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EMSに登壇して

9月4日にEssential Management Schoolに登壇。

何をやるにしても身体のマネジメントが不可欠という西條さんの意向で、Studio Libraの活動を若林さん、駒井さんと一緒に紹介しました。

西條さん自身、昨年体調を崩されてから身体のマネジメントの重要性を痛感されたのだとか。

当日は花まる学習会代表高濱正伸さんの講演と二部構成。高濱さんのエネルギッシュな講演はどっかんどっかんと笑いの渦で、とても勉強になりましたし、自分が試行錯誤してきたことが間違ってなかったことが確認できたのがとても良かったです。

わたしたちは身体の、高濱さんは家庭のマネジメントがテーマ。

で、身体のマネジメントとしてEMSの皆さんに何ができるのか。

講演を終えて最後の懇親会で思い至ったのが、みんなを強くすること。

身体を強くすることで何が生まれるのか。

それは余裕です。

身体に対する自信というのは、精神的な余裕をもたらします。

では身体の強さとは何なのか。筋肉量なのか。色々と考え方があるかと思いますが、システマを通じて私が思うのが、「振れ幅」です。

思い切り緊張できて、深くリラックスできる。たくさん息を吸えて、フーっと深く吐ける。

私は2008年にシステマの指導を初めて以降、どんどんクラス数が増えて今ではほぼ毎日、教えています。当初から一貫しているのは、システマを「武術」カテゴリの外に出したい、ということ。システマは単なる格闘技や武術ではなく、人生を力強く生きる杖になります。その杖を、武術や格闘技には関心がないけど、日々を懸命に生きる人達に届けたいと思って活動をしてきました。その成果が多少は出ているのか、武術や格闘技に無縁だった人たちがシステマに興味をもってくれるようになってきています。

中にはメンタル面の悩みをシステマで解消しようと来る方々もいます。こういう方々の身体を観察してて気づいたのが、「振れ幅が狭い」ということです。はじめのうちはどうにかしてリラックスさせようとあれこれメニューを工夫したのですが、どうしてもリラックスできません。身体がカチカチのまま、「どうやって力を抜いたらいいのかわからない」と悩むばかりです。

もしかしたら、根本的な身体のコントロール性が低いのではないか。そう考えて、逆の発想で全身を力ませてもらってみました。すると案の定、力を入れているつもりでも肩や拳を固めるのがせいぜいで、全身のいたるところがゆるゆるだったのです。

つまり彼ら、彼女らはリラックスできなかったのではありません。

リラックスも力むこともできない。つまり自分の身体のマネジメントができてなかったのです。呼吸も同様です。浅い呼吸の人は、吸うことも吐くこともできずにいるのです。力みとリラックス、吸うと吐く。そのあいだの振れ幅がその人のキャパシティになります。振れ幅が狭いからすぐキャパオーバーしてしまい、限界に達してしまうのです。

それ以降はリラックスだけでなく、力むことの重要性も踏まえて指導するようにしました。思い切り力めて、リラックスできる。たくさん吸えて、吐ける。そういう身体を目指すようにしたら、効果がぐんと上がった気がしています。

システマがEMSの皆さんに役立つとしたら、まずひとつはこうした身体のマネジメント面において。

もうひとつは「サバイブ」の思想です。

システマにおいてプライオリティの最上位に来るのは「サバイブ(生き延びること)」です。

危機的状況からどう生還するか。それを目指してシステマはつくられました。

でもただ生きてさえいれば良いわけではありません。

人は多くの人と関わりあって生きています。

それら周囲の人々が全滅したら、自分も生きていくことはできません。

つまり自分が生きるには、自分の周囲の人達も生かさなくてはいけないのです。また、ただ今だけを生きていればいいわけでもありません。この先もずっと生きていきます。個体として100年くらい生きるでしょうし、自分という個体が生きた影響は、そのさきもずっと残るでしょう。存在としての自分も含めれば、200年くらい生きることになります。中には数百年、数千年生きる人もいるでしょう。そうやって今から未来に至るまで、自分に何らかの形で関わる人達すべてを生かす必要があります。それはすべて自分が生きるためです。

その長い間、どう生きていくか。

もしチューブに繋がれて寝たきりの状態で生きていくとしたらどうでしょう。停電でも来たら、ほんの数時間しかもちません。それはサバイブという目的の実現可能性が、極めて低い状態といえます。

またわがまま放題で周囲から人が去ってしまった状態。それもやはりサバイブの実現可能性は低くなるでしょう。何か危機に見舞われた時に、助けてもらえる確率が低いからです。

でも元気で身体も心も自由でいられれば、サバイブの可能性は高まります。パフォーマンスが高いことで、困難を超える力が高まるからです。すると不思議なことに、困難が寄り付かなくなります。おそらく実際には困難に見舞われているのかも知れませんが、それと気づく前に乗り越えてしまったりするのです。

さらに周囲の人にも同じような自由さ、快適さを提供して、サバイブの実現可能性を高めたらどうでしょう。当然、自分のサバイブも実現しやすくなりますし、何より元気で楽しく生きている人に囲まれた方が、日々も楽しくなるでしょう。

では周囲の人にどうやって自由さ、快適さを提供すればよいのか。

それにはまず自分が強くなることです。

なぜなら人と人はお互いに影響しあって生きています。

オフィスにひとり機嫌の悪い人がいるだけで、オフィス全体の空気が淀むでしょう。

それと同じ作用によって、強い人がひとりいれば、その周囲の人もまた強くなります。周囲の人が強くなれば、そのまた周囲の人たちも強くなります。

そういうパンデミックを起こしたいのです。それが日本全体に及んだらどうなるのか。少子高齢化や生産性の低下などなど様々な理由で「もはや先進国ではない」とまで言われ始めた日本における、希望になるのではないかと思うのです。

EMSはおそらく、そのきっかけになり得ます。

だから私はみなさんを強くします。

そのためのシステムが、システマです。

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