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マルチビタミンミネラル「鉄あり」「鉄なし」どちらを選べばいいの?

輸入サプリのマルチビタミンミネラルには、同じメーカー同じ商品名で「鉄あり」「鉄なし」の両方を揃えている例を見かけます。

日本ではあり得ないことなので戸惑ってしまうかもしれません。
なぜ「鉄なし」という商品があるのか、そのどちらを選べばよいのか、ということに関して解説します。
(記事の文末に動画を貼っています)

「鉄なし」が存在する理由

「鉄なし」が存在する理由は、アメリカ人(とくに男性)は肉類の消費量が多く、そこから十分な鉄を摂取しているからだと言われています。

本当にそうなのか、グラフをご覧ください。

日米を含む8地域の1人当たり年間食肉消費量を表しています。

一目瞭然で、アメリカが断トツであることが分かります。
日本と比べると、2005年までは4:1から3:1くらい(日本人も増えているので、だんだん縮まっている)の開きがあります。

ちなみに、2005年あたりからアメリカの消費量が減少に転じています。
アメリカでは知識階層を中心として健康志向が強く、食生活の見直しが年々進んでいることが考えられます。

そのムーブメントは、日本も見習う必要がある気がします。

上のグラフは男女別ではありません。
アメリカ人、とくに男性の食肉消費量が多いというデータは残念ながら見つかりませんでした。

代わりに(?)日本人のグラフならあります。

男女別、年代別の肉類摂取量です。上が男性です。
数字が小さくて見にくいですが、棒の長さを比べるとパッと見て男性の摂取量が多いことが分かります。

やや強引な三段論法ですが、アメリカ人の男性は肉類消費が多く、十分な鉄を摂取しているので「鉄なし」サプリが存在します。

それを裏付けるのが、こちらのサプリです。

人気メーカーNow Foods マルチビタミンミネラルは、男性向けのAdamと女性向けのEveの2つが用意されています。

言うまでもなく、Adamは「鉄なし」、Eve は「鉄あり」です。

鉄過剰摂取のリスク

では、肉類から鉄をたっぷり摂って、その上サプリからも鉄を摂取すると何がマズいのでしょうか。

鉄の過剰摂取で体内の鉄が余剰になると、フェントン反応という化学反応を介して、強力な活性酸素を大量に発生させます

これが、鉄なしのマルチビタミンミネラルが存在する最大の理由です。

日本人でも、焼肉屋、ステーキ店によく行く、牛丼ばかり食べている人は(それはそれで問題がありますが)「鉄なし」を選んだ方がベターです。

閉経前の女性の場合は、潜在的なものを含めると、9割以上の人は鉄欠乏だと言われています。
肉類が多い人でも「鉄あり」を選んだ方がいいでしょう。

アスリートも鉄が不足しがちです。

エネルギー消費が激しく鉄の需要が増大する一方で、汗などから鉄が大量に排出されます。
競技によってはジャンプの着地で足裏の鉄が壊れたりする、ということを聞きます。

アスリートの場合は、男女問わず「鉄あり」でいいでしょう。
アスリートや閉経前の女性は、それだけでは鉄が足りない場合も多いのではないかと推測します。

その時は、個別の鉄サプリの出番となります。
鉄サプリの記事も公開していますので、ぜひお読みください。



「鉄なし」がいい別の理由

肉類の大量摂取以外にも、鉄がない方が都合がよい、と考えられる事実が2つあります。

1つは、食事で食べたものの消化を低下させないことです。

鉄は、胃酸の作用でイオン化されてから初めて吸収できます。
しかし、鉄をイオン化する過程で胃酸のpH(酸性度)が若干弱まってしまいます。

そのことが、食事で食べたものの消化を(あるとしても僅かですが)下げる可能性があります。

もう一つの事実は、
鉄と亜鉛は拮抗するので、亜鉛の吸収を下げないためにも鉄がない方がいい、という見方もあります。

「鉄あり」を飲むことで消化不良を感じる、または亜鉛が不足しがちだという人は、「鉄なし」を選ぶという選択も考えられます。
それぞれの事情に合わせて判断してください。

「カルシウムなし」も・・・

カルシウム抜きのマルチビタミンミネラルもあります。

私が飲んでいるLife Extention [two per day]というマルチビタミンミネラルは、カルシウム抜きです。

これも日本では考えられないことで、アメリカサプリの凄いところです。

カルシウムを抜く理由です。
カルシウムはサプリの形で大量に摂取すると、心筋梗塞のリスクが高くなることが疑われるからです。

そのことに関しては【カルシウムのダメな摂り方】という記事で詳しく解説していますので、気になる方はご覧になってください。

まとめ

「鉄なし」のマルチビタミンミネラルが存在する理由は、アメリカ人(とくに男性)は肉類の消費量が多く、十分な鉄を摂取しているからだと言われています。

鉄の過剰摂取は、フェントン反応を介して、強力な活性酸素を大量に発生させます。
日本人であっても、肉食が多い人は「鉄なし」を選んだ方がいいかもしれません。

ただし、閉経前の女性やアスリートは鉄が不足しがちですので「鉄あり」の方をお薦めします。

また、「鉄あり」を飲むことで消化不良を感じる、亜鉛が不足しがちだという人は、「鉄なし」を選ぶという選択も考えられます。

この記事の内容については動画もアップしています。
合わせてご覧ください。


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