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夕方にケーキをたべて

授業が終わり、パッサージュにある喫茶店にはいった。

なんとなくそのお店をカフェというにはしっくりこない(カフェといえばビールとエスプレッソ、サンドイッチだ)ので、喫茶店とかいておく。ここはケーキや洋菓子に紅茶をいただけるお店である。

そこの前をよくとおっていて、そのたびにショーケースにおかれたケーキをついついながめていた。エクレア、タルトタタン、フォンダン・ショコラ、マカロン、そしてケースの上にはクロワッサンも。それらが、きれいに磨かれたガラスの奥にきれいに並べらているので、すいよせられるようにしてじっとみていた(ときどき知らないひとも横にきて一緒にながめた)。

その日はパリに住んでいる友人と夜に食事だったので、その前になにかかるく食べておこうということになり、そこの喫茶店にはいることに(はいる前にショーケースをながめて)。

ムッシュに案内されて、席につく。布張りのメニューが手渡され、その中にかいてある、たくさんのデザートとたくさんの紅茶を最初から最後までじっとみていった。僕たちはそれぞれの候補のケーキについて、しばらく話し合い、それにあわせた紅茶の種類についても、しばらく話し合った。

これに決まったかな。というタイミングで、ムッシュが注文をとりにきたので、それぞれ決めたケーキと紅茶を注文する。

瑠衣さんの選んだケーキはまだショーケースにあって、僕が選んだケーキはもうショーケースにはなかった。

僕の選んだケーキは売り切れていたのだ。

なので、それに近い感じのショーケースにあるケーキをたずねると、すぐに数種類をおしえてくれたので、そこから一つ選んだ。そして合いそうな紅茶もたのんだ。

運ばれてきたケーキは、やはりとてもおいしかった。

いままでフランスで食べたケーキは、とてもじゃないけど甘すぎて2口ほど食べると、僕たちの身体の砂糖メーターさんの針があっというまに壊れてだめになっていった。しまいにそのあとのコーヒーにマカロンがついてきて、それはいつも手つかずだった。そのこともあって、デザートはほとんど食べてなかった。

それとくらべると、ここの喫茶店のケーキはほどよい甘さで、フルーツの果実味がさわやかでおいしい。そしてそれが紅茶の香りとよくあう。それぞれのポットで用意され、たくさんのむことができるので、話をしながらゆっくりとお茶の時間をたのしんだ。

ケーキを食べるあの時間はなんてしあわせなんだろう。


♤隣のおじいさんが傘をおいていきそうになりました

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