takahiro ohmura

大村高広 / 建築家。Takahiro Ohmura丨An architect, a critic, others. https://www.ohmura-takahiro.com/

幽霊的制作者の構築

ジェフ・ウォールの「取るに足らないものの印」(1995)に出てくるエド・ルシェに関する一説はとても魅力的だ。ウォールは「アマチュアリズムの“模倣”」というこのテキストの中心的な主題の、もっとも純粋かつ模範的な作例のひとつとして、ルシェが1963年-70に出版した冊子群を挙げている。これはルシェの最初期の仕事にあたるものだ。たとえば1965年の"Los Angeles Apartments"。

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岡崎乾二郎『抽象の力』について

岡崎乾二郎の新刊『抽象の力』は、2017年に豊田市美術館でおこなわれた同名の展覧会に合わせ書き下ろされた長大な論考(展覧会の公式サイト上で公開されていて、個人的には何回も読んでいたものだった)を中心に、ここ10年余り期間に書かれた岡崎さんの論考を集めた書籍だ。とはいえここには例外がふたつある。ひとつは書き下ろしの「先行するF」、そしてもうひとつは最終章の「批評を召喚する」である。後者が発表されたの

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家形と家型_坂本一成について①

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 坂本さんのテキストをあらためて読みなおしたりしているのだけど、「家形」から「家型」への微妙な用語の変遷は、あらためてけっこう重要だなとおもう。まず、《代田の町家》(1976)の発表時にはまだ「家形」あるいは「家型」という言葉は用いられていない。それどころかこのプロジェクトはもともとRCで計画されており、ゆるい勾配の切妻かつ袖壁を備えたあの外形は、やむをえない事情で構造形式の変更を求められた

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ロビン・エヴァンスについて①

ロビン・エヴァンス(Robin Evans)は1993年に49歳という若さで急逝してしまった建築家・建築史家である。彼のテキストは興味深いものばかりなのだが、なかでも有名なものは、『Translations from Drawing to Building and Other Essays』(The MIT Press, 1997)に収められている「Mies van der Rohe's Para

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オブジェクトの哲学と図式の生成_オブジェクト指向存在論と建築①

0. オブジェクト指向存在論とは

 オブジェクト指向存在論(Object Oriented Ontology / 以下、OOOと略記)が扱う「対象(object)」は、テーブルやフォーク、電灯、家、電車といったぼくらが日常生活をともにしている事物はもちろんのこと、中性子や「四角い丸」といった物理的・数学的な対象や、EUに代表される諸国同盟や組体操の人間ピラミッドのような集団的な対象、はたまたケン

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