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noteで学べるシステマ講座 第65回「インストラクターは何を教えるべきか?」」

noteで学べるシステマ講座 第65回
「インストラクターは何を教えるべきか?」

2022年1月開催「モスクワ本部インストラクター・ワークショップ」第2週より

教える前提で学ぶとき

Q.自分自身のためにシステマを学ぶ場合と、人に伝えるために学ぶ場合で、学び方はどう変わるのでしょうか? 人に伝えることを前提とした学び方のポイントがあれば、教えてください。

ミカエル:何かを学びたいと思った人が、学びに行くのはとてもよいことです。そのような人に教えるのは、とてもやりやすいです。その一方で、何を学びたいのかよく分かっていない人に何かを教えるのは、運を天に任すようなところがあります。何をどう教えて良いのかが分かりにくく、やりにくいのです。何かを学びたいと思った時、その人は「自分が何を学びたいのか」を深く理解している必要があります。何を学びたいのか、何を学ぶためにそこに行くのかということを自覚しているということが、大切なのです。つまり何を学びたいのかというイメージや考えを持っているということが、学ぶ前提としてとても重要だと言えるでしょう。

身体を動かしながら聞いてください。時間の節約のためです。立って呼吸をしながら、その場で足踏みをしていきます。1歩で吸って、1歩で吐きます。しばらく続けたら2歩で吸って、2歩で吐く。これを少しずつ伸ばして、20歩まで続けてください。身体と呼吸を鍛えていきましょう。

話を戻します。何かを学ぼうとしてその場所に来る人たちには、それぞれの目的があるかと思います。1つは自分の健康のため。もう1つは、自分で学んだのちに人に伝えようという場合です。この2つ考えられますが、いずれの場合も責任が伴います。自分の健康状態を改善するという目的であっても、自分自身に対する責任が生まれるのです。そして後者の人に伝えることを目指す場合なら、正確な情報を正しく伝えるという他者に対する責任が伴います。

生徒の状態を認識する

 インストラクターという人は、教え子たちが正しく理解することにまで責任を負います。私たちのシステマにおいてとりわけ大事なのは、呼吸をしっかり教えるということです。そしてリラックスすることを教えるのです。もし新しい人が来たとき、例えばさきほど私はアレクサンドルさんの立ち方や動き方をよく見ていました。彼の足の上がり方から「太ももの辺りに何か硬い緊張があるな」、といったように、どの辺りにどういう問題があるかを、観察によって見極めます。つまり教える人は、生徒たちの動きや呼吸の仕方、そういったものをよく観察して、その人の状態を正しく認識するということがとても重要です

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