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私の考える福祉

私は誰もが互いに尊重し合える状態にあることを福祉と考える。一般的な福祉という言葉のイメージは介護や保育、障害者支援などが挙がると思うが、福祉には幸福という意味がある。自分の意思や行動、より大きな観点では生活や将来設計などが尊重され、かつ相手を尊重する余裕があることは幸福と言えるだろう。福祉サービスにおいても相手を一人の人間として尊重することは当然のことであるし、そういった信頼関係が成り立たなければ支援は形だけのものになってしまう。私自身も発達支援に携わる上で念頭に置いて利用者やスタッフと接することで連携の取れた支援を提供することができ、不適切行動が減った、発語が増えたといった喜ばしい話を聞くことができた。しかし福祉サービスの実情は皆が皆幸福と言える状態ではない。介護の現場では暴言や暴力行為の報道が後を絶たない。保育でも待機児童や虐待という問題が生じている一方で、低待遇や長時間労働という問題が取りざたされている。このような問題について具体的な打開策を模索することも大事であるが、それに先立って福祉とはスタッフや利用者、関係者に至るまで、互いが互いを尊重する必要があることを改めて認識する必要があると思われる。介護や保育に限らず福祉サービスは公益性が高く、利用者の生活の質を大きく左右する点から将来にわたって支援体制を維持することが重要だと考える。そしてサービスの持続性を高めるためには、利用者とスタッフ両方を尊重する制度や組織作りが欠かせないと言えるだろう。利用者だけでなく、スタッフも尊重されるようになることで福祉サービスは初めて持続可能なものになる。それゆえ私は誰もが互いに尊重し合える状態にあることが福祉だと考える。

生徒の演習用に小論文を書いたことはあるが、それも数年前。ましてや自分の進路に直結するようなタイミングで書くのはたぶんこれが初なのではなかろうか。これを載せるのは、これまでどんな考えをもとに働いていたかを知ってほしいということもあるし、自分のあり方を残しておくためでもある。

小論文という形式上字数に制約があり、論理展開が突飛に思われるだろうし根拠も弱いかもしれないが、「じゃあ何を書き加える?」と聞かれると答えに窮するくらいには考えて書いていたらしい。これでも最初に書いたものからはかなりブラッシュアップされている。感想をくれた二人には感謝しかない。

塾講時代に「優しいけど思いやりがない」と評されたことがある。尊重といえば聞こえはいいが、うがった見方をすれば無関心とも言えるだろう。当時は随分とショッキングな評価に感じたが、今思えばそれも一理あると受け入れられる。それでも昔よりは思いやりを持って接することができるようになったと思う。

当時は自己犠牲的な働き方だった。お世辞にもいい大学ではなかったし、ろくな人生にならないなら未来ある子どもたちを優先するべきだと思っていた。その考えは今でも多少残ってはいるが。

ある一面では自分に厳しかったのだと思う。見方を変えれば自分の人生を放棄するという楽を選んでいるとも言えるが。そして他人にも厳しかった。同じ肩書きなら同じだけ働くのが当然だと思っていたし、理想を語るなら実現させるべく行動すべきだと思っていた。行動するだけの時間やキャパがあるかは関係ない。

昔も今も他人に期待していないが、ベースとなる考え方は大きく変わったと思う。つまるところ、昔は「他人には任せられないから期待しない」というネガティブなものだった。今は「相手も人間だから、こっちの都合がいいようにならなくても仕方ない」というある種の開き直りだ。

でもそれでいいと、今は思う。人間だからミスをするのは仕方ないし、一人ひとり考え方も違う。その背景を知らずに頭ごなしに否定する権利は、少なくとも俺にはなかった。

考え方が180度変わったのは塾講を辞めるきっかけになった研修の影響だと思うが、それを実践するよう心がけることができたのはひとえに環境のおかげだと思う。昨年度それを実感した。

それは対同僚であっても対子どもであっても、否定から入るのではなく一度受け止める。そういう人が多かった。ミスすることもあったが、皆寛容だったし全員でカバーしようという雰囲気が醸成されていた。

頭で理解しても実践する環境がなければ、あり方として定着しない。辞めるタイミングは多かったが、もっと早い時期に辞めていたら次の仕事は別の業界になっていたと思う。少なくとも来月入職するところから内定は出なかっただろう。

たまたまシェアされていたこの記事を読んだが、これは真理だと思う。少なくとも自己犠牲で働いていた時より、今の方が充足している。多くの人に助けてもらったし、その分パソコンのトラブルは極力サポートするようにしていた。

何より、得難い友人ができたのは一番の幸福だと言える。同僚ではなくなるのは残念だが、縁が切れることはないだろうと珍しく確信している。

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