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スペースコロニー

子供のころ、スペースコロニーというものに憧れた。スペースコロニーとは宇宙空間に作られる人工の居住地とのこと。宇宙植民地とも呼ばれる。初めてそれを認識したのは、ガンダムだったと思う。

ガンダムなどのアニメーションで見たスペースコロニー、映画などの映像で見たスペースコロニー。それに加えて、次第にテキストで読んだ物語のなかのスペースコロニーの情報も、僕の頭の中には加えられていくことになる。

なかでも印象に残っているのは、もうすぐだめになる地球から人類が脱出する物語だ。1万人程度の人が暮らすスペースコロニーは地球に別れを告げ、地球に似た惑星を求め旅立つ。広大な宇宙空間に向かって。

さて。そのスペースコロニーに乗っている1万人の人間だが、人類何十億人のなかからの選りすぐりの人たちである。学者、政治家、資本家、技術者、芸術家、スポーツマン、ミュージシャン、などなど。重要なジャンルのトップレベルの人たちが選抜されている。

男女比は半々、後に訪れるかもしれない子孫繁栄のため、80%は30歳以下の若い世代だ。しかし、古い知恵が必要な場合に備えて、31歳以上の人間も20%ほどいる。100歳を最高齢として。

そんな人たちがスペースコロニーに選抜された1万人で、逆に言うとそれ以外の数十億人は滅んでいく地球に取り残された。選抜された優秀な1万人に、地球文明の継承と種の保存を託して。

そんなスペースコロニーのことを、大規模商業施設に行くとふと思い出してしまう。僕は選抜された1万人のうちの1人で、少なくとも31歳以上ではあるから、何かしらの年寄りの知恵袋的存在として今日もここにいる。

今ここにいる1万人は、選抜された人たちだ。優秀な人たちがこの空間内のみで暮らしていて、新しい地球に出会えることを願っている。と言いつつ、案外快適に過ごしている。レストラン街、多種多様なショップ、大量の食材を扱うスーパー、コミュニケーションスペース、休憩所。何でもある。暮らせるじゃんここ。

写真はイオンモール香椎浜というスペースコロニーだが、今日の僕は花屋で観葉植物を眺め、スーパーで食材を買って帰った。今日は自転車で行ったので問題なかったが、たまにどこかに遊びに行った帰り、車でこのコロニーに寄ると迷子になることもある。広大な駐車場のどこに車を停めたのかわからなくなるのだ。そんなとき僕は、駐車場で迷子になるような自分がどうして1万人の1人に選ばれたのだろう。そんなことを考えるのだった。

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