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■ロシアW杯■敗者たちの挽歌 その7 & 勝者の凱歌

これで最後です!楽しかったW杯!また来月やろうな!な!

クロアチア

今大会最大の躍進チームは勇敢に戦い、そして散っていった。予選が厳しいグループに当たったが、それでも1試合目を順当に勝ち、2試合目は強豪アルゼンチンを戦意喪失まで追い込む完勝。グループ1位で突破を決めると、そこからは延長、延長、また延長という3試合連続延長(うち2つはPK戦)という珍しい勝ち上がり方で運も味方につけ、決勝まで駆け上がった。しかし、そこでさすがに体力が尽き果て、フランスに料理されてしまった。ただ、準優勝とは言え、これは快挙と言っていいだろう。GKスバシッチは2度のPK戦を勝利に導き、ロブレンがやらかさず(奇跡!)、ヴィダはセットプレーでの得点力と今大会ナンバーワン注文が難しそうな髪型を誇り、ストリニッチはこの世の不幸をすべて背負ったような顔をして基点になり、ヴルサリコは超絶面白フェイスで上下動した。中盤はモドリッチとラキティッチは説明不要でこの2人がレアル・マドリーとバルサのレギュラーである理由を示し続け、ブロゾビッチは地味に的確にこの2人を支え続けた。3トップはレビッチが知力12くらいのむちゃくちゃアホっぽいやけっぱちプレスと果敢なドリブルで引っ張り、「城の留守を預けたら途端に寝返りそう」顔のペリシッチは強烈なキックで外しまくったが点も取り、そしてマガトに魔改造されたマンジュキッチ@いつかグァルディオラ殺すは疲れ切ったはずの決勝戦後半でもキーパーに前プレを敢行してロリスのミスを誘って得点するという人としての一線を越えてしまった感じを見せた。とにかく個性的なチームで、裏を返せばこのファーストセットしかなかったのだが、それでも途中でカリニッチを生贄にしたりしてチームを団結させたダリッチ監督は賞賛されてしかるべきだろう。惜しむらくはコバチッチなどのバックアッパーを最大限生かせなかったことだが、そこを責めるのは酷というもの。最大限やれることはやったというのが今大会だっただろう。そして、いわゆるビリッチ・チルドレンたちのピークはこの大会で終わり、年齢的にもこれ以上というのは難しい部分があるだろう。しかし、マミッチという悪人にズタボロにされ、傀儡のサッカー協会会長シュケルが居座る中でここまでの結果が残せたのは奇跡的であり、長束さんの『東欧サッカークロニクル』とかを読むとこれによってサッカー協会がいい方向に変わるとはとても思えないのだが、選手とダリッチ監督は意地を見せたのではないか。少なくとも「俺ら準優勝だけど、シュケル会長ってW杯どこまでいったんだっけ?」って煽ることができるのは気持ちがいいだろう。優勝は逃したが、ともかくカッコイイチームで、大好きになった!準優勝おめでとう!

人類すべての罪を背負うストリニッチとファンフラン

フランス

居並ぶ列強が次々のコケていく中、最後まで固くて力強かったフランスは唯一の勝者となった。初戦でいきなりデンベレを使ってきて面白サッカーをやったときには「あれ?」って思ったし、実際サミュエル・ナイスハンド・ウムティティが強烈なハンドでPKを与えてやばかったが、なんかうやむやのうちにオーストラリアに勝って助かった。デシャンもこれは違うと思ったのかそこからはジルーをトップに使い、マテュイディを左サイドでひたすらハッスルさせることで安定感を取り戻した。ジルーは点どころか枠内シュートすらゼロという限りなく透明に近いジルーだったが、彼の仕事は世界トップクラスのポストプレーで前を向いたムバッペ a.k.a エンバッペとグリーズマンにボールを渡すことと献身的な守備であり、得点を求めることは寿司屋でカレーを注文するようなものなので、これでよいのである。とにかく、そこからはシンプルで固かった。相手にボールを渡すことも厭わず、真面目に地味な守備をやるポグバ@モウリーニョ歓喜してるけどたぶんW杯限定と時によっては2人に分裂したカンテが狩りまくり、その後ろでヴァランとナイスハンド・ウムティティが跳ね返し、ロリスは性格が暗い。サイドバックがパヴァールとリュカ・エルナンデスで若かったが、パヴァールは決勝でちと怪しかったがアルゼンチン戦でスーパーゴールも決めたし、それほど粗が目立たな展開になって助かった感じ。そこからのカウンターもグリーズマンとムバッペ a.k.a エムボマというネオアトレティコマドリー的で破壊力抜群で、正直アレをカウンターで止められるDFも中々いないんじゃなかろうか。恐ろしくリアリズムに徹したフランスだったが、それはひとえにデシャン監督のおかげ。ポグバに我慢して守備をさせ、ベンゼマとかの不穏分子を排除し、バランスを取るために左サイドでマテュイディをハッスルさせ、ベンチだと余計なこといいそうな奴らを呼ばず(シャーク野郎メンディは別の意味で言うが。笑)に戦闘集団を作り上げるためにどれほどの鉄拳を振るったのか。たぶん準決勝でリードした後にクソ遅延行為で相手をおちょくったムバッペ a.k.a エンドレスサマーとか「おい、音声止めろ!」ってカメラ切った後にロッカールームボコボコにされたに違いない。やはり戦争に勝つためには、最後は拳が必要なのである。そして、クロアチアに比べるとやはり選手層が厚かった。トリッソ、キンペンベ、フェキル、メンディなども控えているし、守備固めで円存寺和尚が出てくるのもとても贅沢。クロアチアが準決勝で延長になるまでカードを切れなかった誰出すのか困ってたのと比べると対象的だった。さて、今大会リアリズムで勝ち抜いたフランスだが、全体的に選手が若く、次のユーロもまたその次のW杯も十分に狙っていけそうである。ただ、結果を残したベルギー、イングランド、クロアチア、ウルグアイなどは当然対抗してくるだろうし、ドイツ、スペイン、ブラジル、アルゼンチン、イタリア、オランダなどの今大会ダメだった強豪国ももちろん牙を研いでくるだろう。カウンターとセットプレーのW杯だったことから「ティキタカの終わり」などと言われているが、スペイン優勝したときには「カウンターとか死んだね」みたいな話もされてたし、まあW杯はだいたい巡り巡るものなのである。フランス代表におかれましては「朝までゲームをやらない」「大会中にNetflixにハマらない」「14分間ピッチに転がらない」「大会2日前に監督を変えない」など油断をせずに、次の大会に望んで欲しいものである。おめでとう!!

全員に見られた犯行現場


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