見出し画像

JO1・河野純喜、というボーカリスト。

その歌声は私の耳の記憶に強く残り、どんな曲を歌っていてもそこに彼が存在することを教えてくれた。

初めてJO1というグループを知ったのはそれこそニュース番組のエンタメコーナーとか、音楽番組の紹介VTRとか、どこだかはわからないけど名前を言われれば「ああ、あの筋肉キス(無限大のポイントダンス)の子たちか〜」という印象だった。
たまたま毎日見ていためざましテレビで"まめちゃん"という子がエンタメプレゼンターとして出演していたりとか、たまたま毎週見ていたポケんちに誰くんと誰くんが出ていたな、とか。気付いたら私の脳内に刷り込まれていた。もしかしたらサブリミナルだったのかもしれない

彼らと正式に出会うことになるのは翌年、2021年に行われたオーディション番組、PRODUCE 101 JAPAN SEASON2でのことである。

私はたまたま超特急がs**t kingzのkazukiさんのYouTubeチャンネルで新曲を一緒に踊っているのを見ていた。(「Winter Show」という可愛らしい冬ソングです良かったら見てほしい↓)

カズキのタネというYouTubeチャンネルだが、これにハマっていろいろ漁っていたら、ちょこちょこ出演されていたRADIOFISHのShow-heyさんのダンスがかっこいいなと思い始めて、
その時Show-heyさんがたまたまDAPUMPのMV出演されると知り、見てみることにした。

ありとあらゆるジャンルのストリートダンサーたちとDAPUMPのメンバーが踊る「Dream on the street」。ピンクの照明の中、DAICHIさんと踊っている黒髪の方がShow-heyさんだが、超特急の振り付けもしたことのあるオシャレな音や歌詞の取り方をするダンサーさんである。
ちょうどその頃中居正広さんの「ダンスな会」という番組を見た影響でストリートダンスに興味を持ち、ストリートダンスの教科書のようなDAPUMPのパフォーマンスに少しハマって様々な曲のMVを見ていたのだが、ある日1つのニュースが舞い込んできた。

KENZOさんがPRODUCE 101 JAPAN SEASON2のダンストレーナーに就任した、というものである。

PRODUCE 101JAPANって前にもやってなかったっけ?と思って調べたところ、あのJO1を生み出したオーディション番組のSEASON2をやりますよ、と。なるほど。
今、第一線で活躍しているロックダンサーはKENZOさんが育てた、と言われるほど数多くのダンサーを教えてきたKENZO先生の指導を是非見てみたいな〜!という軽い気持ちで日プ2を見始めた。
案の定、「そんなハマることもないだろうな〜」と思っていたら1話で尾崎匠海くんと藤牧京介くんの歌声を見つけてしまって、デビューさせねば!と投票に必死になった。

そんな中、尾崎くんと藤牧くんがグループバトルでJO1の「無限大」を歌った辺りからとりあえずJO1予習しておくか…、という気持ちになったのがJO1沼への入り口である。

ここで私はどういうつもりだったのか、楽曲のMVではなくGyaOで同じく配信されていた「JO1HOUSE」という冠番組を見始めたのだが、声の聞き分けどころかまず顔の見分けがつかない。メンバーの名前も覚えられない。どんな楽曲歌ってるとかも全然知らなかったしそこまでハマるつもりも正直なかったし、そもそも忙しかったからかこの時期の記憶があまりない。(ただの記憶喪失)

ただ、たまたま4月に新曲「Born To Be Wild」をリリースされていて、それが職場の有線で流れていたのを聴いていた、歌い出しの誰かのロングトーンで「あ、JO1の曲だ」と気付く、そんなことがあったのは覚えている。

私は1曲、2曲ほど気に入った曲があるとそのアーティストの楽曲全てをまとめてApple Musicのお気に入りプレイリストに突っ込む癖があり、JO1の曲も見事プレイリスト入りを果たしたのだが、どう頑張って聴いてもやはり声の聞き分けができない。

しかし、1人だけこの子だ!とわかる歌声があった。
それがBorn To Be Wildの歌い出しの声、「河野純喜」の歌声である。

いつからその歌声の持ち主が「河野純喜」という人であると認識しだしたのかはわからない。だが、誰が歌ってるかわからない状況でふと思い立って日プ1のコンセプト評価曲を聴いた時に、「DOMINO」という曲の中に「河野純喜」がいることがわかるくらいには、彼の歌声のみを識別できるようになっていた。

好きな歌声に出会った時、その人はどういう人で、どういう人生を歩んできて、どのようにしてアーティストになったのか、その歌声はどこから生まれてきたのかを詳しく知りたくなる。

郡山高校、同志社大学出身。どちらも偏差値の高いエリート校である。
センター試験の化学で100点を取ったというJO1HOUSEでの発言、ANNXアフタートークで適当に並んだ数字を四則演算で10にするというゲームでの解答速度、彼は間違いなく数字に強い。(一応彼と同レベルくらいの私立理系大学で化学を学んでいた私だが、センター数学と化学では9割以上は取れても流石に満点を叩き出すことはできなかった。)しかも彼はやりたい分野に進むために高3で文転している。一体彼は何者なんだ、と思った。
社会人サッカーで全国大会出場。JO1のYouTubeコンテンツの中で見せたボールさばきの上手さは素人から見てもわかる。
楽天から内定をもらっていたが辞退しオーディションに参加。楽天の公用語は今でも英語だそうだが、彼は海外メディアに向けての取材に対して英語でのコメントも難なくこなしているためそのまま入社しても特になんの不自由もなかっただろう。

普段メンバーといる時は声もデカくて元気でパワフルでうるさいとか耳痛いとか言われるくらいなのに、メンバーがいないソロ仕事に出されると話す声が小さくなって、低めのトーンになってしまう。
何か伝えたいことがあるんだけど、頭の中でいっぱいいっぱい考えすぎてよくわからないことを言い出すこともある。

初の有観客ライブ、「OPEN THE DOOR」のVCRで彼は周りから見た自分の印象と、自分で思っている自分についてこう書いていたはずだ。
「明るくて元気(って思われてる)」
「(でも自分が思う自分は)逆」
自分が明るく元気でいたいから、大きな声で鼓舞し続けるのかな。励ましの声はいつだって他人だけでなく自分にも向けて発しているようにも思う。

河野純喜という人間の人となりを調べるとどんどんおもしろくって、より好きになっていく。なんでこんなにいろんな才能を持っている彼が、最終的に1番経済的に不安定性の高い「アーティスト」の道を選んだのか。そんなにも歌うことが好きだったんだな、と思える。あとは、自分が歌うことで誰かが笑顔になることに大きな喜びを感じるんじゃないかな、とか。彼のMBTIはESFP-T、エンターテイナー型である。

そんな彼の歌の特徴を端的に説明するなら、
"2種類の声質とそれによって曲の世界観を鮮明に描き出せる高い表現力"
である。

先に載せた「Born To Be Wild」の歌い出し、かなり力強くまっすぐ響く声でJO1の新たな冒険の幕開けを合図している。
それに引き換え、「Voice(君の声)/THE FIRST TAKE」では吐息が少し混じる柔らかく穏やかな声で君への想いを歌っている。

他にもこんな声質の違いとそれによって表現できる世界観の差がたくさんあるのだが、1個1個挙げてたらキリがないので1曲の中でそれがわかるようなものを。

「僕らの季節/THE FIRST TAKE」
右から2番目、暗めのブラウンの髪色。
1サビで「今すぐ君に会いに行くよ」とストレートな歌声で遠くまで届くように歌い上げた彼は、2A歌い出し「君の笑顔は時が過ぎても〜」を柔らかく丸い声で優しく語りかけるように歌っている。

このようなことが、1曲や2曲ではなくほぼ全ての楽曲で起きている。
「淡い思い出が濃くなるよ」(僕らの季節)という歌詞には、淡くて脆そうな儚げな声を、
「もう抑えられない」(Freedom)という歌詞には解放したい自分をまだ押し殺して苦しげにしているような声を、
「懐かしい道歩んでいる 不思議なほど鮮明な想い」(16)には16歳の時に君に抱いていた想いを懐古する穏やかな歌声を。
「いつかFind the way」(Phobia)には君のいない森から抜け出せる道を求める心の叫びを。

基本的にはここまで音の響きが大きく変わるボーカリストを私は知らない。歌い方やニュアンスが変わることはあってもベースの声質は変わらない。あるいはツインボーカルのグループだと、ボーカリストの二人は異なる声質であることが多い。(Da-iCE、超特急、ゆず…etc)
そういうわけで私は、「河野純喜」という人のことを一言で自分なりに表現しようと思った時に、"奇跡のボーカリスト"と表すことにした。ストレートな力強い響きと柔らかくて丸い響きの両方を併せ持つ奇跡のような歌声と、エリート街道まっしぐらだった彼があえてアーティストという不安定な道を選んで挑戦してくれたという奇跡のような経歴と。これが果たして正解だったかはわからないが、私の中では一番しっくりくる表現である。

そして
私自身がこんなに面白いボーカリストに出会えたこと自体、大きな奇跡である、とも言える。

"70億から君に出会えたこの偶然は 僕にとってきっと一番素敵な奇跡なんだよ"

この先、あと何回純喜くんの誕生日を一緒に祝えるのか、どれくらい長く一緒にいられるのか。人間である以上、たとえ永遠を望んでも必ずどこかで終わりが来るのはわかっている。
だからこそ今はできる限り、無限大の可能性を持つ彼の歌声を私の耳と心の中に刻んでおきたいと思うのである。

純喜くん
25歳の誕生日おめでとう。
貴方の歌声はたくさんの人々の心を動かせると信じています。
だからまずは世界中に貴方の歌声が響き渡るまで、どうか傍にいさせてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?