「神の子はつぶやく」の感想:#宗教2世のその後をつぶやく

NHKスペシャル シリーズ“宗教2世” 
#神の子はつぶやく  

NHKプラス期限ギリギリに視聴できました。
本当は視聴しないつもりでしたが、XのTL上の評判があまりにも良いので、最後まで迷いましたが視聴させていただきました。

視聴し終わった感想としては

「この話題を取り上げてくださり、ありがとうございました」
「実態をリアルに取り上げている場面があり、かなりきつかった」

というのが率直な感想です。

普段、ドラマや映画などを見慣れてないので、的確な批評はできない、あくまでも「宗教2世当事者」としての視点から、感想を述べさせていただきます。

※登場人物の表記を、本人(田中麗奈が演じていた方)を中心に、長女、次女、本人夫とさせていただきます。

ストーリーの一部を抜粋:
本人は毒親育ちで17歳で家出、その後も、職場でうまくいかないなど、生きづらさを抱えていた中で、本人夫と出会い結婚。
本人夫が兄の保証人になり借金を背負うことになり、生活困窮が続く中、本人にとっては「神」が救いになり、生きる原動力になった・・

【ここからは「宗教2世当事者のつぶやき」です】


全体的に主な登場人物は「状況をよりよくしたい」という気持ちが前面に出ているのに、それぞれが「かみ合わず」に破綻してしまう状況がよく描かれていたと思われます。
そこに「宗教2世問題」の本質の一端が垣間見れました。

一般的に「貧しさや病気、そして家庭内でのもめ事で心が傷ついている人々は、現実の厳しさとは裏腹に、ふとした瞬間に宗教の教えに救いを見出してしまう」という部分では、本人が「神」に救いを求めたことは、だれも責められませんし、彼女にとっては「つらい世の中を生きていくための特効薬」になったと思われます。
(ここの部分に関して、現役JW信者の私の「母」を投影してしまい、つらくなりました。)

ただ本人にとっては神を信じることが「特効薬」だったとしても、その子供たちに、大人(本人)が飲む分量の「特効薬」を何も考えず(万能薬だと思い込み)に飲ませることが果たして子供たちのためになるのか。

子供たちには、子供たちの発達段階で、必要や「食べ物」が必要でそれによって「健全な成長」が図られなければならず、いきなり大人が飲むような「特効薬」をそのままの分量で飲ませることによって、健全な成長が図られるとは思えません。

子供たちの健全な自分軸を作るためには、「自由に感じて、考えて、行動する」ことによって、はじめて「自分軸」というものが出来てきます。
皮肉にも長女が初めて、自由に感じて、考えて、行動したのは、母のせいで父の臨終に立ち会えなかったことに関して、怒りを感じ、家を出ていくという行動に現れたのだと思います。

しかし「自分軸」を持たないまま、無法地帯である夜の街に逃げ込んだ長女は、「他人軸」でしか生きていくことが出来ず、結局「断ることができない女性」として、搾取の対象になってしまいました。
この部分に関しては、当事者として、とてもつらくなる場面ですし、当事者の持っている「生きづらさの根幹」になっているのではないか思っています。

また、これは私自身もまだ染みついているのですが「正しいことをしていれば神様が救ってくれて、間違ったことをすると罰せられる」という信念、私はこれを「宗教2世特有の過度な公正世界信念」と自分で呼んでいますが)に長女が苦しめられていたシーンは、とてもつらくなってしまいました。

長女自身は「堕落した自分」に対して「罰が与えられないといけない。罰が与えられないと自分が救われない」という気持ちになっていたのではないか、と自分を投影しながら感じました。

皆さんが絶賛していたラストシーンに関しては、母親が「特効薬」だと思って子供たちに良かれと思い飲ませていたものが、子供たちにとっては「毒」になっていたという皮肉な現状の中で、次女が最終局面で発していた言葉が、「家族の調和」を取り戻すための本当の意味での「特効薬」になったんだと思われます。

個人的には「本人夫(父親)」は、私の未信者だった父を投影してしまいました。昨年3月に亡くなったこともあり、亡くなったシーンは当時の記憶がよみがえり胸が締め付けられました。
私の父も母に対して反対しない父で、子供たちにも手を上げない人でした。
しかし子供ながらに「信仰からの支配から救ってほしかった」という気持ちが今でも残っています。

これが視聴直後の感想です。思いついたまま、書いてみました。まだまだ書き足りないところもあります。(説教師の息子のことなど)
その都度追記したいと思っています。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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