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これって買いですか?(この値段で)

久しぶりのロンドン。朝9時羽田発の飛行機に乗って、北回りで14時間の空の旅。

出発当日の朝2時にようやくすべてのホテルの予約を確定させ、3時間ほど仮眠してすぐに羽田へ。一人旅だから本当に適当だ。

ラウンジで朝からシャンパン飲んで白ワイン飲んでラフロイグロアまで飲んだので、離陸したのも気づかないぐらい爆睡。

コロナのせいで有効期限が迫ったマイルを使わなければいけなかったのだけど、ウクライナ情勢のせいでロンドン便以外欧州便がキャンセルになっているせいか、ロンドン行きのマイレージが超高い。ビジネスで確か30万マイルを超えていたので、実質的にマイルの客は乗るな、ということのようだ。行きのエコノミーは82000マイル、帰りはビジネスで55000マイルとおかしなことになっていた。

かつて仕事で飛行機に乗る機会が多かったこともあり、サクララウンジが閉鎖されていたせいもあって、タダでエコノミー乗るだけなのにファーストクラスラウンジで酒飲んで鮨握ってもらったりしてしまい、JALの皆様申し訳ございません。

どうしてタダの鮨は食っても食っても腹が減るのだろうか、その永遠の謎を解くために我々は羽田のラウンジに向かった(嘘)

非常口前の席で足を伸ばせたのと、愛用のソニーのノイズキャンセリングヘッドフォンが優秀なおかげもあり、また近くの席にいた1歳の女の子と遊んでいたら時間が意外と早く流れ、長旅を心穏やかに過ごすことができた。

ヒースローもパスポートコントロールが自動化されていて、一瞬で通過できてびっくり。日本は英語圏の国とEUに加えて自動化ゲートを使える数少ない国になっていて、日英両国の絆の強さに改めて感謝した。

昔はファストトラックのパスもらわないと入国審査で1時間半待たされたのになーなどと感慨に耽り、最後のイギリス訪問がいつか調べてみると2014年だったかもしれず、時の流れの速さを思った。

ロンドンの天気は最高。むしろ東京より暑く湿度も高い。25度は超えていただろう。

「この天気東京より蒸し暑いんだけどどうしたの?」とホテルのフロントに行ったら爆笑してた

パディントン駅からほど近い安宿に16時過ぎにチェックインして、意外と時差ぼけもないので調子に乗ってロンドンのケイデンショップまで20分ほどの散歩に。

ロンドンの聖地の一つ、呼び鈴鳴らさないと開けてもらえない

変わりがないように見えたが、実は改装中。呼び鈴を鳴らすと、見るからにスコットランド人の60歳ぐらいのおじさんが出てきてくれ、ドアを開けてくれる。

通りに面したところにスコッチウイスキーがディスプレイされているのだが、その数は50本ほど。改装中で少しずつ増やしていく、とのこと。

棚がスカスカで思いっきり肩透かし食った気分がした

「昔来た時は黒板にチョークでたくさん銘柄書かれていたよね」といって写真を見せたら、「こんなに安かったなんて信じられないな」といって盛り上がる。

ケイデンって良心的な値段で売っているイメージが強かったけど、最近のウイスキーの値上がりからは無縁ではいられないようだ(彼らが良心を失ったと言っているわけではない)。

フェッターケアンの31年でこの値段はかなりなものだと思う

ここに来てもスプリングバンクは10年が裏に数本ある程度、と言う。どこに行ってもバンクは買えない。

逆に「自分達でも最近値段がすごい上がって驚いているんだけど、日本ではどうなの?なんで台湾や中国の人ってあんな勢いでスプリングバンク買うの?」と聞かれた。

「日本での定価はまだ上がっていないから、円安考えるとこっちよりも安いかもしれない。でもオークションは凄いことになっている。台湾や中国の人は長熟のシェリーカスクのウイスキーすごく好きだし、スプリングバンクは少量生産だって知っているから希少価値高いと思っているんじゃないの?」といったら「まあそうだよね」と言われてしまう。スプリングバンクの値上がりの原因はアジア人が買い漁っているせいだと思われているようだ。

イタリアのケイデンショップのハイランドパークのボトル、フェッターケアンのスペック対比では割安に見える

気を取り直してまた歩き、エクスチェンジのショップに行く。ウェブサイトでは売り切れになっているものが売っているかもしれない、というスケベ心で。

男のスケベ心はたいてい満たされることはない、というのを経験的に知っているので裏切られても落ち込んだりはしない。

店の階段を降りていくと、いきなりお宝の数々がお出迎えしてくれた。

この中のボトルで2本だけ飲んだことあるぞ
1972年のグレンモーレンジが個人的に一番好き

これ以外にもマッカラン、ケイデンの黒ラベルダンピーボトル、ポートエレン、グレンリヴェットなどのオールドボトルががっつりディスプレイされている。さすがエクスチェンジだ。

このツイートしたら中国語で「このスプリングバンク買いたいんだけど」というコメントが案の定ついて苦笑い。エクスチェンジのウェブサイトで頼めばいいのにね。

エクスチェンジショップは品揃えが多いので見ていて楽しい。

エージェンシーのボトルで話題になったものもありましたが多分店頭在庫とウェブの在庫が相当リンクしている気がする
流石に高いわ
このボウモア買おうかなと一瞬思ったけど自分はボウモア超好きかといわれるとそこまででもないことを思い起こして踏みとどまったの巻

買いたいウイスキーはロンドンでも全然見つからず、リーズナブルなものを探すのも一苦労。

BBCのニュース見ていると先月は物価が9%上がった、とか、ウクライナで作付けができないので収穫期には穀物が世界的に不足して食料の値段が上がるのでは、とか、ガソリン価格が上がって年金生活者が孫に会いにいく機会を減らしている、とかそんなのばかり。

ウイスキーづくりに不可欠な麦や燃料の価格も上がれば、スタンダードなウイスキーの値段も上がり、プレミアムなものも相対感から値上がりせざるを得ない気がする。日本にすでに入ってきている在庫の値段はすぐには変わらないだろうが、今後入ってくる分は円安の影響も当然出てくるはずだ。今後数年はこういう価格水準に慣れていくプロセスになるのではないか。

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