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地震と宝塚と私

雪組公演大千穐楽

2月11日、今日は昨年の晩秋から始まった、
雪組公演「ボイルド·ドイル·オン·ザ·トイル·トレイル/FROZEN HOLIDAY」が大千穐楽を迎えます。
稽古開始から、宝塚を巡る様々な問題に翻弄され、組子、スタッフともに大変険しい道程を歩むことととなりましたが、今日の日を迎えたことを素直に喜びたいです。本当におめでとうございます。
大劇場でも数回ですが観劇が叶い、楽しく、華やかな公演ではありましたが、『クリスマスとお正月を2月まで楽しめるのか??』、と懐疑的でしたが、逆にこの華やかさに救われるとは思っても見ませんでした。

元旦に襲ってきた悪夢

1月1日午後4時10分、私の住む県及び隣接する県は大きな揺れに襲われ、全てが一変しました。
私の住むところは、幸運にも地震直後からライフラインが問題なく使えたので一安心でしたが、同じ町でも液状化現象が起こって道路が隆起して傾き、水が吹き出し、家が傾きとても住める状況ではなくなってしまったところがありました。
そして、それ以上に能登は言葉を失う状況になっていました…。
揺れで家が潰れてビルが倒れ、道路は崩れ、港は隆起し、島は美しい姿を失い、津波に襲われ、更には街が焼けて…。
なんで元旦から…、災害は日を選ばないというのを本当に実感しました。
元旦は暖かく、雪もなかったことは幸いでしたが、これがいつもの冬だったら…、被害はもっと甚大だったと思います。

現実から逃げるように

2日から私は東京に行く予定でした。
久々に昔から好きだったプロレスを観戦し、そして宝塚の観劇に行く事にしていました。
この地震で北陸新幹線が止まった事もあり、2日から出掛けることは叶わず、2日に予定していたプロレス観戦を残念ながら断念せざるを得ませんでした。
諸々のキャンセルをしていると、2日の15時過ぎから北陸新幹線が運転を再開するとの情報がありました。
『行こう!』
迷いはありませんでした。何とか新幹線の予約が取れ、3日朝新幹線に乗りました。
ライフラインが全て使えたことが本当に大きかった。スーパーはやや品不足だったものの、食料は贅沢しなければ確保できた事も幸いしました。
そして何よりも、余震に怯え、使えてはいるけどいつ断水するかわからない…。そんな怖さから逃げるため、でもありました。
東京には問題なく辿り着き、真っ先に向かったのはスーパー銭湯でした。
湯船につかり、緊張がかなりほぐれたことを実感しました。

忘れられない観劇

1月3日、雪組公演「ボイルド·ドイル·オン·ザ·トイル·トレイル/FROZEN HOLIDAY」が初日を迎えました。
当初は観劇が叶わなかったのですが、諦めきれず申込を済ませていました。
そして、ありがたいことに初日の観劇が叶ったのです。ただ感謝しかなかったです。
宝塚に目覚めこの春で研4となりますが、この日の観劇は忘れられないものになりました。
正直、内容は覚えてないんです。
でも、弱っていた自分にとって何よりのガソリンになりました。
初日の挨拶で、奏乃はると組長、トップスター彩風咲奈さんが地震に触れて下さったことも本当にありがたかった。
『頑張らないといかんよ、あんた』
とエネルギーをいただいてこの日、劇場を後にしました。

観劇に行ってもいいのか

とりあえずは日常通りの生活がおくれている自分でさえここまでダメージを受けているのです、それ以上にダメージを受けている人の事を考えれば、呑気に観劇している場合か?、とも思いますし、そう思われている方は多いんじゃないか、と思います。
実際、持っていた月組梅田芸術劇場公演のチケットを手放しましたから。
雪組公演はチケットを持っていたので、何回も通いましたが、極力行ったことを言わないようにしていました。

被害が少なかったこともあり、被災者という感覚がほとんどないですし、他の地域に住まわれている方と同じかもしれません。
大変でしたねとお声を掛けていただくと、気にかけていただきありがとうございます、という気持ちと自分がお見舞いの言葉を受け取ってよいのだろうか、と気持ちの切り替えが上手く出来ていないのが正直なところです。
こんな状況なので、いろんな気持ちを持たれるかもしれませんが、諸々をつぶやく事がありましたら、どうか温かく見守っていただく、または、『あぁ、そうなのね』、と通り過ぎていただけると幸いです。

長くなりましたが、大千穐楽にあたり思いをかきました。
お付き合いいただきありがとうございました。

#宝塚 #雪組