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【測量士資格試験】基本的な戦略

測量士の八重樫です。こんにちは。

私は平成28年の資格試験に独学で合格した。
この時、35歳だった。
実務経験もあったが、3週間の学習期間での合格だった。
これは測量士の資格試験では短い方だと思う。
その際に私が取った試験合格への基本的な戦略をこのnoteでお伝えする。

測量士の資格試験の合格基準

測量士の資格試験は午前と午後の2部行われる。

午前試験は多肢択一のマークシート方式だ。
全28問 1問あたり25点の700点満点。
この午前試験で400点未満だった場合、その時点で失格となる。
  ※平成30年に午前試験の合格基準が350点から400点に引き上げられた。

午後試験は記述式
 必須問題 300点
 選択問題 400点
  ●基準点測量
  ●地形・写真測量
  ●地図編集
  ●応用測量
   この4題の中から2題。
の700点満点。
午前と午後の合計が910点以上で合格となる。

午前試験

午前試験は多肢択一のマークシート方式で、700点満点だ。
足切りラインの400点については気にしなくて良い。
何故なら、この午前試験で高得点を取る事が測量士の試験合格には必須だからだ。
午前試験をギリギリで済ませても、午後試験でより多くの点数を取らなくてはならないのでは、合格は遠い。
必ず、過去問を繰り返し解き、午前試験では8割以上を狙おう。

また、合格基準は午前と午後の合計で910点だ。
つまり、午前試験で24/28問600点を取る事が出来れば、午後は310点で良い。
必須問題が300点満点なので、ここで200点取る事が出来れば、選択問題では110点で合格する事が出来る。

測量士補試験と同様に、計算問題も出題される。
計算問題のレベルは測量士補とは比べ物にならない難易度となるので、闇雲に学習していてはボリュームが多すぎる。
ここで書いたように、点を稼ぐべき所を意識して、学習するリソースの分配をする事が重要になる。

先ずは国土地理院のwebサイトから過去問5年分のpdfをダウンロードして印刷し、繰り返し解いて「どうしても出来ない問題」を除き、安定して9割解けるように学習しよう。

個々の問題については、個別にnoteを投稿する。

午後試験 必須問題

午後試験の必須問題は記述式で300点満点だ。

測量法や作業規定の準則から出題される。
計算問題はない。はず。
語句を記述する問題も出題されるので、漢字もしっかりと覚えよう。

午後試験の必須問題は、午前試験と同様に過去問を繰り返し解き、8割以上を狙おう。
計算問題が出題されない為、過去問と測量法と作業規定の準則を覚える事で高得点が狙い易い。

測量士の資格試験は午前試験と午後試験の必須問題で合否がほぼ決まると言っても過言ではない。
午前試験と比べて配点は少ないが、先述したように高得点が狙い易い所なので重点的に学習しよう。

個々の問題については、個別にnoteを投稿する。

午後試験 選択問題

午後試験の選択問題は
  ●基準点測量
  ●地形・写真測量
  ●地図編集
  ●応用測量

の4題の中から2題を選択する。
1題200点の400点満点だ。

どの題を選択するかはあまり重要ではない。
全ての題に目を通し、最も得点できそうな題を選ぼう。

午前試験と午後試験を合わせた1400点満点中の400点なので、午前試験と午後試験の必須問題で9割取れていれば、ここでは10点取るだけで合格する事が出来る。
焦らずに、確実に点を取れる問題が含まれる題を選択しよう。

個々の問題については、個別にnoteを投稿する。

午後試験 基準点測量

基準点測量についての問題が出題される。
基準点測量は、4題の中でも特に計算問題の難易度が高い。

GNSSの基線解析では、分散共分散行列の逆行列が用いられる。
高校数学の範囲ではあるが、実際にここまでカリキュラムに含まれる事は多くない。
しかし、これを学習すると統計学にも触れる事になる為、一石二鳥で大変お得な学習だ。

水準測量の計算問題は測量士補の試験で学習した内容が応用出来る出題が多い。
過去問を解き、自分が解き方を忘れてしまっていないか確認をしておこう。

私は基準点測量を選択した。
学習の際に、「わかりやすい測量の数学―行列と最小二乗法」という書籍を使った。
この本は数学の学習はもちろんだが、数学を学習するモチベーションが上がったのでオススメだ。

午後試験 地形・写真測量

地形・写真測量についての問題が出題される。
実務で写真測量を行っていないと、イメージがし難く覚えにくい題だ。
そのせいか、「写真測量は難しい」と言われる事も少なくないが、計算問題が4題の中では難しくない為、点の取り易い題だ。

作業工程の穴埋め問題の出題頻度が高い。
実際の工程をイメージして、どのように成果が作成されるかを理解しよう。

計算問題では、測量士補の資格試験で出題された問題に、重複度等が追加され、撮影コース数や撮影枚数を求める問題が出題される。
計算自体は難しくないので、計算が苦手な人は選択しても良いだろう。

午後試験 地図編集

地図編集についての問題が出題される。

JPGISについて、しっかりと学習し覚えていれば難しくはない。
しかし、JPGISは覚えなくてはならない事のボリュームが多い。

計算問題は少ない。
出題されないというわけではないが、難易度の高い問題の出題はほぼない為、写真測量と同様に計算が苦手な人は選択しても良いだろう。

午後試験 応用測量

応用測量についての問題が出題される。
応用測量は、基準点測量と同様に計算問題の難易度が高い。

路線測量の曲線について、測量士補では単曲線の計算だったが、測量士ではクロソイド曲線(緩和曲線)の問題が出題される事がある。
また、用地測量や河川測量も応用測量に含まれる為、範囲が広い。

あまりオススメはしないが、年によっては、測量士補で学習した計算の応用で解ける問題が出題される事もあるので、問題に目を通し解ける問題が多ければ選択しても良いだろう。

まとめ

測量士の資格試験は簡単ではない。
測量士補と同様に、点数で合格が決まる試験だが、合格率は概ね10%前後だ。
平成25年に5.2%と、最近でも合格率が低い年もある。

しかし、その難易度とは裏腹に世間での評価は高くない。
大学や専門学校を卒業していれば、実務経験での申請で取得出来る事もその要因のひとつだろう。
※これについては国土地理院でも議論があるようなので、将来的に改善され
 る事があるかもしれないが。
試験合格者である事への特典も特にない。

悪い事ばかりのようだが、測量士は一度取得すれば失効する事はない。
また、測量は決してなくなる事のない業務だ。
特に測量士は、作業計画を立案し実施する役を担っている為、技術の進歩によって淘汰される可能性は低い。

減少し続ける測量業者。でも書いたように、技術者はこの先も減り続けるだろう。毎年300名程度の合格者数に対して、年齢構成が上に寄り過ぎている為、減少数の方が多い。
是非、将来のワンチャン狙って合格して頂きたい。

最後までお読み頂き有難う御座います。モチベーション維持の燃料にサポートいただけると有り難いです。