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京大生の勉強法

今回は私が院試勉強を通して改めて感じた効率の良い勉強法についてまとめておきたいと思います。
これまで入試や資格試験などを通じて私がたどり着いた方法を言語化したものです。
巷に溢れている情報をまとめたものでも、気を衒ったようなものでもないので、多くの人に参考にしていただければ幸いです。
特に、これから入試を控えた中高生に届いてほしいです。

この記事は随時更新していくつもりなので、参考になった方はフォローやスキからぜひ見直してください


過去問と出題者の意図

過去問はこれ以上にない最高の教材です。
「なんやいきなり当たり前のこと言うやんけ」と思った方、もう少し待ってください。

みなさんはこれまで過去問をどう使われてきましたか?
私は過去問を、
・傾向を知るためのもの
・自分の実力を図るもの
として認識していました。
前者はまだ、過去問を解いて傾向をつかむという意味では良いです。問題は後者です。「試験直前に合格点取れるか確かめるために残しておこう」なんてしていませんか?

では、過去問は「いつ」「何のために」使うのか。
過去問は、「一番最初に」その試験の「傾向を分析するため」に利用します。
その時実際に問題を解くかどうかはどちらでも構いません。重要なのは、試験の全体の出題範囲のうち、特に試験で問われやすい箇所を理解することです。試験は出題範囲全体からランダムな割合で出題されているわけではありません。

私のこれまでの記事【院試は情報戦】などを見てもらえればわかると思うのですが、重要度によって重みをつけた学習をすることにより、最短ルートで得点を向上させることができます。

例えば、世界の国名を覚えるテストまで10日あるとします。覚えなければならない国は大体200個くらいあります。テストでは30個問われます。合格点の20点に満たないと補修に参加しなければなりません。
この時、過去5回分の過去問が手に入ったとします。これを分析してみるとどうやら、

  • アジア

    • 東アジア: 中国/韓国が必ず出題の2問

    • 東南アジア: 5問

    • 南アジア: インドが必ず出題 + 1問

    • その他アジア: 1問

  • ヨーロッパ: イギリス/フランス/ドイツが必ず出題 + 5問

  • 北アメリカ: アメリカ/カナダ/メキシコが必ず出題の3問

  • 南アメリカ: 2問

  • オセアニア: オーストラリア/ニュージーランドが必ず出題の2問 + 1問

  • アフリカ:  エジプト/ケニア/南アが必ず出題 + 1問

という傾向があるようです。
もちろん、作問者が今回も傾向にならうという保証はありませんが、200個程度ある国名を端から端まで順番に覚えていくよりも、必ず出題されるであろう国14個を確実に覚え、その次は母数の割に出題数が多い東南アジアやヨーロッパの国々を覚えた方が効率が良いですよね。

作問者の意図をメタ的に考えてみることも重要です。
この例の過去問を見てもわかるように、作問者は日本人にとって近しい国や、これだけは知っておいてほしい国を出題するはずです。(たまに、重箱の隅をつつくような問題ばかりを出題する 性格の悪い 愛情ゆえの厳しさを見せられる先生もいらっしゃいますが、私はこのような試験にはあまり意味がないと思います。)つまりテストには、出題者が重要だと考える箇所(+出題者の好み)が反映されています。
また、生徒が過去問を入手していることを先生が気がついていない場合は、一々ゼロからテストを作り直すのは面倒なので、ある程度これまでの試験を参考にするはずです。逆に先生が気がついている場合も、傾向を大きく変えて大量の生徒が悪い点数を取る(今回の例だと、補修を受ける)ことになるのは面倒なので、あくまで私の経験上ですが大体は過去の傾向を踏襲するはずです。

過去問によって傾向を分析することで、学習を最適化できます。

アジャイル勉強法

「アジャイル」という言葉に聞き馴染みのない方もいらっしゃると思いますが、以下で説明を行なっていくので安心してください。

私はソフトウェア工学の勉強で、この「アジャイル」という概念に触れました。ソフトウェア工学の文脈において「アジャイル」とは以下のような意味です。

アジャイルおよびアジャイル開発とは、小さな単位で動くソフトウエアを作っていく考え方、あるいは、その方法論まで含めて表現する場合もあります。

野村総合研究所(NRI)/用語解説/アジャイル

簡単に言えば、「まずは短時間で動作するアプリをとりあえず作成して、そこから機能を補充していく」みたいな感じです。

この概念を学習方法に落とし込んだのが「アジャイル勉強法」です。(私が勝手に造語を作ったつもりでしたが、検索してみると同様の考えを提唱されている方がいらっしゃいました。)

私が定義する「アジャイル勉強法」とは、
 学習内容を短い期間で1周するというサイクルを繰り返すこと
です。
アジャイル勉強法では、「人は繰り返し触れた内容から記憶していく」という性質を利用しています。(cf. エビングハウスの忘却曲線)

例えば、世界史の勉強をする場合を考えます。このとき、最初から隅々まで完璧に暗記していくことを目指すのではなく、まずはざっと1周し、大まかな流れなどを把握します。次のサイクルでは前回把握したことを確認しつつ、前回は見なかったところにも少し目を向けてみます。この時、すぐに忘れても良いので一度は頭に放り込むということは意識してください。(次のページを開いた時に忘れていても構いません。)これを何周も何周も繰り返します。

イメージで言えば、最初に大きな幹を通して、その後に少しづつ枝葉をつけて、幹を補強していくような感じです。

もう少し具体的なイメージを持ってもらうために、10日で1000個の英単語を覚える場合を考えます。このとき、毎日100単語ずつ覚えようとするのではなく、毎日1000単語覚えようとすることを10日繰り返すのがアジャイル勉強法です。

教材の浮気は御法度とされることが多いですが、一つの教材が大体身に付いたら次の教材を手に取ってみるのも、モチベーション維持につながるのなら私は良いと思います。ちなみにこのとき、複数の教材間で共通している内容が重要な箇所です。重要な内容はどの教材にも必ず含まれています。また、別視点からの説明を読むことによって理解が深まることも期待できます。

例えば金融の勉強のために複数の書籍を読んでいたとして、「これ前にも読んだことがあるなー」となった時、それはその分野で重要な内容であり、これにより記憶が強固になっていきます。

少し話はそれますが、私は、以前触れた内容を別の場所で見つけて思い出した時、最も記憶に定着しやすいと考えています。具体例は何でも良いですが、例えば家でドラマをみていたとして、花火のシーンで作中の真面目キャラが炎色反応について語り出した時に、「あー、なんかあったなあ。確かLiが赤で〜…」となれたら、もうその知識は自分のものです。

アジャイル勉強法により、必然的に重要な箇所から知識をinputしていくことができます。

outputと構造化

私も勉強となると、どうしても基本的にinputをイメージしてしまいますが、自分のためにも改めてoutputの重要性を確認しておこうと思います。

一般にoutputとは、問題を解くこと、広く言えば学んだことを利用することだとされていると思います。
言うまでもありませんが、問題演習によって、学んだ内容が試験でどのように問われるのかであったり、正しくinputされていることを確かめたりすることができます。また、inputばかりになるとモチベーションを維持しづらい(私の場合脳が思考停止状態になります)ので、単調な勉強を脱却するためにもこの形のoutputは重要です。

ただ、今回私が伝えたいのは、学んだ内容を自分でノートなどにまとめていくという形でのoutputについてです。
私はこのoutputによって、知識の構造化(整理)を行うことができると思います。(というより、項目間の関連が理解できていないと、自分で整理してまとめることができません。)

高校生までだと、参考書やインターネット上での情報も豊富で、整理されていないものは淘汰されていくため、定番の参考書などはかなり理解しやすい形になっていると思います。(それでも、例えば世界史の教科書などを教材にする場合には今回説明する方法は有効だと思います。)
しかし、大学生が専門書などから、社会人が書籍などから知識を身につけようとする場合はそうもいきません。このoutputは特に、図や箇条書きなどが少ない、主に文章のみから構成される教材から知識を身につけようとする時に有効です。また、スライド間のつながりがわかりにくいような大学の講義資料などに対しても有効です。

例えば次のような文章があったとします。

Aとは、〜〜のことをいいます。Aを実現する方法にはBやCがあります。Bは〜〜な方法です。Bには、利点Dと欠点Eがあります。Cは〜〜な方法です。Cには、Bの欠点とは逆に利点Fがありますが、欠点Gという問題があります。

そして、このA~Gは自分にとって知らない概念だったとします。これらを勉強する時に、文章のまま理解しようとするのではなく、ノートなどに自分で構造化して整理します。

例えば、
・A: Aについての説明
  ・B: Bについての説明
    ・D: Dについての説明
    ・E: Eについての説明(←→F)
  ・C: Cについての説明
    ・F: Fについての説明(←→E)
    ・G: Gについての説明
のようにノートにまとめます。

またこのとき、書籍などの説明をそのまま写すのではなく、咀嚼した自分の理解を自分の言葉で書いておくことで記憶に残りやすくなります。他人が書いた説明より、自分で作った説明の方が頭にすんなりと入ってきます。

このように、文章を構造化して自分の理解を整理していく作業により、inputした知識がより確かなものへと変わっていきます。

本質の理解

この節は特に中高生に読んでいただきたいです。

多くの学校の先生が、これから授業で学ぶ内容が「どう使われて」「どう役に立つのか」などを教えることを疎かにしていると思います。

学習を能動的に行おうとする場合は問題ありません。
例えば、「留学に行きたいから」「海外の人と仲良くなりたいから」、英語を勉強するといったような場合がこれにあたります。

一方で、学校の授業のような基本的には受動的に学習を行う場合は、その本質を自身で理解しておくことが学習意欲を向上させ、より深い理解につながると思います。
例えばこれまで、数学の授業で「なんでこんな公式覚えさせられるんやろ」「三角関数なんていつ使うねん」みたいに感じた経験はありませんか?
実際私も、意味が分からないままただ「覚えろ」と言われたものをそのまま覚えていたという経験が多々あります。

やや語弊はあるかも知れませんが、高校数学を例にして、私の理解を提示します。
まず、高校数学の大きなゴールの1つとして、微積分学への入門ということが挙げられます。高校数学の半分以上のカリキュラムは、このゴールを達成するための道具を用意することを目的にしています。またこの微積分学は、物理をはじめとした多くの理数系の科目で必要になるため、理系の学生にとっては避けても避けられないもの(道具)となっています。(正確には物理学から微積分学が生まれました。)
別にここまで高い視座がなくても、例えば「確率は、不適切な統計データに騙されないための教養になる」「ベクトルは、大量のデータを効率的に表現することができる」程度の理解でも、十分だと思います。

重要なのは、自分なりに学習の目的や本質を理解しようとし、その先に何があるのかを意識することです。
これらの理解がないまま、ただ試験対策のようにどんどん知識を投げつけられるのが日本の教育の現状です。

本質を理解できれば、勉強はもっと楽しくなります。

健康維持

ここはほとんど自分用のメモです。

食事

勉強は脳で大量のエネルギーを消費します。特に一人暮らしの大学生、ちゃんとを食べような。ジャンクフードばっかやと頭働かんで。

運動

どんなに焦っていても、継続して勉強を続けるためには適度な運動が必要です。遠回りのように感じるかもしれませんが、ずっと勉強をしていたら集中力も低下しますし、背中や首も痛くなってきます。適度な有酸素運動を行うことによってリフレッシュもできます。走るのが嫌いな人は、自転車でちょっと外に行くとかでも構わないと思います。

日光浴

不安を感じて焦るときほど、日光を浴びてセロトニンをドバドバ分泌しましょう。

入浴

ちゃんと湯船に浸かって、内臓を浮力で持ち上げてリラックスさせてあげてください。あと、入浴中はスマホは見ない。頭を空っぽにしよう。

睡眠

記憶の定着には睡眠時間の確保が必要です。睡眠時間を削ってする勉強は、一夜漬けの場合などは仕方ないですが、長期的な目で見れば意味はありません。ただ、寝過ぎ(9時間以上)も逆に疲れて良くないです。

ストレス

ストレスとどう付き合っていくかが、長期的に勉強を行うには重要です。ストレスが大きくなりすぎる前に、しっかり休みましょう。私は、これを言い訳に自分を追い込むことから逃げないようにはしていますが、頑張りすぎないことも重要だと思います。半分冗談ですが、感情を殺し、自分は学習というタスクをこなすだけのマシンだと思い込むことで、1周回ってストレスを感じなくなるかもしれません。

ありがとう、ChatGPT

特に理系の大学生、講義の内容がわからなくてインターネットで調べてもよくわからない・必要な情報に辿り着かないなんてことありませんか?(私はよくあります。)
院試勉強をしていて気がついたのですが、ChatGPTだとかなり専門的なことを聞いてもちゃんと答えてくれます。日本語では調べてもヒットしないようなことまでちゃんと答えてくれます
とりあえず、サムには感謝やな。

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