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異物を取り込む勇気。〜旅のお出迎えを終えて〜

彼らが今治を離れて、約一週間がたちました。

たった3日間という日程だったものの、得たものは計り知れない気がしています。

つい先日公開した「旅って行きたいときない?in愛媛」。

旅についての詳細はこの記事をご覧いただければ幸いです。

まずは、先に参加者を紹介していきます。

○たくみくん

今回の旅の首謀者である。上のnoteでも紹介したが、旅のきっかけはTwitterのリプライ。しかも、それまでにたくみくんと交わした会話は、おそらく2回の合計で3分程度だと思う。その後、Twitterでのやりとり上で彼を「概念おばけ」と称していたのだが、まさか愛媛にやってくるとは。

今回の旅での大きな発見は、彼の声がめちゃくちゃ心地よいということ。内面に潜む優しさは、自分の友人たちに向けられ、多様な友人を受け入れる中で、おそらく全人類と仲良くなれる才能を持っていると思う。それくらい懐が大きく深く、言葉にうそがない。自分がやらないことを決めている。

フットサルで足がもつれてこけることはあっても、実にかっこいい男だった。

○けんけん

初めましてのけんけん。事前にもらった情報が名前だけだったので本名知らなかったけど、最終日に聞くと、白水(しろうず)らしい。水(みず)じゃなかった。

福岡でシェアハウスをやってて、どうやらコードなんかも書けて、最近農業なんか始めちゃってるらしく、少し同じ匂いを感じた。言葉選び、表情から優男であることはわかってたけど、最終日のワークショップでめっちゃ喋ってるのを見て、仕事できる人なんだなって思った。

○ふちこちゃん

学生辞めたばっかりの人。ラッパー。すでにWebミーティングで顔くらいは知ってる感じで、初対面。しょっぱなから松山でポンジュースバッグを買ってて、かわいかった。「ちょうどいい大きさ」だったらしい。

たぶん感受性が強いんだろうなと。いろんなものを感じ取って、たくさんの選択肢の中、刺激から苦しむことも多いのかな。めっちゃ早く寝るし、自分の掟の中でしっかり生きている印象。人の未来が見えるらしい。

○あさぬー

初めましての人。イラストデザイナーさん。不思議ちゃん系かと思いきや、全然そんな感じがなく、すんなり入れた。その大きな理由は、声が出ていないということ。一個ずつ突っ込んでいくことで、その都度壁が消えていったように感じた。

彼女はきっと人を大事にしすぎちゃう、必要以上に空気を読んじゃうのかなという印象。ただ、芯は強く、そこから脱却し、自分をしっかりと持つことを意識し始めてるんじゃないかなと。

お仕事お願いします。

○JP

会ったのは初めてだけど、名前はよく聞いてたJP。デザイナーらしく、車を走らせてると「あ、あれめっちゃいい」とか「フォントかわいい」とか独り言を言い始めるかわいい人。

すぐにカメラを構えれる人は、優しい人っていう持論があるので、JPは優しい人でした。おとなしくてきっと職人気質なんだと思うけど、建築よりもそこから生まれる人の笑顔に興味があるんだなと話してて感じた。

○おくでくん

今回の旅で、一番レアなキャラとして君臨したおくでくん。でもめっちゃきっちり集合時間を守ってくれてた。なんでもできちゃう凄腕エンジニアらしい。

あんまりこういう旅に参加しなさそうなのに、初日の宴会から飛ばしすぎちゃって2日目でダウンしちゃうというかわいさ。全然いっぱい話せなかったけど、愛されキャラの天才。

○しんちゃん

唯一大幅に確信犯的に遅刻したしんちゃん。もちろん初対面。こちらも凄腕デザイナー、エンジニア。身長高め。

ゆっくり話したのは最終日のワークショップだけだったけど、発想が豊かでかつ、しっかり行動している人、ものごとの本質を捉えようと思考を深める、まさにMIKKEっぽい人だなと。

あともう一人あきおくんは、またの機会に。


さてさて。

参加者紹介で1500文字も使っちゃいました。

ここから本編にいきます。


実は今回の旅の第一の目的は、一次産業に従事する人と仲良くなろう!というものでした。

その中で「お金ではない価値交換」につながる何かを見つけることができればいいなと話していました。

SNSなどのWebを使ったコミュニケーションで、その人を"わかった風の友人"になることはできますが、やはり直接のコミュニケーションに勝るものは未だ存在していません。

ということで、農家さん、漁師さんを見て回ろう。さらに、前日飲み会に呼んじゃおう!仲良くなっちゃおう!ということで、飲み会を設定しました。

そして、仲良くなった上で、その農地を見学させてもらおうと。

その成果がどれくらいあるのかどうかはわかりませんが、呼びかけに応じて参加してくれた時点で、ポジティブであることは間違いありませんし、自分たちの仕事を、わざわざ東京からきて見てくれることに関して、嫌な気がする人はおそらくかなりの少数派でしょう。

そういった意味で、各農家さんと漁師さんは、普段あまり目にすることのない異物を目撃したわけです。

その結果がこの笑顔です。

どの地方でも、漁師さんがいる地域はどうしても敬遠されることが多いかと思います。ややもすれば、治外法権になっているようなところもあるかもしれません。

そんな場所で、8名もの東京からの人たちが、自分たちの仕事を見て「めっちゃすごい」「楽しい」と言ってくれる。その結果、

「お嬢ちゃんの手ちっちゃいなぁ。わしやかこんなに。。。」

という上の写真になるわけです。

何気ない日常に突如生じた非日常だったはずです。

その後彼らの生産性が劇的に上がることはおそらくないでしょう。

しかし、確かな思い出として、胸に刻まれているはずです。

そこに新たなコミュニケーションを通じた価値交換が生まれています。

東京から来た8名が提供した「物珍しさ」という価値が、彼らが商品として販売する「魚」という価値に交換されました。

言葉を変えれば「お土産」になるのかもしれませんが、それでも確かにここに価値交換が存在しました。


さらにある農家さんは、初日の飲み会で自分が触れてきていない価値観に触発され、次の日にはまだまだふわっとした計画段階ではあるものの、デザインの仕事をお願いしていました。

8名が持つ「新しいものさし」が「仕事」へ交換されるわけです。

そしてぼくは、あさぬーちゃんという子にイラストをお願いしております。手付金を、現物(イケウチタオル)でお支払いしました。

実際今回の旅では、しまなみ海道も渡っていませんし、島々の有名スポットに行くこともなく、タオル美術館も行ってなければ、お城にも行ってません。有名なカフェなどにも一切立ち寄ってません。

観光地を周遊することはほとんどなく、「人」に会いに行く旅となりました。

それでも彼らは帰り際に、「また来たい」という言葉を口にしてくれましたし、迎え入れた農家さんももまた、「楽しかった」という言葉を口にしました。

異物を体内に取り込むと、察知してすぐに排除する動きと、入り込んだ中で分解して体内にとって無毒なものにしようという動きの二つがあります。

口に入れた時にそのままペッと吐き出すか、食べちゃってお腹を下すかの違いです。


地方にとって多くの場合が前者が選択されています。全国的に多く存在する、地域おこし協力隊の失敗なんかもその典型例だと思います。

彼らは一人単身で地方に乗り込み、溶け込もうとします。

よく言われる「よそもの・わかもの・ばかもの」といった類の人たちです。

彼らの最大のデメリットは、そこにおいて圧倒的に少数であることです。一人の価値観をいくら声高に叫んだとしても、「そんなのお前だけだ」ということになり、排除する力が強く作用し、孤立します。

ただ、今回の旅のように、8名も、同じ価値観のもとに思想を展開する異物が押し寄せてくると、全部を門前払いはできません。体内に一度取り込み、無毒化をする必要があります。

その無毒化する工程こそ、新しい価値観の醸成であり、気づきであり、変化であるといえます。


首謀者のたくみくんは、「お金ってダルいときない?」の創始者。

これだけを地方で聞くと「お前なにゆとりやっての??」「お金ないとなにもできねぇよ」ってなるはずです。ただ、その中身を聞くと、思考の深さと、守りたいもの、そこから導き出される答えが、「お金」というものさしだけじゃつらいってことです。

あくまで「ダルい時がある」という話を、受け入れることができるか否か。

その受け入れる姿勢に一つのヒントがあるように思えました。


今回、参加してくれたみなさん、受け入れてくれた農家さん。

そして遠路はるばる愛媛まで来てくれたみなさん。

ありがとうございました。

しかもこの旅は振り返りをする機会まであります。

ただ「楽しかった」で終わりじゃなくて「次なにして遊ぼう」という機会を常に探っているわけです。

一つの「地方×東京」の新しい交流の形が見えたかもしれません。

おそらく6月くらいに一つ旅の企画が立ちつつあり、夏にもう一度東京から御一行様がくるような話にもなっています。

たった一つのリプライが大きなうねりとなって、愛媛という土地に還ってきています。

東京の彼らにお金があるからじゃないんです。

受け入れる地方のみんなが素晴らしく、また来たいと思わせる魅力があるから、彼らはまたやってくるわけです。

胸を張っていいはずです。


胸襟を開いて、さらに裸になって、彼らを迎え入れてみましょう。

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