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B帯のワイヤレスマイクで、同じ周波数を使うとどうなるのか試してみた

今回のテーマは、B帯のワイヤレスマイクについて。混信した時に、どのような現象が起きるのかを検証します。

同じ周波数で4台のマイクを使用したところ、音声が途切れたりノイズが入るなどの問題が発生しました。

実験からは、距離が近い方が有利であること、送受信機の位置関係が混信に大きく影響することが確認できました。

どのような内容だったのか、またその学びについて紹介をしていきます。

追記:動画も公開しました

この記事を元にした動画も公開しました。併せてご覧くださいませ!

ワイヤレスマイクのB帯とは?

電波を使って音声を送るワイヤレスマイクですが、使われている周波数は色々とあります。

最近は2.4Ghz帯を使ったワイヤレス製品が増えています。RODEやDJIなど、人気のコンシューマー向け製品はほぼ2.4Ghz帯です。これらはデジタル方式を採用しており、音質や機能の豊富さにメリットがあります。

しかし、2.4GHz帯はWi-FiやBluetoothと同じ周波数のため、電波干渉が起きやすい課題があります。障害物にも弱く、特に人が多くなると影響を受けやすい印象です。

大人気な2.4GHzデジタルワイヤレスマイク RODE WIRELESS GO Ⅱ

代替案になる周波数は様々ありますが、その代表的なものが「B帯(800MHz帯)」です。昔から使われており、アナログ方式の機材が多いです。

B帯は障害物に強く、低遅延で音を届けられるメリットがあります。また、歴史も深く慣れた人・会場も多いからか、業務で利用されることも多いようです。

しかし、B帯を使えば全ての問題が解消するわけではありません。B帯にも混信によるトラブルのリスクがあります。

B帯の混信リスク

B帯は障害物を回避し、壁も超えやすい性質を持っています。それは接続を保ちやすいとも言えますし、逆に言えば別の部屋とも干渉しやすいことになります。

電波は周辺の周波数とも混信を起こすため、ある程度間隔を空けなければいけません。これを「相互変調ひずみ」と呼ぶそうです。そのため、B帯の同時に使えるマイク本数は、大体6つまでとされています。

これはその部屋だけでなく、安全を考えるなら会場全体で調整する必要があります。そのため、使う周波数の組合せプランを用意しているイベント会場も多いようです。

状況によっては、事前に会場側とも確認し、計画的に利用する必要があります。

B帯アナログワイヤレスピンマイク「UTX-B40/URX-P40」

混信するとどうなる?

では混信すると、どのようなことが起こるのでしょうか?

webで調べると、ノイズが入る・途絶える・他の音声が入るといった紹介がされています。自分もそういった説明をしてきたのですが、実際にその混線を体験したことはありませんでした。

そこで、今回は複数のB帯ワイヤレスマイクを用意して、実際にどんなことが起きるのかを試してみました。

今回は1つの受信機と、同じ周波数に設定した4つの送信機を組み合わせてテストをしてみました。

テストの動画

実際の動画がこちらです。言葉では伝わらないため、ぜひご覧いただければと思います!

00:00 この動画について

B帯のアナログワイヤレスマイクは障害物に強く会場全体で影響を受けやすいため、同じ周波数を使うと電波が干渉し混信が起こります。

今回は、1台の受信機に対して同じ周波数806.250MHzの4台のマイクを動作させた場合の影響を検証しています。具体的にはどのような不具合が起こるかを観察していきましょう。

01:07 ワイヤレスマイクが2つになると?

まず正常に1台の受信機と送信機が動作することを確認しました。次に、同じ周波数の別の送信機をオンにすると、音が途切れたり特徴的なノイズが入ることが確認できました。

さらに、BGMを入力した送信機をオンにすると、メイン音声は消え代わりにBGMが乗っかる状態となりました。ただし、綺麗な音ではなくノイズが多かった状況です。

また、送信機と受信機の距離によって変化があり、距離が混信に大きく影響することが分かりました。距離が近いほうが有利になる傾向があります。

07:46 距離を離すとどうなる?

干渉する送信機の数を2つに減らすと、先ほど聞こえていたキュルキュルといったノイズがなくなり、影響が小さくなることが分かりました。

次に、メイン送信機と受信機の距離を離して中間地点に置くと、再びノイズが発生しました。つまり、送信機と受信機、そして干渉送信機の3者の位置関係が混信の影響に大きく関係すると思われます。

さらに、干渉送信機の機種を変えると、ノイズの出方が変わることも分かった。機種による違いがあり、環境などの条件によっても影響が変わる可能性があるようです。

13:17 まとめ

今回の検証から、アナログワイヤレスマイクでは距離が近い方が有利になる傾向があることが分かりました。デジタル機器のようなペアリング関係ではなく、アナログ的に距離の近さが強く影響するようです。

特にワイヤレスピンマイクは登壇者が動くため、受信機からの距離が変わり、干渉状況も変化する可能性があります。つまり、一定の距離なら大丈夫というわけではなく、会場全体で混信しないよう、使用周波数の組み合わせを適切に計画する必要があると強く思いました。



以上、B帯のワイヤレスマイクで同じ周波数を使った場合の検証でした。

アナログワイヤレスマイクの特性を理解し、運用方法を工夫することが重要だと思います。この検証がその参考になれば幸いです!

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