世界一幸せなわたし、世界一幸せなあなた

昨日の深夜、髪の毛を乾かしながらテレビを見ていたら、女の人がこんなこと言っていたんです。

「世界で一番幸せになってね。わたしは二番目でいい。一番はあげる。」

いまからこのロマンチックをぶち壊すようなこと言っちゃうと思います。先に謝ります、ごめんなさい。笑

この言葉がしっくりくるかしっくりこないかって、実はすごく大きな違いだと思っています。
ちなみに昔のわたしはそのセリフにすごく移入できる世界に住んでいて、今のわたしは全然そうじゃない世界に住んでいます。

わたし、これに気付いたとき、もう気絶するかと思うくらいびっくりしたんですけど。今では当たり前すぎて何も思わなくなってしまったけど。笑
あのね、「世界で一番幸せなわたし」と「世界で一番幸せなあなた」は、普通に両立するんですよね。もちろん「世界で一番幸せなあの子」も同時に存在することができる。

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幸せってなんだと思いますか。世界ってなんだと思いますか。
ていうか、世界一っていうのは世界で一番だから一つしかポジションがないわけですけど、そもそも世界って一つだと思いますか。

なかなかに抽象的な問題だけど、よく言うじゃないですか。幸せって人それぞれだって。見える世界も人それぞれだって。
よく言われている。その通りだと思います。
世界ってね、無限にある。認識している主体の数だけある。し、その世界の中では、認識している主体以外の幸せって、感じることができないんですよね。
言葉が固めになっちゃったんですけど、つまり、わたしの認識している世界では、わたしの幸せはわたしが直に感じられるけれども、あなたの幸せは「幸せそうなあなた(を感じているわたし)」にしかならない。むしろそれってあなたの幸せっていうかわたしの幸せじゃないか?笑
だって隣にいる人がなんか幸せそうな感じしたら、わたしも幸せだもんね。わたしの世界で直に感じられているのは、結局「わたしの幸せ」なんです。

だから、あなたが直に幸せであるかどうかは、あなたの世界のあなたが感じているものによるんです。あなたの世界のあなたが幸せを感じていなければ、いくらわたしの世界であなたが幸せそうに見えたって、あなたは幸せじゃない。

そういう世界が、認識する主体の数だけある。無限にある。
勝手に直に何かを感じている主体っていうのが無数にいて、それぞれに世界を持っている。

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だから、世界で一番幸せなわたしと世界で一番幸せなあなたも両立する。わたしの世界でわたしが一番幸せになるしかないんだし、あなたの世界であなたが勝手に幸せになるしかない。

あなたに一番をあげるとかあげないとかじゃない。もちろん「一番幸せになってほしい」っていう気持ちはすごくいいなって思うんです。相手のこと大好きだったら、やっぱり幸せになってほしいって思うもん。
だから、「世界で一番幸せになってね。わたしも、わたしの世界で一番幸せになるよ」くらいがいいと思う。あなたに一番を譲ったからわたしは二番でいいっていうのは、ちょっと逆に重いかなと思う。笑

自分の世界で自分が一番幸せになれないのは誰のせいでもない、自分の責任。
もちろん相手の世界で相手が一番幸せになれないのも、誰のせいでもなく、本人の責任。

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以前こんなツイートをしたことがあります。

特にね、恋愛をしているときって、没頭したりずんずん恋愛感情の核に入り込んで行ったりする過程で、どうしても「相手の世界に自分が住んでいる」気がすることや「自分の世界に相手が住んでいる」気がすることがあります。というか、そうなりたいんだと思う。なんかちょっと溶け合いたいんだと思う。
でも、「溶け合う楽しみ」っていうのは、相手の世界に行くんでもわたしの世界に来るんでもなく、二つの世界が持ち寄られて、もっと大きな世界の中で二人のそれぞれの世界が触れているっていう感じなんだと思うんです。

他人と同じ世界を見ることは、ない。
溶け合って同じ世界に暮らすっていうのは、本当はない。

だからこそ、一生相手を知りたいと思えるし、一生相手の世界に興味を持つこともできる。相手の世界が確固たるものだから、一生寄り添うこともできる。ぐずぐずに溶けちゃってたら、寄り添うっていうのはできないからね。

他人って、おもしろいですね。本当におもしろい。

相手を取り込みたいとか、相手に取り込まれたいとか、そういう感情を持っている人も一定数いる。というか結構たくさんいると思う。責任や基準を自分以外の何かに背負ってほしくなっちゃうとき、相手を自分の世界に取り込みたくなったり、相手の世界に自分が取り込まれたくなったりする。でもそれができないから、自分は自分の世界で生きていくしかない。
自分の世界だから、誰かを基準にすればすごく不自由だし、自分を基準にしたらすごく自由。誰かに責任を押し付けるのはすごく不自由だし、自分で責任を負ったらすごく自由。ただし、そこには勇気も必要なんですけどね。


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だから、遠慮なく、みんな幸せになりましょう。
幸せになってほしいあの人のために自分が幸せにならないなんていうのは、言語道断です。笑

そして心配なあの子がいるとしたら、自分の世界でわたしが頑張ってその子の順位を押し上げてあげるんじゃなくて、その子の世界でその子が幸せになれるように、って考えようと思っています。わたしはね。
持ち寄った世界同士、溶け合いはしないけど、触れ合うことはできるからね。



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