経営力を鍛える人事のデータ分析30

経営力を鍛える人事のデータ分析30を読んだ感想メモ

読んだきっかけ

人事制度についてより深く勉強したいと思ったから。また春闘の前に労務に関する数字にも強くなっておきたいというのもあり。

内容

・生産性

付加価値÷人員数=生産性
※付加価値:人件費、営業利益、賃借料、金融関連費用、租税公課の合計
複数年度に渡って比較する。

・直間部門の割合

直接部門と間接部門の人権費、人員数を比較する
その際、同じビジネスモデルの他社や自社の過去のデータと比較することで、推移をみる

・管理職比率

ポストが200ポストで平均40歳で管理職へ昇格すると、20年間で200名生み出せば良いから、毎年10人(200人/20年)

・平均年齢 

基本的にはどの年齢も同じ人数いるのが望ましい。
しかし自己都合退職の可能性も考慮すると、台形くらいがちょうどよく、そうすると平均年齢は35~38歳程度となる。

・自己都合退職率:1年間に退職した人数/在籍社員数

3%は黄色信号、5%は赤信号

・理論新卒採用人数:総人員数/(定年年齢-新卒年齢)+自己都合退職者の人数

総人員数を就業年数でわると、各年代に必要な人員数がでる。
しかし、実際は各年代に同じ人数が必要なわけではなく下が多く上が少ない人数のほうが望ましい。
理由:若いほうがやめやすい。上のポストはそんなにない。
よって、毎年やめていく人数をもとに新卒で入った社員が毎年一定の割合でやめていった場合、定年時点で何人残っているか算定。それをもとに採用予定人数を計算する。

・労働分配率:人件費÷付加価値

売上高人件費比率:名前の通り。売上高は社員の頑張りよりも商取引の規模の大きさによるところで、社員が頑張ろうがあんまり関係ない。
よって付加価値(営業利益+人件費+租税公課+金融関連費用+貸借料)にしめる人件費の割合の方が企業が生み出した新たな価値に対する割合を算定できる。
過去の自社数値や同業他社と比較することで観測する。

人件費伸縮性

 正社員の人件費:賞与と残業手当で調整可能
 非正規社員の人件費:業績に合わせた人数調整
妥当か否かは業績の増減率と人件費の増減率で比較する。

 1. 人件費増減率20%に対し、売上高増減率が-20%→まずい
 2. 人件費増減率20%に対し、売上高増減率が10%→OK
また業績が上がればその分個々人の業績も良い傾向にあるのが望ましく、逆もまたしかり。
そのため会社の業績と個人業績も連動していることが望ましい。
そのほうが社員のモチベーションにも良い影響を与える。

・労働生産性および労働装備率:有形固定資産÷従業員数

従業員一人当たりが使用している有形固定資産を示す指標のこと。有形固定資産の合計を従業員数で除して算出する。この比率が高いほど、企業の設備の技術水準が高いとされる。
労働装備率と稼働している有形固定資産の回転率を高めることで労働生産性を高めることができるため、労働生産性を分析する上で重要な指標となる。
また労働生産性は付加価値額÷人員数で算定可能。
人員数や付加価値の増減と生産性の増減をwatchすることでその増減の理由や背景を探ることができる。

・給与水準

給与水準は「賃金構造基本統計調査」で把握できるが、その際、規模や業種をもとに比較することが重要。

・給与レンジ

等級ごとの給与レンジを計算するときは、基本給だけでなく残業代や役職手当も合わせて算定する必要がある。
また各等級ごとのレンジが過度に重なることで、下の等級のほうが年収が高くなることのないようにする必要がある。

・人材流動性:転職したほうが給料がよくなる社員の比率

社外年収と社内年収の比較はどのようにできるだろうか?

・ハイパフォーマーとローパフォーマー

直近数回の評価と昇格スピードによって例えば以下のように社員を区分できる。
 - HP1:とても優秀
 - HP2:優秀
 - AP:普通
 - LP2:あんまり優秀ではない
 - LP1:優秀ではない
これらの区分は組織別や年齢、性別、採用プロセスなどの多角的な要素から比較することで問題点を洗い出せる。
またHP,APは労働市場と比較して+10%程度は確保しておく。また以下の3種類の割合をHP,AP、LPごとに分析するのも有用。
 - 給与賞与が高いと認識している人数の割合
 - 給与賞与が同程度と認識している人数の割合
 - 給与賞与が低いと認識している人数の割合

・昇給額

昇給額を意識しても人件費管理上あまり意味をなさない。
昇給額を調整しても結局人員の入れ替わりや昇格のほうが要素として大きい。
そのためそれぞれの等級にどれくらいの人員を置くかを決めるほうが意味のある内容になる。

・人事評価

人事評価は評価する人間の評価能力を一定にすることが中々できないため、うまく行かないことも多い。
評価がうまくいっているかいないかを量る方法として、例えば業績評価と行動・能力評価の相関性がとれているか確認する方法がある。(業績が良い社員は行動・能力がいいのように)

・将来の人件費の予測

将来の人件費は、将来の人員構成によってはじきだせる。
将来の人員構成は昇格率や自己都合退職率、定年退職者数をもとに算定可能。
それをもとに等級別の人件費単価をかけることで算定できる

感想

普段の業務で意識している部分と意識していない部分もあり、勉強になった。できれば継続的にwatchできるよう、人事データを整備した上でBIツールに定期的にまとめて観察できるようにしたい。

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