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車でパリのはずれまで

朝おきて、紅茶をのみながらしばらくしていると電話があった。昨日、話をきいてくれた保険会社の女性からで、病院の予約をとることができたということだった。ありがとうございますとお礼をいい、午前中の診察だったのですぐに身支度をしてuberで車をよんで病院にむかった。

30分ほどして、パリのはずれの閑散とした住宅地の中にある病院についた。歩道には街路樹が整然と植えられていて、車はほとんど走っていなかった。入り口にはきまったように守衛がいて、チェックをされて中に入る。フロントの女性に、予約をしているドクターミムラの診察室はどこですか?とたずねると

「ミギ、ヒダリ、ユンバ。」といわれた。

ふむふむ、〈右、左、ユンバ?〉ね。なるほど。

と、少し分からないことがあったけれども、まあ行ってみればなんとかなるだろうと思って、その言われた通りにすすんでいく。

病院は広く静かで、それほど人も多くなくゆったりとしている。まず右にすすんで、しばらくすると突きあたりなので左にすすんだ。そのまままっすぐ歩いていると、『ドクターミムラ』というプレートがある部屋があった。そして、そこは〈 ④ 〉とかかれていた。あ、〈 4番(ユンバ) 〉だったのかと納得した。

扉の前の椅子に座っているとドクターミムラがでてきて、「どうぞこちらへ。」と言われて、瑠衣さんは部屋の中にはいっていった。僕はそのまま座ってまっていた。しばらくして診療が終わって、レントゲンをとりに違う部屋にいくことになり、ひきつづきそこの椅子に座って待つことにした。

待っていると、ドクターミムラとスタッフの女性が部屋から出てきて話をしはじめた。

「また、水がもれてきたよ。」

「あらら、この間みてもらったばかりなのに。」

「粘度でとめてただけだから、やっぱり漏れてきた。だめだと思ってたんだよね。ほら、やっぱり漏れてきた。」

粘度では水漏れは防げないそうだ。

そうこうとしていると、二人の男性が梯子をもってきて天井の扉をあけてのぞきはじめた。

そんな様子をみながら座って待っていると、斜め向かいの女性が話しかけてきた。iPhoneが動かなくなってしまったみたいで、どうしたらよいのかと聞いてくる。うーん、どうしたらいいのかな。再起動をしてみれば?と言うもののできないみたいで、僕の電話を使って調べてみる。

——〈 iPhone 再起動 〉——
上のボタンを押しながら、ボリュームの下のボタンをおす

そのとおりにすると、いったん電源がきれて無事に再起動できた。よかったよかった。片言のフランス語でも役に立つときはあるのだ。

瑠衣さんがむこうから戻ってきた。足は折れてはいなかったそうだ。よかったよかった。

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