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【第八歩】宝飾時計を回想する・その2

祝!ライブ配信決定!

「宝飾時計」を観劇してから、約一ヶ月が経過した。
公演自体はまだ続いているわけだが、なんと最終公演でのライブ配信が決定!
めでたい!めでたい!
実は、ワタシは内心これがあるのではないかと予想していた。
というのも、昨年の「奇跡の人」ではライブ配信があったからである。
だが、今回は、ライブだけでなく、アーカイブ配信もあるとのこと。
これは本当にありがたい。
「奇跡の人」のときは、当日のライブ配信のみだったので、外出先からipadで鑑賞したのだった。
今回は、前回に引き続き、舞台観劇の感想の2回目を書いてみたい。
ネタバレも若干含むもの節度あるものに徹します。
とはいうもののこれから観る方は要注意である。

今回はキャストひとりひとりの感想を・・・

「宝飾時計」を回想するために、今回はキャストひとりひとりの感想を書いてみたい。

バイオリンの人
最初観たときには、このバイオリンの人が何かの鍵になるのかと思いきや…。
ほぼいつでもどこかにいるので、世俗、時空を超えた天使のような存在ということなのだろう。
そういえば、後半どこにいたのか印象が薄いのだが、今度の配信のときによく確認してみたい。

杏香ママ(池津祥子)
子役それぞれに親がいるはずで、本当はそれぞれの親同士のからみなど描いても面白いのだが、この舞台ではそれはなし。
そのなかで、この杏香ママはひとり子役の親として、ぶっ飛んでいる!
とある飛び道具により、舞台上を混乱させるが、それはあまりストーリー上は必要ないはず。
だが、そんなこともこの人だから許せてしまう。
ちなみに最近のドラマ「エルピス-希望、あるいは災い-」にも出演されているのには驚いた。
普段は高畑充希の出演関係以外ドラマはほとんど見ないが、あるきっかけで「エルピス」はU-NEXTで一晩で全話観てしまった。
大変面白く、斬新で、危険な領域に踏み込んだドラマだったが、これについてここで書くべきではない…。
このドラマでも新聞記者として、かなり重要な役どころであった。
この人も素晴らしい。

関一ほか(後藤剛範)
いいなあ、この人。
「…推奨」というセリフが好きです。
一人で何役かこなしていますが、この舞台を面白く展開させる重要な役どころ。
杏香ママ同様に、重要な脇役です。

板橋真理恵(小池栄子)
今まで、ワタシの中での小池栄子は「カンブリア宮殿」のイメージしかなかった。
女優としての小池栄子をほぼ全く知らなかったといっていい。
実際は、いくつか観ているのだが、印象が薄い。
だが、この舞台を観て、その実力に恐れ入った。
脚本自体が当て書きされているのもあり、のびのびと楽しく演じていて、こちらもそれに心酔してしまう。
最近では、三谷幸喜の大河ドラマにも出ていたようだが、ワタシはほとんど観ていない。
おそらくは、この舞台のようなコメディの方がこの人に合っていると思う。
いちばん役と本人が近いのではないかな?

優大(小日向星一)
この人が悪いわけではないが、この舞台では過去と現在が行き来するなかで、違和感が残った役どころではあった。
というのも、話が進むにつれ、ある人物と同一という話になるのだが、あまり似ていないように思われた。
というか、似ていなくていいいのか?
そんな疑問は、脚本の話なので、この人とは関係ない。
どこか冒険活劇の映画に出てくる子供のような雰囲気がとてもよい。
また、ゆりかと背の高さが同じくらいなので、二人のシーンはリアルに過去にトリップした感じにもなる。

大小路祐太郎(成田凌)
この舞台の面白さはいろんな側面があるが、その中でもゆりかと祐太郎のテンポのよい会話は、重要で面白いシーンである。
ある種の二面性がこの大小路祐太郎のかたち作るのだが、これはこの成田凌でしかなしえなかったとも思う。
先日、名作と言われるフェデリコ・フェリーニの映画「8 1/2」を観たのだが、この映画でのマルチェロ・マストロヤンニがどことなく、成田凌に見えてしまった。

田口杏香(伊藤万理華)
実はこの文章の中でいちばん書きたいことは、「伊藤万理華は素晴らしい!」ということなのである。
この「宝飾時計」の主役は、当然ながら松谷ゆりか(高畑充希)なのだが、その主役の座を奪いかねない凄みが、この田口杏香(伊藤万理華)にはあったと思う。
それは、子役時と大人になってからの性格のちがいを見事に演じ分けているところである。
わかりやすい天真爛漫な子役のときと、他者との関係と断ち切っているひきこもり時期、それを身体全体で表現しているのが、とてもよかった。
という感想を持ったところで過去にワタシは、この人が出ていた映画を観ていたことに、観劇のにちに発見した。
なんと、根本宗子原作の昨年の映画「もっと超越したところへ。」にも出演していたではないか!
これにまったく気が付かなかった。
余談だが、ワタシが高畑充希ファンになった大きな理由は、高畑充希は作品ごとにまったく印象を変える女優だからなのである。
ドラマ、映画、舞台、TV番組、CM、それぞれ作品ごとにキャラクターを変える、それにワタシはある種のギャップ萌えなのである。
同じ意味で、観た作品は限られるものの伊藤万理華も作品ごとに大きく印象を変える能力が備わっているようだ。
「宝飾時計」は、高畑充希ももちろんよかったのだが、伊藤万理華もその主役を凌駕するほど素晴らしかった。
現在一部の映画館で公開している「そばかす」という作品にも出演しているなので、今度観に行くつもりでいる。
しばらくは、この伊藤万理華からも眼が離せなくなりそうである。

松谷ゆりか(高畑充希)
膨大な量のセリフを畳み掛けるように発声することは、俳優ならば誰でもできることなのだろうか?
感情を揺さぶられるシーンでは涙を流すことは、俳優ならばたやすいことなのだろうか?
高畑充希という女優(俳優)は、これらをたやすくこなしてしまう。
実際は、たいへんな作業なのだろうけど、高い完成度で示してしまう。
まあ、今回のこの舞台、ここで書いてみたように実力のある俳優ばかり出演しており、こうしてみると高畑充希だけが素晴らしいわけではない。
だが、その中にあってなお、主役として堂々した振る舞い。
ラストの歌唱の後半の盛り上がり部分では、3回の観劇ともにグッと熱いものがこみ上げてしまう!
今回は、子役時代と大人になってからという時間軸を行き来する中、自由に飛び回るように舞台を駆け回るのが、とても楽しかった。
おそらくは、高畑充希自身もかなり楽しい舞台なのだと思う。
それと、大きなお世話だが、回転する舞台で自分がどこにいるのかわからなくなるのではないかと心配した。
ワタシは本公演をかなり前の席で観劇できたが、やはり生・高畑充希はよい。
ワタシは、この人の得体の知れないパワーに魅了されているのだ。

滝本プロデューサー(八十田勇一)
と、全員書いたと思いつつ、最後に忘れてはならないこの人。
よくあるプロデューサーイメージをこれほど体現するのは、決して容易いことではないだろう。
とはいえ、配役とは関係ないものの劇中の子役が出演した「宝飾時計」という名の演目はどういったものなのだろう?
しかも、「アニー」と同様の子供向けの演劇というのである。
ここがちょっと変に思われたのだが、このプロデューサーのキャラクターにより、あっさりとその疑問をスルーさせられてしまう。

「青春の続き」

このラストの椎名林檎作のテーマソングを、ゆりか(高畑充希)は最後に熱唱するわけだが、すべてを飲み込むような迫力に満ちていた。
正直に言えば、このテーマソングとこの舞台との関係性に少々疑問のところがないわけではない。
脚本と歌詞の内容がシンクロしているようでいて、関係ないようにも思えるところがある。
そして、伝えられるところでは椎名林檎に曲の作成依頼があったのは、高畑充希自身ということだ。
渋谷の喫茶店で偶然会って、願い出たとう いう話である。
ならば、曲が先にあり、脚本は後なのだろうか?
そういう疑問はあるものの、この曲は素晴らしい。
やはり、舞台上で、生で歌唱を観られてよかった。
この歌唱は、おそらく、たぶん、かぎりなく、「ゆりかと高畑充希が同一化しつつ、分裂する瞬間」なのだ。期せずして訪れるライブ配信にて、その瞬間を再度見極めたい。

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