ルードウィックと金曜日の夜
パリの街は金曜日の夕方になると、ようやくやってきた週末を楽しもうという雰囲気がとてもある。子どもたちは母親につれられてケーキを買ってもらい、カフェではカップルが手を握りあって見つめ合い、仕事仲間たちはテラスでビールを飲んで賑やかに喋っていたりと、街中がいつもよりもなんだか楽しそうだ。
そういうこともあって、金曜は外にご飯を食べにいこうということになり、近所の気になっていたビストロにいった。
お店には背の低いマダムがいて料理の説明をしてくれる。「ボランティア!」と言うので、「うーん・・」としていると、「日本人?」「ちょっとまってて」と、どこかにいってしまった。
しばらくすると、なんと奥から日本人の男性がでてきた。お店のシェフだそうでマコトという名前だった。ここはどうやら自分たちで自由にとっていくビュッフェの形式のお店だそうだ。料理もすべて手作りでとてもおいしいとのこと。パテやスープ、チーズに、お魚、デザートも何種類もある。これが食べ放題で3000円と安い。ワインももちろんたくさんあるので、ボトルをたのむ。
いろいろととってきて、食べたり飲んだりとしていると、お店が混んできてあっという間に満席になった。カウンターや外で飲んでいる人もたくさんいる。
カウンターにいる常連っぽい若い男性が、僕たちのところにきて話かけてくる。
「どう?おいしい?」
「とても美味しいですよ。最高です!」と、答えると、
とてもいい笑顔をみせてうなずいて、カウンターに戻っていった。
そしてまた違う、常連っぽい年配の男性が話かけてきた。
「きみたちは日本人?」 「マコトの友達か?」
「いいえ。最近東京からきました。」と、答えると、
「パリでシャンパンは飲んだ?」
「フランスのスペシャリテはどう?」
「ウィ、かノンか。」
もちろん、「ウィ」と答える。
「マダム〜!」と言って、シャンパンをあけて「パリへようこそ!」と乾杯をしてくれた。とてもおいしく、こんなことは初めてだったので嬉しい。
「メルシー!!」と感謝をつたえると、
「僕はシャンパンは嫌いなんだけれどね。」と言った。
この男性は、ルードウィックという名前でご近所の方だそう。一緒にいる同僚たちともあいさつをすると、彼のことをマイボスといっていた。ルードウィックはそれはここではやめてくれよと、照れくさそうにしている。
金曜日の夜にとても楽しい時間を過ごすことが出来て、週末をみんなが待ち遠しくしているのもわかるような気がする。みんなとても楽しそうにして、飲んでいた。
♤お腹がいっぱいになりすぎて、デザートを食べそこねたのが心残り。
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