「全人代から読み取れる、2019年中国経済の先行き」

「全人代から読み取れる、2019年中国経済の先行き」
①中国政府は2019年の成長率の目標を6%〜6.5%に設定し、
 6.5%前後から下方修正した。
②一方で、減税や社会保障料負担軽減等、年間2兆人民元にのぼる
 小型・零細企業の負担軽減措置を実施するほかインフラ投資関連の
「地方選項債」の発行拡大等も発表した。
③19年は構造改革よりも安定成長を重視、積極的な財政、金融政策により
 経済を支える姿勢を明確にした。

①…19年の実質GDP成長率が前年比+6.6%と28年ぶりの低水準に。
  対米貿易交渉の先行き不透明感や国内景気の下振れ不安が払拭されない
  なか、目標値に幅をもたせたとみられる。

②…総額で18年名目GDPの約1.4%の約1.3兆人民元にのぼる財政政策を実行

③…従来、地方政府の債務超過リスクを防止するために、債券発行を抑制
  してきた。しかし、インフラ投資の鈍化による景気下押し圧力を増やさ
  ないように、債務リスクをいったん棚上げしてインフラ建設を目的と
  する「選項債」の18年の発行枠を1.35兆人民元に急増させた。
  さらに、今回は景気対策として、2.15兆人民元に大幅増額した。

以上の内容をふまえると、2019年は中国建国70周年の年、20年に全面的に小康社会(ややゆとりのある社会)に向かう前の年であるため、
構造改革よりも柔軟な政策で安定成長を目指す年になると予想する。
また、中国経済の減速傾向が続いているものの、こうした政策の効果があらわれるにつれて徐々に安定化していくと予想する。


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