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鬼滅の刃で中学英語#4~My name isを使った自己紹介~

#1で「I am」もしくは「I’m」を使った自己紹介をご紹介しましたが、今回は別の方法での自己紹介文を勉強しましょう。

でも、ふと、こんなことを思った人もいるかもしれません。

「そもそも自己紹介って“My name is ...”じゃないの?」と。

はい、そう思ったあなたは、中学生の親御さん世代かそれより上の世代の方ではないですかね?

しかし、実は今、子どもたちが「自己紹介」として使っている表現は、「I am」もしくは「I’m」なんです。

自己紹介=「My name is ...」?

今の中学生には信じがたい話ですが、昔は、自己紹介と言えば

What's your name?
(あなたのお名前はなんですか?)
My name is Hanako Sato. 
(私の名前は佐藤花子です)

というのが定番でした。というか、最初に、これしか習わないので、英語のテストで0点を取るような学生でも「マイネームイズ○○」と言えるぐらいド定番でした。

しかし、今、教科書*でまず教えるのは、

(*東京書籍『NEW HORIZON English Course 1』より)

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I’m +名前

で、一番最初に学ぶ英文が「I am」「I’m」なのです。

これは、かつて、「英語の日常会話では“My name is ...”なんてほとんど使わない」という批判がありまして(後述)、日常会話表現、いわゆる英会話で習う表現(=英会話学校で教える内容)として使われている表現を教えることにしたのです。

「My name is ...」も習うよね?

とはいえ、自己紹介文のも一つの例として、「My name is 名前」も習います。同じNEW HORIZON 1を見てみましょう。

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My name is Deepa Mitra.
私の名前はディーパ・ミートラです)

転校生のインド人(!)のディーパが、自己紹介をするときに使っているんですね。

実際に、鬼滅の刃でもどうなっているか確認してみましょう。

鬼滅の刃ではどう使われている?

鬼滅の刃では、わりと登場人物が名前を名乗るシーンが出てきます。

その中で「My name is...」を使っているシーンをピックアップします。

まずはこちらから。

鬼の祖である鬼舞辻に遭遇した炭治郎が、一騒動に巻き込まれてしまい、それを救ってくれた鬼だけど医者をやっている「珠世」とお手伝いの「愈史郎」のいる医院に連れて来られたシーンです(第15話)。

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I did't tell you my name.
(名乗っていませんでしたね)
My name is Tamayo.
(私は“珠世”と申します)

珠世は、ゴタゴタのあった現場から、場所を変え、あらためて、「失礼しました、私たちは名前を名乗っていませんでしたね」ということで、自分の名前を「My name is...(私の名前は…です)」を使って説明しています。
*my=私の、name=名前、is=be動詞(amの仲間)

もちろん、自分の名前を紹介する表現なので、「My name is」の部分を、「I am」でも「I’m」でも置き換えて、

I am Tamayo.
(私は珠世です)

と使っても中学英語上では大丈夫ですが、会話としてはちょっと違和感があります。

というのも、#1で紹介した、鱗滝さんと炭治郎の「I am」を使ったやりとりは、あくまでも、お互いが目の前にいて、お互いの自己紹介をそれぞれする流れだから、「自分は○○です」という意味の「I am +名前」がよかったのですが、今回は、珠世が自分(と愈史郎)の名前を伝えるだけのための会話です。

炭治郎と自己紹介し合うシーンではありません(というかよく読むと炭治郎は珠世に名乗っているシーンがない…)。

だから、

My name is +○○
私の名前は○○です)

と、あくまでも、「私の名前」という情報を伝える文(しかも丁寧に)になっているんですね。

これは、NEW HORIZONで、ディーパが「My name is Deepa...」と自己紹介したのと同じです。

最初のベーカー先生が「I'm」で自己紹介したのは、生徒との会話においてですが、ディーパは、転校生として壇上で自己紹介する中で、「自分の名前はディーパで、出身はインドで、12歳で・・・」という自己紹介のための情報の一つとして、自分の名前を「My name is...」を使って説明しているのです。

他にもこんな使われ方をしている

鬼滅の刃3巻では、主人公と同期となる鬼殺隊隊士・吾妻善逸が登場します。そこで、道ばたで優しくしてくれた女性にしつこくプロポーズしていた所を炭治郎に怒られて、それでも善逸がひねくれてギャーギャー騒ぐシーンです。

話の中で炭治郎は、「(結婚の妨害をしたから)俺が結婚できるまでお前は俺を守れよな」という善逸に無茶ぶりをされるのですが、「お前」と何度も言われたことに対して炭治郎は「俺はお前じゃない、炭治郎だ」と伝えるのです。

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実はそこでの翻訳が、

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My name is Tanjiro Kamado!
(俺の名は竈門炭治郎だ!)

それに対して善逸も、

My name is Zenitsu Agatsuma!
(俺は吾妻善逸だよ!)

とお互いが「My name is...」を使っています。

この場合の炭治郎も、珠世が「自分の名前」という情報を伝えるためにしたように、善逸に、俺は『お前』じゃない、「俺の名前は竈門炭治郎だ」という「情報」を伝えるために、「My name is...」を使ったんですね

ちなみに善逸は別に「I’m」で返してもよかったのですが、炭治郎がそう言ったので、「じゃあ俺も!」という感じで同じ言い方になっています。

このように、自分の名前を「情報」として伝えるときは「My name is...」を使えばよいのです。わかっていただけましたか??

おまけ:My name isの扱いが変わった理由

ちなみに、最初に「英語の日常会話では“My name is ...”なんてほとんど使わない」という批判があったというお話をしましたが、本当のところは、(特にに若者同士の)日常会話の中ではあまり使わない、という言い方が正解です。

実はその前の、「What's your name?(名前は?)」はだいぶくだけた日常会話表現で、それに丁寧な表現の「My name is ...(私の名前は...)」で返す組み合わせがあり得ないというだけで、使うのは使います。

たとえばかしこまった(フォーマルな)場所では、自己紹介に「My name is...」を今でも使いますし、逆に友だちの紹介で自己紹介するときのような気軽な(カジュアルな)場所では、「I'm...」を使うなど、普通は使い分けます。

直近の例で行くと、昨年、リチウムイオン電池の開発でノーベル賞を受賞した吉野彰さんの、ノーベル賞受賞スピーチ(+記念講演)での自己紹介がまさに「My name is ...」でした。

日本語でも、家とか学校では「オレは...」「アタシは...」と言うけど、ちゃんとした場所に出たら「僕は…」「私は...」と言い換えますよね?

英語でも、「I’m」と「My name is」をそうやって使い分けている、と思ってもらえるとわかりやすいかなと思います。

本日のまとめ
My name is Tamayo.=私の名前は珠世です。
・「My name is ○○」は、名前を「情報として伝える」時に使う
・「My name is ○○」は、名前を丁寧に伝える表現なので、友だちの友だちなど近しい人には「I'm」で大丈夫だよ!


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