アートボード_7_のコピー_2

Q6:みなさんのプロ意識を教えてください。(質問者:前田高志)

フリーランスで生き抜くには“プロ意識”が一番大事な気がしています。これはいつも意識していたいし、磨き上げていきたいのです。(真面目!)なので、さとちゃん、ケイイチさんのお二人がどんな意識で仕事されてるのか参考にさせてもらいたい!


でも、プロ意識ってフリーランスだから大事ってワケでもなくて、会社員にとっても大事で若い頃からずっと意識していました。きっかけは、大学時代の同級生で博報堂のアートディレクター細川剛くん(超優秀)。彼とは20代の頃から熱い話ができる数少ない友人。その細川剛くんがある日、上司に「プロの条件ってなんだ?」ということを聞かれたらしいんです。


それで「俺はこう思う。いや、こうじゃない?」とかなかなか熱いトーク。青春。その時の結論は「良いクリテイティブを作る。それを言語化できる。それがプロ。」ということになった。剛くんの上司が、雰囲気や感覚的なことを言語化するのがすごいとのことらしい。僕の上司もそれに当てはまったので納得した。


そこから一人の時でもいろいろ考えるようになって、このことを僕の上司に話したら「良いクリテイティブを作る。それを言語化できる。」は、「それは、プロじゃなくてもできるよ。」と言われた。そこから、上司も「あとは自分で考えろ」と言わんばかりの感じで、話がそこで終わった。


ますます、“プロ意識とは何か?”ということを考えるようになった。


よくよく考えたら言語化できなくても最高に良いもの作ってたらプロなんじゃない?。そして、僕は言語化が苦手(笑)細川剛くんの上司が言う「イメージの言語化」は広告代理店のプロとして必要なのだろう。プロ意識はそれぞれ違うんだ。僕なりのプロ意識を考えだした。


そうして、数年後たどり着いた結論は、


「プロは、良いクリエイティブを確実にする。」


クリエイティブの世界って芸術家のイメージが強い。前の作品は良かったけど、今回のはあんまりだったというような不安定なところがある。ムラがどうしても出てしまうケースがある。それではダメだ。実際どうしても生まれるのだけど、それをなるべくなくしたい。お金をいただいている以上、責任を持つべきだ。


手間暇かけて、毎回、最適なクリエイティブにたどり着くのがプロ。


僕のやり方は「ダメなデザイン」もあえて作る。そして「いいデザイン」をあぶりだす。良いデザインがパッと生まれてもそれが良いとは限らない。ダメなデザインがあってこそ、いいデザインの証明になる。これしかない!というものを提供したいので、良いデザインが生まれてもそれを証明するために検討作業をする。



傲慢に聞こえるかもしれないですが、ありがたいことに「デザイン素敵ですね。いいですね」って言っていただくのですが、内心「そりゃ、まぁ、良くしてるので」って冷静な自分がいます。



「あー、もっとこうすればよかった。」クリエイティブはどうしてもそうなりがちなんです。ダメだけど。若い頃は僕もそうだった。作ったものを半年後見たときに、「あれ?」って。自分の作ったデザインが冷静に見られるようになって、「もっとこうすればよかった」というようなことが出てくる。それではプロ失格だ。



そんなことをフリーランスでやってしまったら、お金を払ってくれる人に申し訳ない。だから全部やりつくす。あとあと誰かに「もっとこうしたらよかったんじゃない?」って言われても「ああ、それ検討したけど、こうこう、こういう理由だから」って言えるようにしている。今では制作中から客観的に見られるノウハウも構築した。その積み重ねがプロだと思う。



僕の肩書きを「アートディレクター」にしてる理由もプロ意識です。本来、僕の仕事はグラフィックデザイナーとか、デザイナーでもいいんです。でも「アートディレクター」の定義の中には“クオリティ管理”が含まれていて、すなわち、アートディレクターはクオリティ低いものを提供してはいけない。だから、あえて戒めとしてアートディレクターと名乗っています。



プロ意識は、現在進行形で磨き上げるもの。お二人がどんな意識で仕事に取り組んでいるか教えてください!



ちなみに、この「辞めた者たちのリレー式フリーランス会議」はQ:9で最終回になります。読んでくださっている方からの聞いてみたい質問や感想があればメッセージください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?