noteで学べるシステマ講座 第69回
「抑うつ状態との向き合い方　Part2/2」

2022年1月開催「モスクワ本部『感情的な人との向き合い方』」第2週より

理解者を見つけよ

ミカエル：本当に辛い状態にあるとき、一番大事なことは一人でもあなたを大事にしてくれる人を見つけることです。癌をはじめとしてさまざまな病気になることで恐怖心が生まれる人もいると思いますが、恐怖というものは病気よりも何よりも素早く身体中に広がっていきます。その恐怖に囚われてしまうことで、とても辛い状態になるのです。そのような時、友だちに話したり、医者に相談したりするものですが、だいたい友だちも医者もあなたを助けることはできません。なぜなら誰も本音では他人の苦しみを引き受けたくありません。それが根底にあります。ですから話を聞いて苦しみを受け取ってもらうということだけでは、相手はあなたを助けることはできません。

大事なのは、あなたのことを理解してくれる人を一人、見つけるということです。その際に気をつけるべきことは、その人があなたに対して哀れみの心を持ち、かわいそうだと思って接しているのであれば、あなたの助けにはならないということです。むしろあなたをさらに弱くしてしまうでしょう。
逆に威圧的な態度で、攻撃的な言葉を発する人もあなたを助けることはできません。恐怖をさらに強くしてしまいます。あなたを助けてくれる人というのは、あなたのことを正確に理解し、リラックスをする方法や楽になる方法を正しく教えることができる人です。

私が体験したことですが、いわゆる精神的なスクールに参加した時に、課題の一環として、「質問を書いてください」と紙を渡されました。参加者はそこに質問を書きます。続いて講師は「あなたはその質問に対してどういう答えを聞きたいか」ということを自分で書かせたのです。なぜから人は、自分が期待している情報を受け取ろうとするからです。

あなたを理解してくれる人、正しくあなたを導く人とはどういう人なのでしょうか？　それはあなたの今後の未来をきちんと予測し、あなたがたどり着きたいところに到達するための道筋を描いてくれる人です。なので私は悩みや病気があるという人に対して、必ずこのようにしています。まずは「何をしたいのか」「どのような問題を抱えているのか」ということを聞き出します。次に、それに対してこういうことをしてみましょうというふうに、一つの道筋をつけます。それができたら次はこう、というように、自分のこれまでの知識や経験を踏まえて、その人に一つひとつ段階を踏んでアドバイスをしていくのです。