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noteで学べるシステマ講座 第64回「武術でも護身術でもないシステマの存在意義」

noteで学べるシステマ講座 第64回
「武術でも護身術でもないシステマの存在意義」

システマにないものはない。

システマ4原則と呼ばれるものがあります。
「呼吸」「リラックス」「姿勢」「動き続ける」です。これはミカエルが言い出したのではなく、おそらくシステマをロシア国外に広める際に、トロント本部が言い始めたのが始まりでしょう。発案者はおそらくヴァレリー夫人であろうと推測しています。システマには型がないので、ミカエルもヴラッドも、何らかの形で思考を固定することを周到に避けます。だから筋トレもストレートパンチも否定しません。

トロント本部に行き始めた頃、「システマにはワンツーやストレートみたいな、一般的な打撃はないのか?」とヴラッドに聞いたことがあります。その時の答えは
システマには全てがある。だからストレートパンチにしても、何にしても、それが『システマにはない』ということになならない。」というもの。
筋肉の緊張についても同様です。
「無駄な力みを取りたいんだけど」とヴラッドに聞いたら、
力みも自分の一部だから、否定してはいけない。有効に使うことを考えるんだ」との返事でした。

つまり力みや緊張を否定している訳ではなく、それによって自分の能力が制限されてしまうことを、良しとしていないということです。だから特定のものをさして、「これはシステマ的にOK」「これはシステマ的にNG」といった判断そのものが、ないのです。なぜなら全てがシステマに含まれているからです。なんであってもそれが生きるのに有効ならば、それはそれでOKなのです。

だから4原則についてミカエルやヴラッドに聞くと、「原則は4つだけではない」とか「原則は一つだ」とか色々な答えがかえってきます。4原則こそが絶対的な支柱だと思っていると、「え?違うの?」と面食らってしまうことにもなるでしょう。でもそれだとあまりにも捉えどころがなくなってしまうため、ヴァレリーさんがヴラディミアと相談して、4原則というのを指導に使い始めたのではないかというのが、私の推測です。だからミカエルは4原則を知らないと思います。

ただこの4原則はシステマを理解するのにとても便利なのは確かです。この4つをチェックポイントとして、セルフチェックすると、だいたい自分のミスが見つかります。ストライクにしてもナイフワークにしても、うまくいかない時は4原則をもとにセルフチェックすることで、何が原因かがよく分かるのです。

4原則を反転させる

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