トランスジェンダー恋していいすか

トランスジェンダー という言葉、最近浸透してきたように思います。
どうです?それって私が当事者だから?

みなさんこんにちは、初めまして。
佐藤祐葵(ゆうき)と申します。トランスジェンダーです。分かりやすく言うとオカマ(私の場合)です。いやんっ♡

祐葵て名前は本名なの。すごく気に入てる名前だし男でも女でも違和感のない名前だからこれで助けられてる部分大大大感謝祭。
名付けてくれた親や祖母に感謝!からの陳謝!からの洗車。

お笑い芸人やってたこともありますが、今はほぼ活動休止してたまにだけライブに出て後はバイトして性別適合手術のお金貯め貯め生活してるの。


女の格好して生活するようになったのは高校卒業してからで9年くらい経ちその間に何度か恋もしてきました。

数年前まで私は芸人仲間にも新しくできた友達にも男という戸籍の性別を隠し、女として振舞ってました。そんときに知り合った人で仲良くなり初めての交際にまで発展した男性が一人いたけれど男って伝えてなくて、そもそもバレないのすごいなていう自分への感心もありつつ、それ以上に罪悪感を抱える日々で、ある日とうとう打ち明けたところ数日音信不通になってしまい、その後受け入れられないという言葉があり終わったの。

そのときに、やはり最初から性別を明かしていかないとお互いにとって良くない、ということをしっかり学んだんだ。その人に関しては申し訳ないことをしたと思っている。

それから人にオカマだと公表するようにした。

時が経ち、2018年秋、マッチングアプリを始めました。ちなみにマッチングアプリのプロフィールも過去の反省を踏まえ、ちゃんとオカマであることを明記して登録していました。

当時私は10ヶ月ほど付き合ってた彼に冷められてしまい別れたばかりで、この辛さ忘れられるなら別に付き合うとかじゃなくていいから誰か新しい人と知り合ってお話したい!ていう気持ちだったの。面白半分で私にメッセージを送ってくれる人が何人かいたのでその人たちとやりとりをしていました。

驚いたことにオカマである私にさえヤリモクのメッセージがきたこともあり、チャレンジャーっているもんなんだな、と世界の広さに少し驚いた。ただ私は幼少期に『神さま、もう少しだけ』というドラマを観た影響でHIVに関し、凄まじいほどの恐怖感を抱いてるのでワンナイトラブという選択肢はないのであった。

普通のやりとり、仕事だとか休日の過ごし方だとかをする人も何人かいてその中でも、メッセージのやりとりが続き、盛り上がった話もあり、顔写真の笑顔もいいな…て思ってた人から会いませんか?という連絡がきて会うことになたの!

当日、待ち合わせ場所に向かうとキャップをかぶった少年のような雰囲気を漂わせた男性がいてその人だって分かった。私より3歳下だとプロフィールに書いてあったのを思い出した。それから居酒屋に行き、初対面の二人が織りなすぎこちない会話を挟みながらの食事が始まった。

私も緊張していたけど彼はそれ以上に緊張していたみたいで、彼が小皿に醤油を差すときにしばらくとどまってから私に『緊張しちゃって手が震えちゃってうまく差せないのでやってもらってもいいですか、、、。』と言っていて、そんなに緊張する!?と笑ってしまった。それで私がやったんだけど、こういうとき失敗しそうだなと思いながら彼の小皿に差したらホントに失敗して皿の外にボトボトこぼしちゃったのね。それで、あれ、私も緊張してたみたい、ごめんね!て笑ってその後自分の皿に醤油差したら自分のは綺麗にさすことができてしまいました。それを見た彼が、どういうこと!?て驚いて二人の間に笑いが生まれて最高だった。おちゃめ最高。

仲も少しづつ深まっていき楽しく食事が進み、その後私はバイトの夜勤があったため解散することになった。

今日は楽しかったです、もっとお話したかったです〜、バイトだるいけど今日は4時間しかないので頑張ります〜などと感想や自分のことをペラペラ話しながら歩いていたら彼が『バイト終わった後会えたりしませんか?』と聞いてきたのね。会えるといえば会えるけどさ、バイト4時間あるし同じ日に同じ人と二回遊ぶのって初めてだったから驚いた。聞いたら彼は翌日お休みらしくて楽しかったからまだ話したいて言ってて、そんな楽しいて思ってもらえたんだ、二回遊ぼうて言ってくれるらくらい、となんかプチ感動した。
嬉しいもんだった。

バイト後急いで会いに行くと、彼が待っててくれてて、ネカフェで時間潰しててくれてたらしい。もしかしたら引いてもおかしくない状況なのかもしれなかったけど、私は彼に対して健気な人だという印象を抱いていた。

朝まで飲んだのだけど、最初の食事のときではあまり触れられなかった、私がオカマなことの話とかも話したりして一気に仲良くなれた。そのあとも何度か会ってその後付き合うことになった。

驚いた。オカマっすよ、私。
私のこと好きになってもらったことはとてもとても嬉しかった。けど、オカマと付き合ってるの知られたら周りの人にキモがられるよ?とそのことを聞いてみたら『僕、周りから変わってるて言われることよくあるんで周りの人も気にしないと思います。それに僕が祐葵さんのこと好きなので。』て笑ってた。

笑ってた。彼っていつも笑ってた。思い出す顔どれも笑顔ばっか。

あっけらかんとしてるその笑顔と言葉が私の心配をふきとばしてくれた。
それからも遊んだり旅行に行ったりして過ごし思い出をたくさん作っていった。

オカマの恋って自分から当たっていき砕けていくものだとずっと思ってたのでいつも自分からガンガンいってたんだけど、今回初めて相手の方から気持ちを寄せてもらってこんな嬉しいことあっていいんだ、好きな人に気持ちを言ってもらえる、ガンガンきてもらえる、というのはこんなに嬉しいことなんだていう新しい幸せの気持ちを知れた。

彼は自衛官なので忙しく、頻繁には会えなかったりラインも数日おきになることもあり最初のほうは不安な気持ちもあったが、自衛官てとても忙しいらしいということを自分でネット検索してみて知り、今頑張ってるんだろうな、私ももっと頑張ろう!という前向きな気持ちになり日々を過ごすことができた。プチ成長した瞬間である。
たまにしか会えない分会える時間を素敵な時間にしたいなって思って会えたときにする話のネタを集めたり、デート服を奮発してみたり新しい化粧品を購入してみたりした。長年続かなかったダイエットにも精が出た。

恋する乙女と化した私は活力に溢れ行動的になった。26歳になっても恋したら乙女。単純であるが、まっすぐなの。

令和初のゴールデンウィーク、彼は隊の先輩たちと遊んだり、実家に帰省していて、久々に会う友人たちとキャンプに行ったりしていた。ラインでその日の予定とか写真とか教えてくれるのが嬉しかったし、たくさん楽しんでる彼を思うと私も楽しい気分になり、○○君(彼の名前)楽しんでてカワイー!!などと叫んで部屋をくるくる回ったりするという充実したゴールデンウィークを過ごしたよん。

けれどそれから二週間以上連絡がなくなったの。ラインが既読にならなくて、最初のうちはゴールデンウィーク満喫してるのかな?とかゴールデンウィークが終わってからは、仕事が忙しいのかな?とか思って気にしてなかったけど、返信こない期間があまりにも長くないか、と心配になった。

今までのやりとりから、冷めたとかは絶対にないと思ってて、だとすると仕事関係かな?て思ったけどいつも長期に渡り連絡取れなくなるときは事前に言ってくれてたし、となると怪我とか病気とか!?てものすごく不安になって毎日心配しまくりだったの。

もしかしたらスマホが壊れたとかかな、とも思って、手紙にラインのiD、電話番号、メールアドレスを記載して、生きてたら連絡ほちいなというのを彼の駐屯地に送ったんだけどそれでもなんの返信もなく。彼が寮生活だから普段はかけないけど思い切って電話をかけてみても応答がなくこりゃいよいよ本当になにかあったんじゃないかと思ったそのとき彼からラインがきた。

ゴールデンウィークに帰ったとき家族に祐葵さんのこと話したら頭おかしいって言われました

ごめんなさい

もう付き合えません

と書いてあった。

え…。


急!!!
でもまずは生きててよかった。まじで死んじゃったんじゃないかていう不安がよぎった瞬間もあったから違くて本当によかったと安堵した。

けどよ!全然ヤバいことになってた。

一度電話できませんか?とラインを入れてみたけど既読がつかず電話してみても応答がなくて結局また音信不通になってしまった。

翌々日くらいに改めて、詳しく聞きたいし、別れるにしてもラインで終わるのではなく会ってお話しませんかという文を送信した。ただ現在も既読がつかぬ状態で終わってるんだよね。

あー突然の出来事、こんな終わり方って衝撃。次会えるのこの世の行事の中で一番楽しみにしてたのにな。

返信のこないスマホを机に置いてふと、オカマの恋愛なんてこんなもんだよな、結局世間が認めないんだ。ていう気持ちが湧いてきた。

前に付き合っていた彼も私と付き合ってるのを周りの人に知られるのを恐れていたし、オカマの宿命かな、という慣れ、諦め、覚悟のような気持ちが免疫として少しできていた。

それでも辛い。辛い辛い。そもそもこんな結末に慣れたくないし。

今までの彼との時間はなんだったのだろうか。ライン一通で終わるような関係だったのだろうか。

いつのまにか私にもうつってしまった彼の口癖が出たときに、彼と過ごした時間が私の一部になっていると認識してしまい悲しくなる。私は幸せになれないのだろうか。なんでオカマに生まれてきたのか。

……。

けれど、彼は親御さんに私のことを話してくれたんだよな。

それってすごいよ。かなりのすっごいこと。

前に彼が会話の中で、一緒に暮らしたいね、とか結婚を意識してるかも、なんてことを言っていたのを覚えている。嬉しかったし私もずっと一緒にいたい人だなという思いはあったものの、その場の雰囲気で言っただけかもしれないからあまり気にしてなかったのだけど、その言葉も本当にちゃんと考えて言ってくれてたことだったのかもな、本気で好いてくれてたのかも。

本気じゃなかったら私との関係を親御さんに話さないと思う。

だからありがとうて思った。勇気を出して話してくれたっていうそのことが、ずっと嬉しいし忘れないと思う、
そこまでしてくれた人、彼だけだもん。

親御さんに理解されなかったこと、彼にとってもショックで、それで私と連絡取れる状況じゃなかったのかもしれない。

親御さんも、トランスジェンダーていうのが身近に感じられなく、未知すぎて怖いっていうのもあるんだと思った。
よく分からない変そうな人が大事な息子といたら危険だて思うと思う。仕方ない。愛ゆえだもん。

冒頭でトランスジェンダーていう言葉浸透してきたんじゃないかと言ったけど実際はまだまだそんなことないんだなと分かった。知ってるのと実際に出くわすのもまた別問題だし。

私さ、トランスジェンダーていう存在について、理解してほしいとは決して言えないけれど多くの人に少しでも知ってもらえるような創作活動をしていこうと強く思った。

この出来事は、こういうことを考えるきっかけをくれた、彼からのプレゼントて勝手に思っちゃおうかな。そして成長しちゃおうかな!
も〜う、彼を好きな気持ち、全然とまらないっ!幸せをくれてありがとう、安心感をくれてありがとう、たくさん笑顔にしてくれてありがとう。最後までありがとうの気持ちでいっぱい。

あとオカマに生まれてきたからこそ彼と出会えたから、オカマに生まれてきてよかった!!

まだ彼の写真とかライン見返してしまって悲しんだり、見ないようにしても思い出がフラッシュバックして心を抉られることもあるけど頑張る。頑張れる私なら。

やっぱね、オカマってのはタフじゃないとやってらんないのよ。

不死鳥のように美しく、ゾンビのようにしぶとく、幸せ目指して歩くわ!
歩いたら痩せて綺麗になれるし♪

p.s. 勘だけど、多分いつか彼とまた話せるような気もしている。
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