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『ティール組織』著者ラルー氏講演Vol.1”新しい社会の出現”3つの世界の見方と経営

2019/9/13(Fri) 15:00 東京工業大学 リーダーシップ教育院主催で行われた
『ティール組織(Reinventing Organizations)』著者FREDERIC LALOUX(フレデリック・ラルー)氏 来日記念講座 
"The emergence of a new society"(新しい社会の出現)
をお届けします。

今回、ラルー氏来日イベント(この講演の翌日の9月14日のティール・ジャーニー・キャンパス)の世話人という形で半年間準備に関わってきまして、とても楽しみにしていたものでした。

新しい社会の出現 講義概要

まずは、東工大での講義の概要です。
●人類の進化は、大きなジャンプをしていることが研究で合意されている
●世界の見方自体を人間が変えてきた
 農耕文明の時代:世界は階層
 産業革命の時代:世界は機械、インプットとアウトプット、最適化
 次に出現しようとしている生命体の時代:複雑で関係し合っている
●この3つの世界観で世界を見たらどう見えるのか?
 経営、教育、農業、医学、政治を見ていく

<1.経営>
●農耕の視点での経営:管理、特権階級
●機械的な視点での経営:仕組みと専門家に頼る
●生命体的な視点での経営:一人ひとりが自分らしくいられる。そして、業績がよい

<2.教育>
●農耕社会の視点での教育:暴力が生まれる
●機械の視点での教育:壊れた部品、規格に合わないものは弾く
●子どもたちを生命体としてみるモンテッソーリ教育

<3.農業>
●フランケンシュタイン化した鳥
●新しい世界の視点での農業:パーマカルチャー

<4.医学>
●機械の世界観の医学:薬
●生命体の世界観での医学:感情、人間関係、自然

<5.政治>
●生命体の世界観での政治:世界で起こる様々な実験
●台湾の事例 ひまわり革命、その後に起こったこと
●学生が参画したUber対タクシーの問題
●フランスの1200人の村で起こったこと

●新しい社会が様々な分野で出現している
●あなたが一番呼ばれるところはどこか?

個人的感想

講演内容がとても長いので、まずは個人的感想です。

・「あなたが持っている世界観で世界の見え方が変わる。あなたの持っている世界観のせいで、事実、新しい方法を受け入れられていない」これをとても分かりやすくお話されました。とても分かりやすい大局観とエピソードです。
・特にお話されたモンテッソーリ教育とパーマカルチャーの農業の事例。そして、本人が持っている世界観がどう教育や農業に影響しているかのエピソード事例は、ティール・ジャーニー・キャンパスの分科会2「自然農法とモンテッソーリ教育」の登壇時にまさに話し、みなさんにワークシートで取り組んでもらうものになっています。社会や組織の自己変容の鍵のワークというもので体験してもらえる。それとこの話が重なったことが企画関係者にとって衝撃でした。

・彼がとても医療と政治の話に力を入れられたことがすごく印象に残りました。教育、農業、医療、政治の話にとても力が入っていと感じます。医療の中でも特にお産についてはとても思い入れを感じました。
・今日の内容の多くは、たしか2年前にフランスで大ヒットになったドキュメンタリー映画「Tomorrow パーマメントライフを探して」に農業、政治、経済、民主主義、、のネクストステージが扱われていて、ぜひともみてほしいです。NagatachoGRIDでも8月に上映会を開催しましたが、また開催しなきゃという気持になりました。

・彼が後半強く伝えていたのが、「新しい世界観で生まれている事実を知ることがとても重要。それを発信することが重要。」と。

申し遅れました、私は木村智浩と言います。ティール組織に関係する分野では、オルタナティブ教育、ポジティブ心理学、マインドフルネス、トランスパーソナル心理学の情報発信やイベント開催などしています。

では、ラルーさんのお話へ

The emergence of a new society

フレデリック・ラルー:今回、広いテーマで話してほしいとのことで。テーマは、The emergence of a new society。

私はヨーロッパのベルギー生まれ。そして過去3年アメリカ住まい。
それがあるので文化的翻訳しながら受け取ってください。

●世界で起こる混乱と時代の逆行に光をあてる

今欧米では多くの混乱が起きています。
社会はどうなっていくのか、価値観はどうなっていくのか?
アメリカではアメリカをNo.1にと今歴史を逆行させることまでしようとしている時代。
そして、大英帝国のノスタルジーに浸っているようなブレグジット。
日本では、憲法の話。もっと昔の憲法に戻すのか。

たくさんの混乱の中で、よき昔の時代に戻りたい。そんな傾向が出ている。
それに光を当ててみたいと思います。

●人類の進化は、大きなジャンプをしていることが研究で合意されている

学者たちは人間の進化の過程を研究している。
その研究結果、順に進んでいくものではない。
その結果、人類は大きなジャンプをするということがわかった。

最初人類は、小さい集団で暮らす。
その次は大きな集団で暮らすというジャンプ。
そして、その次は、農耕社会という大きなジャンプ。
そして、産業革命という大きなジャンプ。
そのあとに、情報革命といいう脱近代ともいわれる革命。
そして、多くの人は、別の大きなジャンプを始める瀬戸際にいると感じている。

社会をこのように変えてきたということ、テクノロジーを変えてきたということに合意されている。
そして、政治的な統治の仕方を変えてきたということに合意している。

●世界の見方自体を人間が変えてきた

でも、世界の見方自体を人間が変えてきたということまで同意する人はまだ少ない。
進化の過程で世界を見方が変わってきた。

水の中にいる魚が水の中にいるということに気付かないのと同じ。

進化の過程でどんな社会を創り出してきたか。それをみてほしい。
ジャンプがあまり多くならないように3つのステージをみてみたい。

農耕文明の時代:世界は階層

一つは農耕文明の時代
農耕時代の前の部族の時代と、農耕時代、このジャンプがどういうものだったのか。
農耕文明の世界観は、世界は階層でできている。すべてのことに階層があると見えている。
農耕文明はどこもカースト制度がある。それは当時ショッキングなことでもなかった。世界って生まれたら身分があるよね。そういう見方。
そんな風に世界が見えていた。

産業革命の時代:世界は機械、インプットとアウトプット、最適化

その次、産業革命のジャンプが始まった。
神様によってつくられた階層構造の社会ではない。
紙なき社会。そこにあるのは複雑な仕組み。科学的な探求を進めていく。
そしてその仕組みがわかると利益がでる。
この世界はコンスタントにイノベーションがあり、もっと、もっと、の世界。
この世界は、すべてのことは階層ではなく、すべてのことはマシン。

次に出現しようとしている生命体の時代:複雑で関係し合っている

今、次に出現しようとしる社会。
すべてのことが生体、生きているものとしてみる見方。

●この3つの世界観で世界を見たらどう見えるのか? 経営、教育、農業、医学、政治を見ていく

これから紹介したいのは世界の分野。
その世界観でみたらどう見えるか?分野別にみていく。経営については本に書いているので多くは今回語らない。

●農耕の視点での経営:管理、特権階級

農耕の視点では、どうやって管理をしなければいけないのか、という見方をする。それも境界線をつけて。
仕事を決めて管理すればいい。
政府機関の仕事はこれより。
大学もこういわれるのはいやだが、こういう形。

学長がいて、ベテラン教授がいて、講師がいて、、という世界。
終身教授は飲んでても大丈夫。昔の貴族と同じ。特権階級。誇張して言ってます。

●機械的な視点での経営:仕組みと専門家に頼る

これを機械的な視点で見ると、こうなる。
物事は固定化していない。どうやって最適化できるの?
そのためにどんなインプット?、アウトプット?と考える。
そこで、人的資源という概念が出てくる。

もっといいインセンティブ、もっといい評価制度をつくれば、もっとみんなは働きだすに違いない。
そして、専門家、コンサルタントという仕事が登場した。

もっと少ないインプットで、もっと大きなアウトプットを出せるのか?専門家に聞こう。
これがMBAで教えている世界。

●生命体的な視点での経営:一人ひとりが自分らしくいられる。そして、業績がよい

マネジメント、これは命を持った生命体であるとみる。
生命体の目標は、生命が繁栄すること。
こちらの世界観では、このスイッチをいれたら、これが動く、そういう単純化したものは信じられない。
それよりもいい状態、いい条件をつくる
よい仕事ができるようによい条件を整えていく。
これより先は本に書いてある。

こういった視点で組織をみる経営は増えている。
人々が自由に、自分一人ひとりが自由に自分をマネジメントできる、
そして、自分らしくいられる、
そして、組織の存在目的に直接触れていられるような組織。

これは繰り返しこの組織で起こっていることだが、
業績だ、業績だと言っている人はいない。
それなのに機械的な組織よりも業績、生産性が高い。

世界がみえてくる世界観。
私が世界が最適化されるものとしてみるか。
それとも、
自然発生的なものとしてみるか。
その見方でみてどうやってやっていくかはまだできないが処方箋を渡していくことはできる。

では、次に教育について見てみよう。

それでは第2話


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