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追憶 川口由一さん

川口由一さんが旅立たれたらしい。

20数年前、まだ大学生の頃に自然農と出会い、川口由一さんが主宰されていた三重県の赤目自然農塾に大阪から通った。桜井の川口さんのご自宅の田畑も見せていただいて、オクラの花を食べた記憶がある。

いつも麦わら帽子に作務衣で、やわらかくにこやかだった川口さん。川口さんの田畑は草も稲も野菜も境界線なくそこに在り、美しかった。

そんな川口さんの自然農塾は会費やカリキュラムもなく、さらに自然農を強制することさえもなく、土地がある人は学びを持ち帰って、無い人は村の休耕田を使わせてもらい、それぞれが自主的に実践しながら学ぶ場所だった。

自然農塾に田畑を借り、大学を出た後は働くあてもないまま、とりあえず奈良県に移り住んで自然農と向き合いはじめた。

未来図は真っ白で、それだけしかなかった。



その後の自然農からかけ離れた年月を思うと
胸に迫ってくるものがあるけれども、
あの静かな田畑と柔和な川口さんの顔が浮かび、
おかえり、とほほえんでくれている気がする。

あの田畑での日々は私の道しるべです。

遠き日の赤目自然農塾と美しい畑
山にあるものだけでつくった
川口さん式の古代米の苗床

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