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俺のCD棚 第25回

今回は、KODE9 & SPACEAPE 【BLACK SUN】

KODE9は、ダブステップというジャンルを確立、メインストリームにまで押し上げたシーンの立役者で、イギリスの大学で教鞭を取りながら、レーベル運営・楽曲制作を行っている異色のアーティスト。このCDは、2011年にリリースした、レーベルメイトの詩人・ボーカリストであるSPACEAPEとの共作アルバムである。

このCDとの出会いは2011年頃、「huge」という雑誌でダブステップを特集されているのを読んだのがきっかけで、紹介されている中で一番気に入ったジャケットを選んで購入した、いわゆる「ジャケ買い」である。

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ダブステップとは、2010年代初頭にイギリスを中心に流行した、2ステップやガラージの派生型にあたり、3泊目にアクセントを持つビートをループさせるサウンドをベースに、リバーブやノイズの要素が取り込まれており、その早いビートに合わせて少しずつ展開される、暗く・深い音像を楽しむ音楽と言える。

そもそも、ダブステップ自体に馴染みが無い方が多いかもしれないが、実は今現在のJ-POPに取り入れられている要素の一つであり、音楽フェスで何度も来日しているJAMES BRAKEも、元を辿ればダブステップの出身だったりするので、知らず知らずの内に耳にしている音楽でもある。


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このアルバムもその例に漏れず、ひたすら打ち込まれるビートと、「ディストピア・ミュージック」と称される、暗く、重いムードの音に、SPACEAPEの朗読のような低音ボーカルが合わさり、聴く側になんとも言えない陶酔感を与えてくれる。言語化するならば、「聴く」というよりは 「音に潜る」と表現した方がしっくりくる感じ。

※ただし、メンタル・フィジカル共に元気でない時に聴くと、音に引っ張られて気分がより沈んでいくので注意。怖いもの見たさで探求したい気分の時におススメ。 

一曲挙げるならば、7曲目「BLACK SUN」。このアルバムのタイトル曲であり、収録されている楽曲の中で最もキャッチーな曲。実は、収録されているのはリミックス版で、オリジナルの方が耳馴染みがより良いので、youtubeでそちらから聴き始めると良いかもしれない。

ジャケットは、くすんだベースカラーに水彩画のようなタッチで描かれた、日の出とも夕日とも取れる、少し和を感じる抽象的なイラスト。このジャケットでこの音を連想できる人はごく稀であろうが、その意外性こそがジャケ買いの醍醐味とも言える。

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以上、第25回でした。次回は、同じダブステップで彼の生徒であり後継者、ブリアルのアルバムを紹介します。

それでは、また。

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