私は2022年11月で二十歳になった。

ほどなくして、市から成人式の招待ハガキが来た。

このハガキが届いた時、少し躊躇いがあった。
なぜなら、私は成人式には行きたくない側の人間だったからだ。
学生生活にあまり良い思い入れがなかった。

どんな事があったのか一部抜粋すると

・中学時代、じゃれあいと称してトイレの個室で殴られる蹴られるなどのいじめを受ける
・ストレスからか突発的に家で癇癪を起こしたり、一時期不登校気味になる
・「1番迷惑をかけずに自○する方法」を考える
・高校ではいじめは無かったものの、先生との相性が悪かったり、深夜ラジオのリアタイでの睡眠不足、人間関係の悩み、運動部に所属したことで高校生活がキャパオーバー気味になる
・ある日、高校へ行くため玄関から出ようとするが、一歩も動けなくなってしまう
・結果うつにより、1年で中退
・病んで人間関係リセット癖が発動し、Twitterインスタのリア垢を全削除
・そのため一部の同級生からは「高校中退して消息不明の奴」だと思われていた
・今でもたまにいじめが夢に出てくる

と紆余曲折の学生生活だった。
楽しい思い出ももちろんあったが、どちらかといえば嫌な思い出の方が比率は高かった。

通信制高校に編入し卒業して、大学生となった今では、一部の親しい友人とは連絡を取っていたり遊んだりもしていたため、「イジメてた奴と鉢合わせするくらいなら行かない方がマシだろ」と思っていた。

そうなると自然と行きたくない方に気持ちは傾いていた。

推しのラジオを聴くまでは。

私の推しメンは元乃木坂46の新内眞衣である。
新内眞衣は2016年からオールナイトニッポン0のパーソナリティをしており、その番組がきっかけで、自分は乃木坂及び新内眞衣のファンになった。

深夜3時に現役トップアイドルから発される、学生時代の暗黒期の話といった等身大な人間の部分を出すトークに惹かれたのだが、彼女は毎年成人式の日付近になると決まってある話をする。

という流れの話だった。

これを成人式の時期になると、まるで古典落語のように毎年聴いていた。

自分がリスナーとして16歳~20歳になるまで毎年この話を聞いていた。

自分が高校生の時は成人式は死んでも行きたくなかったため、この話は全く響いてなかった。

「なぜこの人は数年前の成人式の体験を毎年毎年語り続けるのだろう？」とまで思っていた。

しかし不思議なことに19歳になると、心変わりし始めるようになった。


公共の電波を使ってこれほど力説するのだから、これ行った方がいいのでは？となる。毎週毎週聴いてる声による洗脳は恐ろしい。

ただ、自分の中では行って後悔する方と行かずに後悔する方なら後者より前者だなと思い始めた。

招待ハガキが届いた時、脳内では

「成人式には行った方が良い！」

と力説する新内眞衣の声が響いていた。

僕は成人式に行くことにした。

そしてなにより行って失敗しても
「最悪だけどラジオのネタにはなる」って思った。
上手くいかんかったらネタメールに昇華して送ろう。
そう思うと途端に肩の力が抜けたように感じた。

成人式当日

会場に行く途中にイカつい格好をした集団を見かけ、一瞬怖くなってしまい、帰ろうとしかけたが行った。

5年ぶりに会う同級生はみんな変わっていて。
女子はメイクやマスクでほぼほぼ顔が分からないな〜って男友達と話したりだとか、中学では背が高めだった自分が成人式では部活仲間で1番身長が低くなって、身長がえらく変わっていたりとか。式典が終わった後に談笑する時間は楽しかった。

同じ部活仲間がほぼ全員集まって集合写真も撮れた。もうこんな大人数で撮る機会は無いだろうなとも思った。
会えないと思っていた疎遠の友達にも会えた。連絡先も交換できた。

同窓会は、仲良い人と喋る以外は大部屋の隅でひたすらソフトドリンクを飲んで時間を過ごした。成人式マジックは多分フィクションの世界だと思う。

成人式当日に5年ぶりに会った同級生で行った、ランチの食べ放題の焼肉は、今まで食べてきた焼肉で1番美味しく感じた。

結果、すごく楽しかった。

行って良かったと思った。
楽しく終われた。

と同時に、成人式は10代に区切りをつける儀式だったんだなと思った。

自分1人だったら絶対に行かない決断をしていたと思うので、推しに感謝しなければならない。

最後に、自分が成人式当日につけていた手書きの日記をあげる。※字が汚くてすみません🙇‍♀️
(下にテキスト版有り)

推しメン、ありがとう。
あなたのラジオのおかげで、一リスナーの人生は少し楽しくなりました。