どもが生まれた後は、子育てする環境や受験など、考えねばならないことがさらに増えてくるだろう。

その上、40、50と年齢が上がってくると転職が難しくなってくる。家族を養うためには会社にしがみつかねばならない。どんなに理不尽な転勤を命じられても断ることができない。

こうして単身赴任おじさんたちが大量に発生するのである。

そう言えば、同じ職場で働いていた法務の方が転職することになり、退職の挨拶の際にこんなことを言っていた。

「ずっと悩んでいたんだ。ウチの会社で出世していくためには、単身赴任だって覚悟しなければならない。でも、家族と過ごす時間をしっかり取りたいと考えると、退職して別の会社へ移るしかないと思ったんだ」

出世のためには単身赴任しなくてはならない

その言葉はいつまでも強く印象に残っている。
だが、そんなルールが明確に存在するわけではない。

実際のところ、どれだけの人間が単身赴任しているのか?

身近にいる出世した人たち(部長クラス以上)を対象に名簿を引っ張って人事システムでサーチをかけてみる。すると、何と半分近くの人が単身赴任しているではないか。

現時点での単身赴任している人間がこれだけいるのであれば、この会社でずっと勤め続けた場合、国内・海外問わず会社員人生のどこかで一度は単身赴任を経験する可能性が極めて高いだろう。
(つづく)

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