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ジェフユナイテッド千葉歴代外国籍選手列伝(2010年以降)

梅雨ですね。はい、梅雨です。毎年言ってるけど梅雨です。こうもジメジメして雨が降ってるとなんか試合に勝てないのも仕方ないな、なんて思うんですけど、驚くべきことに相手チームも梅雨なんですよね。条件イーブンなんですよ、びっくりです。

さて、最近のジェフユナイテッド千葉は勝ったり負けたりハイラインの裏を突かれたりで「おまえほんまジェフやな」くらいしか特に語るべきことも見当たらないのですが、まあそういう時にではですね、歴史を振り返ろうと思うんですよ。曲が全然書けない時には過去の曲のベストアルバムでお茶を濁す、という有名アーティストがよくやるあれですね、まあ俺は有名でもアーティストでもないんですけど、まあそれをね、梅雨にじめっとやっていこうかと思います。

で、全部の歴史をやると悲しい気持ちになるので、とりあえず外国籍選手を振り返ってみようかと。でも、よし、じゃあ、リティからやるか!なんていう風にはならんわけですよ。覚えてねえし、福岡と横浜FCの監督でアレしてたことのほうが印象強いし、オッツェとか記録以外のプレーは忘却の彼方、今一覧見てたら出てきたヴァンチャってそもそも誰だとかそういうレベルなわけですよ。なので、J2に降格した2010以降でとりあえずやってみよかと。おじさんもね、それくらい昔しかもう覚えてないんでね、というわけで。アレだった選手もソレだった選手もアレでソレだった選手も思い返してみようかと思います。

正直、ジェイさんの企画をパクった。

アレックス(DF ブラジル 2009-2010)

昨年まで讃岐で現役を続けていた鉄人。2002年の川崎から福岡、柏、千葉、鹿島、徳島、讃岐とJリーグを渡り歩いたもはやほぼ日本人。好きな四文字熟語は不惜身命(嘘です)。試合数では福岡、徳島に次ぐ55試合出場とかなり貢献してもらったし、降格したのに残ってくれたいい奴である。福岡時代は前目でブイブイ言わせていたが、徐々にポジションを下げて千葉時代には完全にサイドバック。ボールを持って組み立てられるので、J2に落ちて以来ボールが落ち着いたことがないジェフ千葉DFラインの中でもかなり貢献度が高かった。守備とクロスは非常に微妙であったが、トータルでは歴代の左サイドバックの中では上位に位置する選手だっただろう。もう引退扱いなのだろうか。なんかJリーグから表彰とかしてあげて欲しい。

(追記)今は徳島でユースコーチやってるそうです。よかったよかった。

ネット・バイアーノ(FW ブラジル 2009-2010)

なんか2年間いたんだけどあんまり覚えてない。なんとなく背がでかいからポストプレーヤー的に扱われたけど、そこまで得意だった印象もなく、なんちゃって長身FWだったような。J2に落ちてからの千葉のFWは全員なんとなくネット・バイアーノっぽいんだけど、そもそものプロトタイプをあまり覚えてないので、もしかしてこれは作られた記憶なのかもしれない。マトリックス案件である。2年間で19ゴールというなんとも形容しがたいサロモン・ロンドンみたいな成績で柏へと移籍していった。ネットの能力どうこうというよりも、このころの千葉は江尻政権第一期で無限にパスを回してゴール前までボールがいってなかった。特筆すべきはその異常なまでの移籍癖であり、もし履歴書にこれが書いてあったらよっぽど困ってない限りは一次選考で落とす。

マーク・ミリガン(DF/MF オーストラリア 2010-2012)

オーストラリア代表なのになぜか2年半もJ2に在籍していた闘う男。とにかくプレーが荒っぽく2011年にはイエロー11枚、レッド2枚というカード大放出祭を開催し、オーストラリアの男の戦い方というものを俺たちに教えてくれた。上背はないのだが肉弾戦に強く、CB、SBをこなすマルチロール。一応ボランチもやってはいたのだが、まああの位置でセンターバックをやってるだけであった。そして、千葉で鮮烈にイメージが残っているのはそのロングスロー。ミリガン砲と呼ばれたその飛距離のあるスローインは当時在籍していたオーロイの頭めがけて放り込まれ、俺は国立競技場でロングスローからダイレクトでオーロイの頭でゴールという「ポートボール」を見た。オーロイのゴールを導いたのはあの一撃だけだったが、その後もオーロイを囮にして竹内を始めたとしたいくつかのゴールを生み出していて、まさにミリガン砲だった。ただ、ジェフでの在籍終盤はオーロイいないからあんまり投げなくてがっかりした思い出がある。オーストラリア代表では2006からワールドカップ4大会連続メンバー入りという何気にすごい人(出場は2大会のみ)。千葉の後はオーストラリアと中東で長く活躍していたが、今はスコットランドのハイバーニアンにいるらしい。謎だ。

サンダー・ファン・ゲッセル(MF オランダ 2011)

顔を見ても誰だか思い出せない選手ナンバー1のファン・ゲッセルである。こんな顔してたっけか。コラでクリスタルパレスの控え選手の顔とかにされてても絶対気づかない。とにかくでかくて192㎝もあったが、同時入団のオーロイが204㎝あったため、そんなに話題にならなかった。プレーの印象としてはとにかく遅かった。サイズがでかいので実際以上にスローに見えたと思うのだが、それでもいくら中盤センターは言えどもさすがに遅すぎて、これならば黎明期のダイヤルアップ回線のほうがまだ早かったのではないかという感じであった。千葉を最後に引退しているのでキャリア晩年ということを差し引いたとしても、日本のワーワーアタッカーたちを相手にするのはきつい。では組み立ては、というとこの年はオーロイ大作戦の年だったので、頭上をボールが通過していくばかりでよくわからなかった。それならば空中戦は、というとこの年はオーロイ(以下略)。ずっと国内でやってた選手が指導者をやる前に別の環境で、というパターンがよくあるが、もろにそんな感じであった。それでも2ゴール決めてるのだけれど、何一つ思い出せない。

マット・ラム(MF オランダ 2011)

アヤックスユース出身というユースマニアが涎を垂れ流しそうな経歴に惹かれて買ってみたら、全然ダメでした。ほとんどプレーは覚えてないが、それもそのはずで6試合302分の出場。むしろ300分も出ていたのかという印象であり、その間に攻撃的MFなのにイエロー2枚ももらっていた。うっかり10番をあげてしまったが、20歳の彼に何ができるわけでもなく、そのままオーロイ祭の中に沈んでいった。まだ20代で香港でプレーしているらしい。笑顔はわりとすてきでした。ちなみにマット・ラムbotというクソbotが2016年末を境に活動を停止していますが、これ作ったのはいぬゆなです。

https://twitter.com/mattlambot

トル・ホグネ・オーロイ(FW ノルウェー 2011-2012)

ミスター遠近感破壊204㎝の進撃の巨人はそのサイズとパワーでJ2を恐怖のどん底に陥れた。2011年開幕戦では1ゴール1アシスト1PKゲットと大活躍、そこからはオーロイをどうするかというのがJ2の他チームの苦悩の種となる。とりあえず競ってみても全敗するし、じゃあ放っておこうとなったら普通に胸トラップで振り向かれてスルーパスを出された。ただ、そのうちに競り合えばオーロイが深井に落とすという1パターンしかないことがバレ始めて対応されると威力も次第に鈍化。中盤に怪我で欠場すると、「え!?もしかしてそれしか用意してなかったの!?」という無策っぷりでどんどん順位を下げて昇格失敗となった。「チームの主力が怪我するときのことを考えない」という初歩的なミスで、現代社会におけるセイフティーネットの重要さを教えてくれたオーロイに我々は感謝しなければならない。覚えているのはやはりFC東京戦のミリガンからのロングスローをダイレクトでヘッドで流し込んだもの。世界ロングボール学会が「極東におけるエポックメイキング」と評する2011年ジェフのサッカーの宝石のようなゴールだった。ってか、2年いて6ゴールしか決めてないのか……2桁はいってると思ったのに。

レジナウド(FW ブラジル 2012)

「お、おい、レジナウドってあのセリエAでばりばりやってたあのレジナウドかよ……?」と一部をざわつかせたレジナウドであったが、その能力に見合う結果は一つも残すことができず、3か月くらいでイタリアに帰っていった。まあこの見た目でわかるとおりね、あの全然絞り切れてないっていうか、お前イタリアで干されてずっと家でピザ食いながらテレビ見てただろ、っていうこの感じ。確かに時折見せる技術はすごかったのだが、いかんせんフィットする気配が一つもせずノーゴールで終わった。元気でやっているのだろうか。

リカルド・ロボ(FW ブラジル 2012)

栃木のゴールマシンとして2年で30点近く荒稼ぎして柏に引き抜かれるもさっぱり使われず、下請けの千葉に天下ってきたが、そこでも全然だめであった。プレースタイルとかは全く覚えてないのだが、とにかく全くフィットしてなくて点を取れる感じがなく、悲壮感すら漂っていた。結局千葉ではノーゴールでフィニッシュ。いま写真を漁っていたら異様に躍動感のあるコラっぽい写真が出てきた。ちなみにロボはポルトガル語で狼の意味であり、クラウチみたいなロボットっぽい選手が来ると思ってた俺は勝手にがっかりしていた。

キム・ヒョヌン(DF 韓国 2013-2015)

非常に優秀だったCB。大学卒業してからダイレクトで千葉に入り、初年度からレギュラー格として貢献。3年間千葉の壁として君臨した。非常に高さと体の強さがあって空中戦に強く、地上戦でもアジリティはそれほどなかったがトップスピードに乗ればまあまあ早かったので、J2では最高クラスのCBだったのではないだろうか。まあ足元とかはまあ、うん、そういうのはマンチェスター・シティとかに任せておこうぜ。あと、セットプレーでも強烈な得点力があって戦術兵器と化していた米倉恒貴のいいターゲットとなっていた。仕えた監督がなんでんかんでんの鈴木淳さん、後は完全に空っぽに燃え尽きていた関塚さんだったこともあって、新卒選手としてジェフから何かを得たのかは微妙だったが、その後は福岡、中国、韓国と活躍を続けている。大好きな選手だったので、いつか戻ってきてくれんもんかのう。

ジャイール(FW ブラジル 2013-2014)

謎。とにかく謎の選手である。加入してなんとなく使われていたのだが、UAEにレンタル。その後戻ってきたらなぜか鹿島に出向してまた千葉に帰還。そしてその後にブラジルに放出された。テクニックはそこそこあったが圧倒的というほどでもなく、守備なんかまともにするわけもない、いかにも「Jリーグのブラジル人」という感じだった。でも最初の年に16試合出て4点取ってるんだよな。1つも覚えてない。てか、その年前半で16試合も出してる選手をなぜUAEにレンタル……?わけがわからない。本当はこの世に存在せず、ジェフファンたちが見た集団幻覚の可能性が高い。

ケンペス(FW ブラジル 2013-2014)

セレッソで微妙に活躍できずに千葉にきたが、そこで大爆発。2013年には22得点でJ2得点王、2014年も13点をゲットして仕事をした。とにかく体が強くて横からのクロスに滅法強く、2013年には米倉恒貴、2014年には中村太亮といういいクロッサーがいたため、その本領を存分に発揮した。半面、その他のプレーはほぼ水準以下だったため、クロスが来ないと単なる置物と化すこともあった。なんかセレッソでめっちゃ柿谷に怒られてたのを覚えてる。ただ、守備もロクにできるわけでもないのだが、途中出場でヘッドを叩き込んで逆転した後に自分が走るわけでもなく味方に指示を出しまくってたのはお茶目で笑えた。お前が走れ。あと、同時期に所属していた田中佑昌と見た目が似ていたので、一緒に出場しているとどっちだかよくわからないということがよくあり、俺は偽ケンペスとか偽田中佑昌とか呼んでいた。そんな彼はシャペコエンセの例の飛行機事故で亡くなってしまった。愛されていた選手であったので残念だ。

R.I.P.

ナム・スンウ(MF 韓国 2013-2014)

全然顔を覚えてない。お前こんなんだっけか。同窓会で1ヶ月だけ付き合った元カノを見た時の気分である。大学卒業後に千葉に加入するというキム・ヒョヌンと同じパターンをたどるも、こちらはそれほどうまくいかなかった事例である。テクニカルな選手だったが、守備や体の強さはいまいちだったので使いづらい選手だった。そもそも韓国人選手に求めるのは強さとか速さとか高さであることが多く、テクニカルな選手だと「日本人でよくね?」ってなってしまうのが悲しいところである。1シーズン目は20試合とそこそこ試合に出たが、2シーズン目はほとんど出場機会がなく、そのままベルギーに放出されて消えていった。今は母国でプレーしているらしい。いつかジェフユナイテッド千葉で夢を叶えて欲しい。

パウリーニョ(MF ブラジル 2015)

ブラジルの刈り取り機は千葉でも猛威を振るった。栃木で5年間J2屈指のボールハンターとして活躍した後に川崎に移籍するも、風間大僧正の支配下でその能力を発揮できるわけもなく、その後に千葉に移籍した。すると関塚監督の元での特攻!カミカゼプレス!大作戦の中心として、中盤まではリーグMVP級の活躍。とにかくあらゆるボールを狩りまくって、ついでにカードもがんがん貰いまくった。ただ、途中から「パウリーニョを動かした後を狙え」というのが各チーム共通の千葉攻略法となり、それが的中。広範囲に動き回るパウリーニョの首に綱をつけることができず、代替案も用意できなかった関塚千葉はそのまま憤死してしまった。そのボール奪取能力は脅威であり、組み立ては微妙なもののミドルシュートもあったりしてJ2ではかなり高性能なMFだったが、それを最大限生かせないのが我らがジェフユナイテッド千葉である。ブラジル人ながらキャプテンを任される人格者もあったが、プレー中は瞬間湯沸かし器でカードコレクターであり、特にうまくいってない終盤はペチュニクと共に判定異議マシーンと化していた。松本ではうまくやっているようなので、よかった。

ネイツ・ペチュニク(FW スロベニア 2015)

俺たちのペチュやんはゴールゲッターとして千葉で活躍した。スロベニア代表歴があるのになぜ千葉に来たのかはよくわからんが、ともかく2015年序盤はその抜群の体格を駆使して活躍。特に左の中村太亮からのクロスに右MFの位置から飛び込んでいくのはわかってても止められないっていうか、189㎝の右MFというものがJ2に存在しなかったので、ほとんど止めようがなかった。なんか長身のテクニシャンみたいな触れ込みだったのだが足元はそれほどでもなく、PA内で体格を生かして相手を背にしてキープしたところからの必殺ペチュニクターン(ボールを足の裏で後ろに引いてターンするだけ)を多用したが、成功率はトム・クルーズが映画で死ぬ確率よりも低かった。プレー以外では判定無限抗議マンであり、ファウルをとってもらえないときには大の字に寝転がってアピールをよくしていた。守備をしろ。あと、それまで千葉サイコー的なことを言っていたのに、昇格を逃した後にあっさりと大宮に移籍したのは、さすが旧ユーゴ圏のアタッカーというべき切り替えの早さであり、見習いたいものである。大宮でほとんど活躍できないまま、J3の栃木に移籍したが、さすがにJ3でペチュやんは反則ではないだろうか。今は母国に戻っているようである。

安柄俊(FW 北朝鮮 2015)

日本生まれの在日枠なのですが、入れてほしいという要望あったので書きます。2015年の関塚体制のテコ入れとして夏に川崎からレンタルで獲得したが、結局千葉ではリーグ戦10試合でノーゴールとなり、起爆剤とはならなかった。ただ、めっちゃ頑張ってた。いろいろ能力は足りなかったのだが、とにかく守備でもロングボールでも前線で体を張って味方を生かそうという姿勢は涙ぐましいものがあり、往年の巻誠一郎を思い出させるようだった。千葉でもっと時間をあげたかった感はある。ただ、その後熊本では2年間17得点という結果を残したのは、この時の経験が生きたのかもしれん。熊本でこの得点は立派。今は韓国2部でプレーしているらしい。めちゃくちゃ真面目そうな顔をしているので、歴代千葉の中でも最大級に安心して金を貸せる選手である。貸したくないのは為田、安田、比嘉、谷澤、あとペチュニク。

エウトン(FW ブラジル 2016)

ヴィトーリアから来たネット・バイアーノルートの男である。体が強く、ポストプレーがうまかった。しかし、得点能力に関してはリーグ戦で10得点とぎりぎり2桁のサロモン・ロンドン感を出して、あえなくレンタル終了となってしまった。とにかく真面目で守備もやろうとはするし(できるとは言ってない)、ルーズボールにも果敢に競りにいっていたのだがそれが仇となってアフターでイエローをもらうことが多く、FWなのに2回の累積出場停止を受けるというカードコレクター部分が目立ってしまったので、契約延長を勝ち取れなかったことは仕方がないかもしれない。ただ、終盤には町田也真人ともはやお前らはニュータイプかという感じのエスパー並の超絶コンビネーションを構築しており、そこを高めていったらどうなったのかなあという期待感だけはあった。たぶん、どうにもならなかったんだろうけど。今はブラジルで元気にやってるっぽい。ちなみにこの男の履歴書もしっちゃかめっちゃかであり、ブラジル人FWはこんなんが多いな。ていうか、なんでポーランドのレギア・ワルシャワにいたんだよ。

エドゥアルド・アランダ(MF パラグアイ 2016-2017)

見た目は気のいい肉屋のおっさんみたいな感じだったが、さすがは現役パラグアイ代表という実力を見せつけてくれた。パウリーニョがいなくなった中盤が不安視されたが、それを補って余りある活躍。なんか適当に走ってる感じなのに球際ではえげつないパラグアイ体術でボールを強奪する手口は南米特有の技術を感じた。また、創造性のある感じではないが手堅い足元の技術もあって、まさにボランチという感じの選手。2016年はチームをレボリューションして総入れ替え、関塚体制末期による戦術皆無サッカーだったが、それでも抜群の存在感を見せて中盤に君臨した。そのまま2017年も残ってくれたので今年も頼むぜ!と思ったのだが、新監督エスナイデルと抜群の相性の悪さを見せてめっちゃめちゃに干された。確執でパラグアイ代表を干してる余裕など千葉にあるわけもないのだが、とにかく干してしまった。なんでやねん。その年はアランダは時折SNSでポエムを垂れ流すパラグアイポエムおじさんと化してしまった。その後、エスナイデル留任に伴って退団。今はパラグアイで元気にやってるらしく、エスナイデル退任の時にはなんかコメントを出していた。

イ・ジュヨン(DF 韓国 2016-2017)

めちゃくちゃ素朴な顔をした長身DF。高い、強い、遅いの三拍子揃った典型的対空砲だった。引きこもりリトリートサッカーをやるならばそれでもいいのだが、いかんせんエスナイデルハイラインサッカーとは相性最悪。なんで呼んできたんだという感じである。案の定、スピード系アタッカーには面白いように抜かれまくっていた。しかし、そういうときでもイ・ジュヨンが悪いというよりは使ったほうが悪いという印象になったのは、たぶんイ・ジュヨンがめちゃくちゃ素朴な顔をしていたからだと思われる。顔というものは重要である。千葉であまり使われないままに讃岐に放出され、その後は韓国に戻ったらしい。今は何をやっているのだろうか。めちゃくちゃ美味しいおにぎりを握ってくれそうな顔をしていた。

ホルヘ・サリーナス(MF パラグアイ 2017-2018)

サリーちゃんは魔法を見せられないままに千葉を後にした。アランダと同じパラグアイ出身ということで期待したのだが、どうにも使い方がよくわからないまま。最初はサイドバックとして出場していたが、元々攻撃的なメンタリティのサリーちゃんにハイラインの広大な後ろをカバーできるわけもなく企画倒れ。その後にはインサイドハーフやトップ下などで出場したが、特に目立った感じは出せず。ドリブルはうまいのだがオフザボールの動きが苦手で、とにかく足元で受けてから無理やり引きはがすという非効率極まりない感じだった。使いどころがよくわからず、毒を完全に防ぐ盾のような特殊な状況でしか使えない道具扱いに終始した。2017年そんな感じだったので2018年は絶対いないだろうと思ったら、なぜか契約。じゃあ使うのかと思ったら大して使われずにトレーニングマッチのアイドルとなっていた。2017年はポマード、2018年はチョンマゲで髪型に変化をつけてきた伊達男である。千葉でかなわなかった夢をパラグアイで叶えてほしい。

キム・ボムヨン(DF 韓国 2017)

常人の2倍の運動量を誇った暴走機関車。山形のサイドで爆速運動量を披露して広島に移籍したもののほとんど使われず、清水に移籍するもそこでもだめ。最終的に千葉に流れ着いた。シーズン序盤はサイドバックとしてサイドを駆け回っていたが、本領を発揮したのはシーズン途中でCBに移ってから。スピードに衰えを見せる近藤の横で、常軌を逸したハイラインの裏に出るボールに爆速で追いついてクリアするという異常な仕事をこなしていた。この仕事をできたのは当時の千葉ではボムヨンしかおらず、2017年のエスナイデルサッカーがなんとか成立していたのは彼のおかげだったと言えるだろう。元々サイドで運動量2倍だったが攻撃の質が1/2で差し引きゼロな感じのボムヨンが、その運動量とスピードをCBで生かすようになるとは、偶然の産物とは言え驚きだった。特殊なサッカーの特殊な状況で異常に光り輝く選手というものがたまにいて、2017年のキム・ボムヨンはまさにそれ。あまりの爆発っぷりに俺はその年ずっとキム・BOMBヨンと呼んでいた。プレーも熱かったが、ゴール裏の前で踊り狂うひょうきん者であった。今は韓国で元気にやってるらしい。

ホアキン・ラリベイ(FW アルゼンチン 2017-2018)

ここ10年で屈指の本格派FWだった。ラージョやセルタで活躍してたのになぜか千葉に来てくれて期待したのだが、その期待以上のプレーぶりだった。2017年は19点、2018年は11点と結果も出している。ハイボールにかなり強く、ロングボールを適当に上げても最低でもイーブンにしてくれるので、攻撃の構築が選手任せのエスナイデル千葉においてはいいボールの逃げどころとなっていた。彼の落としたボールに船山や町田が反応して攻めるという場面は2017年の千葉の攻撃パターンだった。守備もするし、欠点らしい欠点もなく、確かに足は遅くて2017年プレーオフでは名古屋DFワシントンと鈍足追いかけっこをしたのはご愛敬だったが、そのポストプレーでおつりが出るほど。2018年はエスナイデルサッカーがうまくいかずに前線シャッフルで干されかけたが、それでも文句も言わずに2桁の得点は残したのはさすがのプロフェッショナルである。この2年で前線がうまくいかなくなると指宿とツインタワーを形成して「やっぱりうまくいかないね」ってなるのはエスナイデル風物詩の1つであった。巻以来で一番好きなFWだったなあ。

ルイス・オヘーダ(GK アルゼンチン 2017)

なぜ連れてこられたのかよくわからないGKだった。ハイライン大好きエスナイデルが母国から連れてきたのだからハイラインに対して適正があるのかと思いきや、普通のGKだった。なんなの。佐藤優也がミスした時の懲罰要員として何試合か出場したが、オヘーダも普通にミスしていたので、GKの問題ではなくハイラインが悪いということがわかったのは収穫だった。当然のように半年で退団。一番覚えているのは、「エスナイデル食事改革!」みたいなナンバーの記事で、楽しそうに食事をとる日本人選手たちのバックで一人でスマホいじってるぼっち飯姿である。

ディエゴ・ロドリゲス(GK アルゼンチン 2018)

ディエゴ感もロドリゲス感もゼロだが、明らかにレベルが一段階上のGKだった。足元に優れてフィードがうまく、ハイラインサッカー向き。またGKとしても能力が高くてしばしばビッグセーブを見せていた。生え際とハイボールには若干の怪しさを見せていたが、他にはプレー中ずっとトイレに行きたそうに落ち着きがない以外はこれといって欠点が見当たらなかった……のだが、干されました。怪我もあったのだが、途中からパタリと出場がなくなってしまった。エスナイデルとの間に何かあったことは、エスナイデル解任の時の喜びの声でも明白。エスナイデルはなんで言葉通じるやつとはたいてい揉めてるんだよ。まあ、キーパーとしてあのサッカーの尻ぬぐいをさせられたらキレるのはわかる。誰もが佐藤優也のようにハイライン対応ミサイルになれるわけではないのだ。たらればだが、2018年はロドリゲスをずっと使うべきだったなあ。グッドキーパーでした。

エベルト(DF ブラジル 2018-)

強い、高い、遅いというイ・ジュヨンをさらに高さ特化にしたようなCBである。とにかく空中戦には異常に強いのだが、明治の大砲のようなものでその戦場に引っ張っていくのがめんどくさい。高さよりもスピードのない粗のほうが目立ってしまって、ミスフィットな感じである。2018年には半レギュラーみたいな立場だったのでそのまま退団かと思われたが、近藤が退団したことでキープ。江尻監督に代わってから3バックで若干欠点をカバーされる形になったものの、各チームのスピード系アタッカーからは狙い撃ちにされてる感じで、最近では乾にポジションを奪われてしまった。そもそも彼が圧倒的対空能力でつぶさなければならないような高さのあるFWはほとんどJ2にはいないので、完全にオーバースペック。左利きは貴重だが、乾も左利きなので、なかなか出番はないかと思われる。どうしてこうなった。

ジェイソン・ゲリア(DF オーストラリア 2018-)

昨年途中から加入した謎の右SBである。オーストラリア代表に選ばれたこともある。自慢はスピード、ということだったのだが、確かにトップスピードになれば速いのだが初速が遅く、スピードに乗るまでにはボールを取られているというなかなか難しい感じだった。去年はJのペースに戸惑っているようでもあったが、今年は最初はブレーキの壊れたトラックのように右サイドで走り回った(蹂躙はしてない)。いい感じかと思っていたら、エスナイデル監督が解任。江尻監督の下で3バックが採用されて、ウイングバックに茶島という攻撃的なキャラクターが使われ始めたため、主にベンチを温めている。あと、割と身長が高いが、その身長が何かに役立ったことはほとんどない。クロスも微妙。確かに去年は溝渕、山本が右SBとして微妙だったのだが、なんでとったのかよくわからない選手である。CBで使ったらいきなりすごくなる、とかあるんだろうか。

ウィリアムス・ベラスケス(DF ベネズエラ 2019-)

「U-21ベネズエラ代表のディフェンス・リーダー」というオレオレ詐欺に引っかかるおばあちゃんでもきょうび引っかからなそうな最高に胡散臭い触れ込みでワトフォードから加入したが、いまだ怪我で出場ゼロ。当然、いまだにプレーを見たことがない。鹿島が数合わせで呼んだブラジル人感が抜群に漂っているが、これから何かあるのだろうか。何もなければさっさとワトフォードに返そう。

クレーベ(FW ブラジル 2019-)

とにかく電柱とってくりゃいいんだろ、みたいな高橋GMの腹が透けて見えるような加入である。今のところレギュラーとしてそこそこ出場し、4得点とまあまあの結果も残している。確かに横からのクロスには強さを見せているし、ポストプレーもそこそこ、ゴール前でシュートに持っていく力もありそうな感じであるので、ある程度はとれそう。ただ、ロングボールを無理やり競り勝って点を決めたりとかまるで再現性のない点の取り方をしているので、これからどうなるのかはわからない。あと、すでに累積で出場停止を食らっており、抜群のエウトン臭がするのは確かである。そして、エウトンは頑張りすぎた結果イエローをもらっている感じだったが、クレーベは「そりゃもらうっしょ」という悪意を若干感じるプレーが多いのは気になるところである。今のところクロスが主たる攻撃なので前線の軸として200点取って欲しい。千葉に銅像を建てよう。

アラン・ピニェイロ(FW ブラジル 2019-)

東京Vからきた肉体派。なんか東京V時代にはやられまくった印象があるのだが、千葉では機能不全に陥っている。なぜかエスナイデルも江尻さんもトップをやらせようとしてるのだが、裏抜けはできねーし、ポストプレーも全然出来ないのでトップとしては難しいのではないか。また、テクニックはあるが器用な選手ではないため、シャドーで堀米と交代させて同じ仕事をさせようとしても無理である。適当にサイドに張らせて、2列目あたりから人間魚雷としてどかーんと突っ込ませるくらいしか俺にも使い方が思いつかない。シュートの威力はすごい。最近の髪型は厚焼き玉子を頭に乗せている。


外国籍選手というのはどのスポーツでも「肝」である。どれだけ入念に準備したしても外れる可能性が高いし、外れた時の失望とダメージは日本人選手よりも大きい。どのチームにも「アレ」な外国籍選手はいたし、それでとんでもない目に合ってきたことがあるだろう。このベベットは本物のべべットなのか?カフーはいつ来るの?えっ、マラドーナって弟のほう?はあ?どのエメルソン??

それでも俺たちはずっと期待し続けるのである。いつかうちのチームにストイコビッチが、ブッフバルトが、アラウージョが、ワシントンが、ジュニーニョが、イニエスタが来るのだと俺たちは信じているのだ。それは阪神ファンがバースを待ち続ける姿と一緒だ。野球ファンもサッカーファンもみなバース症候群なのである。

俺もまた千葉にハースやストヤノフが来ることを信じている。なので、俺が言えることはこれだけだ。

外国籍選手はジェフユナイテッド千葉で夢を叶えてほしい。

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